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軽いざまぁが始まりました

シオンが王宮に入りしばらく経った頃

イリシア王国の王城にて───


バンッとテーブルを強く叩く者がいた。


「どういう事だ!どうして航海に必要なチーズが入ってこない!それに調味料もだ!」


でっぷりと太った国王と、同じく王妃、そして王子達がテーブルに着いていた。


「そ、それが帝国がチーズや一部の商品の関税を値上げしたのです。我が国は先の戦で大敗しており、交渉が難航しております」


忌々しそうに不機嫌な顔を滲ませて言った。


「ならばこちらの輸出品の関税も上げれば良かろう!」

「いえ、すでにそう伝えた所、我が国の商品はいらないと言われまして…………」


外務官は冷や汗を流しながら報告している。


「クソッ!だから人質姫を送っただろうが!」


貿易で成りなっているイリシア王国は他国の船に食料を提供する義務を持つ。もし用意出来なければ、もう我が国に貿易にくる事はなくなるのだ。船乗り達に取って『食料』は死活問題であるからだ。


それに帝国産のチーズやバターは船乗り達の間では人気が高い。他国の物より濃厚で美味しいと評判なのである。


「やむを得えん、今回だけは向こうの言い値で仕入れろ。次はからは前もって交渉して妥協点を抑えておけ!」

「ははっ!」


外交官は深く頭を下げた。


「それと、その他の調味料はどうなっている?」


王国でも人気の、みんな大好きマヨネーズ、ケチャップの在庫も無くなりそうで、王宮内でも問題になっていた。


「そ、それが、人気の調味料の工場が帝国に移動したそうで、輸入するには高い関税が掛けられてしまいました」


別の外交官が答えた。


「巫山戯るなっ!マヨネーズとケチャップは我が国が開発した、我が国の財産だぞ!どうして工場が帝国に移動しているのだっ!!!」


これは国王だけではなく、王子達も不快感を露わにした。


「どうしてそうなったのだ!」


叱咤されて縮こまる外交官が、恐る恐る口を開いた。


「あの調味料の開発者が、シオン・オリオン辺境伯令嬢だからです。製造方法も令嬢しか知らず、工場に働いていた従業員ごと帝国に移住させたそうです」


!??


「「はっーーーーー!!!????」」


その場にいた者達は空いた口が塞がらなかった。


「待て!調味料を売り出していた商会は確か………シリウス大商会だったな?」


「はい。その通りです」


「では、すぐに会頭を呼べ!また国内で製造を命令するのだ!」


国王の言葉に外交官は首を振った。


「不可能です」


!?


「何故だ!?国王命令だぞ!」

「その国王命令で帝国へ嫁がれたので」


?????

うん?


首を傾げるが─────まさか!?


「お、おい!まさか、シリウス大商会の会頭とは…………」


聞きたくないが、聞かねばならない。


「はい、シオン・オリオン辺境伯令嬢です。地元では発明女王と呼ばれて様々な物を開発し、この王国に利益をもたらせていました」

「ば、バカな………」



「言わせて貰います!国王も知っているはずです!前に【何回も】お伝えした所、女のくせに発明など穢らわしいヤツだとおっしゃっていました!それを人質同然に帝国にやれば当然と言えるでしょう!」


外交官は我慢できず大きな声で反論した。


「ぶ、ぶれいもの!」


そう叫ぶが………

周囲の家臣も追従した。


「我々は何度も忠言しました!話をまともに聞かなかったのは国王と王子達ではありませんか!」

「そうだ!我が国にどれだけの恩恵を与えてくれた恩人を裏切ったのは王族達だ!」


「国王陛下、及び王妃や王子達よ。覚悟なさるといい。そう遠くないうちに、首と胴が離れるでしょう」


!?


「宰相!不敬にもほどがあるぞ!?」


宰相は動じず続けた。


「貴方達はオリオン辺境伯を怒らせた。長年に渡り王国を帝国から守ってくれた恩人に対して、野蛮な蛮族と罵った!先の戦での第一王子の失態を辺境伯に押し付けて、大切な令嬢を敵国へ送った!まだ、その意味を理解していないのかっ!」


国王は、宰相の気迫に椅子から転げ落ちた。


「どういう意味だ…………」


宰相は、周囲の家臣達は逆に憐れみの目で国王達を見た。


「バカだと思っていましたが、これほどとは。いいですか?オリオン辺境伯の大事な娘が敵国へ嫁がれたのです。人質同然で!もし、再度戦が始まった時、辺境伯は娘の命をと脅されれば、戦を放棄して国境を明け渡すでしょう!逆に、帝国に寝返る可能性もあります。こちらの方が高いでしょうな。すると、帝国軍と辺境伯の軍を相手にせねばなりません。我が国に止める術はありませぬ!」


!!!???


「い、一大事ではないかっ!」


「はぁ~~、シオン令嬢を人質として送ると王命を出した時、我々は何度も何度も何度も!止めたではありませぬか!それもお忘れか!?」


た、確かにそんな事もあったな………

その時は新しい可愛い子ちゃんに夢中で、生返事だった。


こうして、当面は王族のポケットマネーから貿易赤字を埋めることで、帝国を刺激しないようにする事になった。


ちなみに、王族であるシオンの母親からは、血で書かれた絶縁状が届き、その怒りの強さを知る事となる。






最後までお読み頂きありがとうございます!


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