三話 気ままな一日
この世では、魔法が主な人の原動力だ。
魔力の大きさで、身分が変わる可能性だってある......
そして、種類は大きく分けて三つ。
攻撃魔法。
防御魔法。
回復魔法。
もちろん、この俺はこの三つすべての魔法を使うことができる。
それだけではない、今はもう俺にしか使えない【いしにえの魔法】もだ。
まあ、才能っていうやつだ。
.
なんだけど、こいつは......
「おい、アーシャ、なんで火属性の魔法なのに風吹いてるんだよ!」
『そんなに言われても、何がなんだがわからないにゃ!」
はあ、あの名言はどこに行ったんだか......
それにしても、アーシャって本当に冒険者初心者なんだな......
こんなんだったら、こんな遠い高原になんか行かなければよかったな......
『グレン、今変な妄想しなかったにゃ?』
ギクッ......
アーシャって察しだけはなぜかいいので、本当に困る。
「そんなことは......ってそれより、アーシャが魔法の特訓するっていうから俺はここまできて、教えてやってるんだけど!?」
『まさか中級クラスの火属性の魔法から教えられるとは思ってなかったのにゃ!』
中級クラスって......はあ、俺が一時間ぐらいでできたものをまさかこんな時間をかけてまでやるとは思ってもいなかったんだよ......
「仕方ないな、じゃあ超基本の火炎ボールからな」
『よーし、ドーンと来いにゃ!』
「まずは、こうしてこう唱えて、そして......」
俺がいつも使っているような感覚を丁重にアーシャに教えた。
『もう、全然わかんないにゃ!」
えぇぇ、なんでわからんの......
・・・・・・・・・
「よーし、もう疲れたから帰るぞ、アーシャ」
『ぬうぅ、仕方ないにゃ~』
なんで、さっきからアーシャは不機嫌なんだ......?
まあ、どうでもいいか。
あと、帰るぞって言っても元・冒険家の仲間たちに裏切られてから家なんてとっくにない......
じゃあ、どこに帰るのか?
それは【セイフティーエリア】と呼ばれるほどの安全地帯の森の中だ。
最近では、夜が明けるまでいるようになっている。
だが決して、過ごしやすいという思いはまったくない。
寝るときは布団代わりに葉っぱだし、虫が寄ってくるし、時々魔物に襲われるし......
「はあ、早くお金貯めて家買わないとな......」
『まったくなのにゃ』
そう愚痴を吐きながらも、俺らはいつもの通り、帰宅ルートの途中にあるスラムみたいな街に差し掛かった。
そうだ、確か、いつものこのあたりで......
「おーい、そこのお姉ちゃん、滅茶苦茶可愛いね」
すると、いきなり手に刃物を持ったおっさんが絡んできた。
ほら、やっぱり来た。新手のナンパだ。
ここ最近、冒険者かは知らないがよく話しかけられるんだよな......
まあ、たぶん、アーシャのせいだ......
「すいません、そこどいてもらえますか?」
俺は、アーシャの手を少し強く握りしめ、駆け足でそこを抜けようとした。
「んだよ、お前みたいな雑魚に話しかけてんじゃねえよ、そこの美少女さんに話してんだよボケェが!」
やっぱり、無理があるかぁ......
って、おいおい......そんなこと言ったら、殺されるぞそこの冒険者さん......
『誰が、私のグレンに雑魚だって!?』
「ああ?」
くそ、いつものパターンじゃないかよ......
「おい、お前もそこまでにしてやれよアーシャ、俺は大丈夫だから......」
すると、アーシャは、目をギラギラさせた。
『グレンはよくても、わたしが許さないのにゃ!』
あーあ、この状態になると俺はもう止められないや......
お気の毒に、冒険者さん......
「いくら美少女でも、聞き捨てならねえな!」
そして、冒険者?の人は、俺たちに突進してきた。
まあ、意味ないんだけどね......
アーシャは、手を握りながら何かを唱えた。
『尊き風よ、今力を与えしものに、爆裂し、ここにたたえよ、アクシオス〈呼び出せ)』
「んだ?その変な呪文は......ってなんだ!?」
すると、冒険者?の人は、瞬く間に、風と共に消え去ってしまった......
そう、アーシャは風属性の魔法だけは、なぜかS級クラス並みに優れているのだ。
本当に、なんでなのだろう......
「おい、アーシャ、それはしてはいけない約束だろ」
『ええー、だってぇ......』
「はいはい、言い訳はいらない、罰としてごはん抜きな」
『そ、それだけはー」
そう言って、アーシャは土下座までし始めた。
まったく、懲りないやつめ......
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俺たちは、いつものように何とか、森の中の寝床へと戻ることができた。
はあ、今日も、特に変化したことはないか......
ていうか、一日って早くなったな、もうこんな夜だ。
まあ、それもアーシャのおかげか......
『ん?なんか、言ったにゃ?』
「い、いや別に......」
本当に、アーシャって察しはめちゃくちゃ良いな。
「そういえばアーリャってさ、お金がたまったら何がしたいんだ?」
俺がそう聞くと、アーリャはまじめな顔をし始めた。
『強いて言えば、魔法学園に入学したいにゃ』
「魔法学園......?」
そういえば、元・冒険家の仲間たちも魔法学園に入学していたと聞いたな......
『二人分で金貨100枚はくだらにゃいけど、寄宿舎だし、ごはんも食べ放題だし、ベッドだって......』
「ん?アーシャ?」
声をかけてみるけど、反応がない。ってもう、寝てる......
寒そうだったから、俺の着ていた服を一枚かぶせてやった。
それにしても、魔法学園か......
家も買わなくていいし、ごはんだっていちいち探さなくてもいいって最高じゃん。
いつか行ってみたいな......
ブクマよろしく
そして、下の☆五つ、応援よろしくお願いします。
もう少しで、新たなヒロイン増加します。
冒険者編は、あと20話くらい書くつもりです。