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出会い

リオンが王宮に行ってから数日して戻ってきた。早馬で半日といえ、帰りは途中で休みながら戻った為だ。無論、シオンはそれも折込み済で、リオンの帰りを待っていた。


リオンが戻ってきたのは昼になる前ぐらいだった。


「お嬢!ただいま戻りました!」


宿屋の部屋に入るとリオンは元気よく挨拶した。


「お帰りなさい。それで陛下の許可は貰えたのでしょうね?」


リオンは部屋を見渡すと、全員が揃っていた。


「みんな揃っているんですね。それなら──」


リオンは一呼吸置いて──


「お嬢様ーーーー!!!!マジで勘弁して下さい!?まさか皇帝陛下から皇帝代理のメダルをもらっているなんて聞いてませんよ!?」


うわぁぁぁぁぁぁっん!!!!!


緊張の糸が切れたのか、シオンの足にしがみついて泣いた。


「ちょっと落ち着いて!?」

「コラ!リオン!?なんて羨ま──不敬だぞ!?」


他の騎士が引き離した。


「うるさい!そんな重要なメダルを失くしてみろ!全員が首チョンパなんだぞ!?」


!?


「「お嬢!なんて物を貰ったんですか!!!?」」


リオンの言葉を聞いた他のメンバーも、手のひらを返して、一緒にシオンを責めるのだった。

実に気持ちのよい裏返しである。


「貰ったんじゃないわよ!借りただけよ!それに、身内の恥を見せるんじゃないわよ!?」


シオンが首をクイッとやると入口に知らない騎士が立っていた。


「は、初めまして。皇帝陛下直属の近衛騎士を務めますカノンと申します」


先ほどの騒ぎに驚き顔が引き攣っていた。当然だろう。まさかこんなに、主人と配下の者の距離が近いとは思ってもいなかった。(コメディともいう)


「こちらこそ初めまして。オリオン辺境伯が娘、シオン・オリオンでございます。お見苦しいものをお見せして恥ずかしいですわ」


シオンは挨拶すると、ギランッと仲間達を睨みつけた。皇帝陛下の監視役に身内の恥を見せるな!


それを見たカノンは──


『なかなか鋭い眼光をする令嬢だな。バカ騒ぎだけではなく、締める所はきちんと締めて統制を取っている』


シオンの容姿をマジマジとみて、帝国では珍しい髪色をした美しいシオンに見惚れてしまった。


『これが、最近周囲を騒がせているシオン令嬢か………』


値踏みするかの様に、しばしボーと立ってしまった。そこにシオンが椅子に掛けるよう促した。


「これは失礼しました」


女性をジロジロと見てしまった事に頭を下げた。


「構いません。それより本題に入りましょう。皇帝陛下の【代理任命証】は貰えたのですよね?」

「はい、この筒に丸めて入っています」


シオンに渡した。


「よし!それでは今夜、伯爵家に乗り込んでクズドラ息子をブッ殺すわよ!」


「「おおっーーー!!!!!」」


威勢よく声を張り上げるシオン達に、またカノンの顔が引きつった。


「こらこら、ぶっ殺してはダメですよ?」


ハルが注意した。

おおっ!流石は慈愛のハルと呼ばれているだけあるよ♪


「あのゴミクズドラ息子は、半殺し×半殺しにして、回復魔法を何度もかけて、生きていた事を後悔させましょう!」


あ、半殺しと回復魔法を、かけるを、かけてます♪

恐っ!?慈愛のハルちゃんどこ行った!??


「それって全殺しって意味じゃ………」


今だにシオン達のやり取りに慣れてないカノンは呆然とするのだった。










最後までお読み頂きありがとうございます!


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