夜会はお早めに!
あれからシオン達は王妃宮で過ごしながら、帝都周囲を探索し、工場の建設と新たな商品の発掘や開発に勤しんでいた。
その陣頭指揮を執るのはアメリアだった。
アメリアはシオンのネタを………思いつきを現実にすべく職人を探して開発の手はずを整えていた。
「なんでシオンお嬢様は皇帝陛下の前で、食べ物ばかりで、この鉛筆と消しゴムを説明しなかったんですかね?」
ゴゴゴゴッ!!!!
アメリアも、ハルの奥義!【笑顔なのにコワイ】を修得していたのだ!?
「ご、ごめんなさい!!!」
こうしてシオンは急遽、皇帝ではなく宰相さんにアポをとり、これ売れますか?と尋ねたのである。
文字の消せる鉛筆と消しゴムは王宮の事務内の部署で大騒ぎになった。書いた文字が消せると不正される恐れもあるが、それは後からインクで上書きすれば書き仕損じることも減るので助かると言われた。
「どうしてこの商品を、前回のプレゼン………いや、顔見せの時に言わなかったのですか!」
宰相さんや文官さん達にメッチャ詰められた。
「オイッ!どうしてオレじゃなく宰相に相談するんだ!まずオレに相談しろ!」
何故か皇帝陛下もやってきてシオンは弁解するので、てんやわんやになっていた。
「これは公務が捗りますなぁ~。インク瓶を溢すこともなくなります」
「書き間違いを消せるのは助かります。紙の削減にも繋がりますよ!」
今の鉛筆は黒炭を木に挟んで使う感じのものであり、現在シャープペンシルなるものを開発中である。いや、すでに出来ているのだが、大量生産できるように考え中なのだ。
現代のシャープペンシルと違い、ペンの先っぽをネジのように回転させる事で中の芯が出る仕組みにした。カチカチと芯が出るようにするのは、技術的にもう少し後になるだろう。
しばらくは手作業で作るため、貴族向けになる予定だ。その代わり、金額が高くなるがかなりぼったくるつもりである。金貨1~2枚ぐらいかな~
(10~20万円)
中の芯は簡単に作れるので安いけどね。
これが爆発的に売れまくった。
いや、マジで金貨20~30枚で売れてるんだけど?
まぁ、高級ブランドの万年筆などそれくらいするけどさぁ~?
すでに数ヶ月で100億万G稼ぐ勢いである。
書ければ鉛筆の方でも良くない?と思う庶民派のシオンだった。
数が流通すれば価格はもう少し落ち着くだろうが、思った以上の売れ行きで、予約が1年間待ちとか。
急いで職人さんを集めて、貧民で手に職付けたい人を見習いとして雇って大変だった。
主にアメリアが。
すでにアメリアには帝国国内のシリウス大商会の副社長をしてもらっている。
最初は稼ぐ金額が桁違いでビビっていたが、今では当たり前と感じて、その敏腕を振るっている。
そんな平和な日々が続いていた時に、それは届いた。
「夜会の招待状?」
「はい!この度、王妃候補として立候補した令嬢達を帝国中の貴族に知ってもらう夜会ですって」
「それって出なきゃダメ?」
お前は何を言っているんだ???
お前は何を言っているんだ???
お前は何を言っているんだ???
と、言う目で見られた。
(大事な事なので三回言いました)
解せぬ!?
「いや、解せぬじゃありません!今回の夜会はお嬢様の初舞台ではありませんか!」
「そうですよ!お嬢様の美しさを帝国中に知らしめる機会ですよ!」
メイド達が騒ぎ出した。
「夜会は1週間後?」
!?
「ちょっと、どういう事ですか!基本的に最低2~3週間前には連絡するのが普通でしょうに!」
新しいドレスの仕立てが間に合わないじゃないですか!?
スススッと気配を消して部屋から出て行こうとした人物がいた。
ガシッ!
「ど~こ~へ~い~く~の~~~~?」
「ヒィィィイイイイ!!!!!?」
ぬうぅぅぅと、背後から肩に手を置いて怖い顔で近付いた。
そう、こんなうっかり八兵衛の様な事をしでかすのは1人しかいない。
「アキちゃ~~~ん?正直に吐きましょうか?」
ダラダラ………
ダラダラ………
「あ、あの………」
「うんうん!」
「偶然、屋敷の外に出た時に王宮の使いの方から渡されたのですが………」
「うんうん!」
「出かける所だったので、受け取ってポケットに入れたまま忘れちゃった♪テヘペロッ♪♪♪」
「ギルティ!!!メイド長!!!!!」
「ハッ!お任せ下さい!!!」
うぎゃーーーー!!!!!
アキはメイド長にアイアンクローを喰らいながら、ジタバタしながら連れて行かれた。
さて、どうしようか?
最後までお読み頂きありがとうございます!
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