久々に旅の始まりです!
数日経って、後の事はアメリアに丸投げ………コホンッ、副社長のアメリアにお願いして、ついに西部へと旅立ちます!
現在は荷物を詰め込み、出発の準備中なのです!
「アキ、護衛よろしくね!」
「はい!お任せ下さい!あのメイド長の地獄の訓練を生き抜いたアキにお任せを!」
何故二回も、お任せと言った?
しかもメッチャここから出られる事が嬉しそうだね。
「ハルが先に行っているから、身の回りの事もお願いね」
「それは私にお任せ下さい」
!?
後ろから護衛騎士のミスティだった。ミスティは父親からシオンに悪い虫が付かないよう密命を受けていた。普段は無口な年齢不問のお姉さんだ。いつもはフルメイスの兜と体格の分からない鎧を着ているため、傍目からは性別が分かり辛いがグラマラスな女性である。
「珍しいね。ミスティが話しかけてくるなんて」
「はい。マリア様からお願いされましたので」
コソッ
「それとお父様からも」
基本的にシオンは恋愛音痴のために、変な虫を追い払うような事案は無かったのだが、マリアからも、シオンの貞操を守る様に命令されたのだ。
『どうして私がっ!まだ◯◯なのにっ!?』
そう、鎧を脱げば、お色気ムンムンのミスティであるが、純情可憐な乙女なのだ。
決して、お色気担当のお母様が居なくなったから、スポットライトが当った訳ではないと言っておこう。
「え、あ、うん、お願いね」
雰囲気を察して軽くお願いしてみるシオンだった。
「ああ~~さらば、短きバカンスよ~~~」
「………うん」
護衛騎士リオンと無口なキャラのイージスが肩を組んで屋敷を見ていた。
「あの二人、同期なのは知っていたけど、あんなに仲が良かったかしら?」
ここに来るまでのシオンの無茶振りに連帯感を覚えた護衛騎士達の結束力は強くなっていたのだ。
「ってか、王妃宮で厳しい訓練しながら交代で警備していた事がバカンスってどうなのよ?」
「シオンお嬢……様には、わからない事があるのです」
ハラハラと涙を流すリオンにシオンは引いた。
「なんで出発前に泣いているのよ。この残念系イケメンが!」
「酷くないっすか!?」
うん、リオンは色々とイジられるキャラなのだよ。
「はぁ~~憂鬱だわ~~~」
「うんうん、エリザもそんな気持ちになるんだねぇ~~」
アキと仲の良い護衛騎士の1人宝塚風の男装麗人エリザも深いため息を付いていた。
「なんで皆、こんなにやる気がないのよ!?」
「だって、せっかく仲良くなった可愛い子ちゃんと、別れなければならないんですよっ!」
「黙れ!自分の性別考えろ!!!風紀を乱すなや!」
エリザは性別女の癖に、女性を口説くクセがあるのだ。
「シオンお嬢様、それは偏見と言うものです!愛があれば───」
「ならないわよっ!!!アキと遊んでなさい!」
シオンはサラッとアキを生贄にするのだった。
「ハッ!友情から愛情に変わるのも良いかも♪」
「ひゃっ!?お、落ち着きなさい!エリザ!?私とはズッ友でしょう!?」
サッとアキは身の危険を感じて逃げ出した。
メイド長の厳しい訓練で、直感が鍛えられたのだ。
「待ちなさい!アキーーーー!!!!」
「出発までには戻ってきなさいよ~~~」
お嬢のバカーーーーーー!!!!!
アキの雄叫びが遠くから聞こえてくるのだった。
「まったく、騒がしいわね~もっと落ち着きなさいよね~」
準備中のメイドと執事達はシオンお嬢様が騒ぎを大きくしているのでは?と視線を送ったがシオンは気が付かなかった。
「さて、どれくらいで戻ってこれるかしら?西部を周った後は今度は北部もしっかりと見て周りたいわね」
シオンは手に持った資料をめくりながら旅の予定を考えるのだった。
「シオンお嬢様、本当に気を付けて行ってらっしゃいませ」
留守を任されている居残り組が横に並んで一斉に頭を下げた。
「留守をお願いね。まぁ~この内の半分はすぐに居なくなるでしょうが、みんな『命を大事に』で頑張ってね!」
「「はっ!肝に命じます!」」
そう、帝国の闇組織の掃討作戦には、現状の全戦力を動員しなければならないからだ。
「特に常闇の蜘蛛の情報や遭遇した時はわかっているわね?」
「はい。すぐに撤退し、情報は必ず持ち帰ることです!」
「よろしい。じゃ、行ってくるわね♪」
シオンは手を振りながら馬車に乗るのだった。
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