ラスボスが来た!
夜会のドレスをどうしようか話している時に、意外な人物からの先触れがやってきた。
「えっ?お母様が来るの!?」
こんな敵国に来るなんて大丈夫なの!?
お母様は元王族のただの一般人なのよ!
元王族の一般人ってなに?
「た、たたた、大変だーーーーーーー!!!!!!」
いや、大変なのは貴様の頭だ。
「は、早くなんとかしないとっ!?」
落ち着け。仏の心で落ち着くのだ。
(このすばのカズマさん風に脳内再生して下さい)
「ハル、アキ、急いでみんなを集めて!大至急ねっ!」
何をそんなに慌てているのだ?そんなのは、ほっといて───バキッ「ナレーションだまれ」
『シオン様』は屋敷中のメイド、執事、そして護衛騎士団を大広間に集めました。
「たった今、先触れがありました。数日後、お母様がやってきます!」
ザワッと空気が変わりました。
「私はすぐに皇帝陛下にお伺いを立てます。護衛騎士団の一部はすぐにここを発ち、お母様を迎えに行って下さい。数名の【メイド】も同行させます。絶対に護って下さい。これは最重要任務です!」
「「「かしこまりました!!!」」」
お母様は自衛が出来ません。騎士団で周りを固めて、身の回りの警護は『春夏秋冬』のメンバーが守ります。
「さぁっ!すぐに準備をしなさい!」
ここにいるメンバーは厳しい訓練を受けたエキスパートです。テキパキと出発するメンバーを割り振り、1時間ほどで準備を整えて出発しました。
護衛騎士団は殺る気満々です。
いえ、やる気満々です。
これには理由があり、騎士団にはお母様に【手当】された方々が多くいるからです。
元王族のお母様は娘の私が言うのもなんですが、とても美人です。とても◯◯歳に見えません。
そんな高貴なお母様に手当され、治療された人の中には、頑張れ!死んではダメよ!と手を握られながら励まされた方も多くいて、人気爆上りなんデスよね!
みなさん、張り切って出て行きました。
そういう私は王城へ向かい、きちんとアポを取ってから皇帝陛下に会いました。
「珍しいな。何かあったのか?」
机を挟んで、はにかみながらゼノン皇帝は言いました。
「少し問題が起こりまして。そのご相談に」
シオンは母親が来る事を伝えた。
「なにっ!?それは一大事ではないかっ!」
そうなのです。
他国の王族が来るなんて一大事な事なのです!
しかも戦争していた敵国に来るのですから、その勇気はどれほどでしょうか!
えっ、私?
私はチート持ちですから、たいした事はありませんよ?
「それでいつ頃来るのだ?」
「えっと、もう国境を越えて数日後には到着する予定だそうです」
!?
「おい、貴様の母親も少し非常識な者なのか?」
普通は数ヶ月も前にも連絡を入れて調整するのが、この世界では普通だ。
「この度は大変申し訳ございません。どうやら、私に会いにくるだけのつもりらしく、まだ皇帝陛下の事も、誤解しているだけだと思いますので」
お母様は私が冷遇されていると思っているのよね。
「それなら丁度いい。今度の夜会にシオンの母親も招待しよう。俺もシオンの母親にちゃんと話をしてみたいと思っていたんだ」
!?
「え゛っ!?」
「後で、小物(宝石類)を送っておく。すまないこの後会議があってな。また連絡する」
皇帝陛下は忙しそうに出ていった。
ってか、敵国のパーティーにお母様と2人で参加ってどんな罰ゲームよ!ってか、デスゲームになるかも知れないわ。
取り敢えず屋敷に戻るか。
こうして報告を済ませたシオンは屋敷に戻るのだが、最初の問題が解決していなかった。
「まぁ、よそ行きのドレスがあるから、それをアレンジして出席すればいいか」
そう思っていた時期がありました。
ええ、ありましたとも!
数日後、遂にお母様がやってきました。
「お母様!お会いしたかった………です……デスーーーー!?」
ゴゴゴゴッ!!!!
馬車から降り立ったお母様は腕を組んで、背後からゴゴゴゴッと効果音を乗せながらの魔王としての威圧感がありました。
私、何かしましたっけ?
死を覚悟するシオンだった。
最後までお読み頂きありがとうございます!
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