表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

二話 急な追放②



 

 いまだにこの事態の処理が仕切れていない俺は、いまだにこの場に立ちすくんでいた。


『まったく、相変わらずひどい奴らなのにゃ~』

 

 そして、俺の隣には、一人(一匹?)の長い髪をしたかわいらしい猫型獣人がいる


「さっきから何なんだよ、アーシャ」


 このロリ?美少女を、俺はアーシャと呼んでいる。

 彼女が空腹で倒れそうになっているところを俺が助けたところ、この頃ずっとついてくるようになったのだ。

 ていうか、なんでご主人様なんていうのだろうか.......


『だって、最強のご主人様を雑魚呼ばわりにゃんて......』


「いや、もういいんだって......」


 まあ、本当に俺は彼女の言う通り実力をずっと隠しているんだどな......

 本当なら、パーティーメンバーのみんなにドッキリ的なことを仕掛けようと思っていたのだが、今となってはさすがにもうどうしようもない.......


『そうにゃ、今から追いかけたらまだ間に合うのにゃ?』


「だから、もういいんだって。今更実力を隠してたなんて、言えるはずがないだろ」


 しかも、彼らは俺を裏切り、見捨てた奴らだ。

 できれば、もう会いたくもない......


『じゃあ、これからどうやって生活するのにゃ?』


「っそ、それは......」


 そういえば今の俺は、お金を一つも持っていないただの一文無しだ。

 だから、俺はいつ死んでもおかしくはないというわけだが......


『じゃあ、お金を稼ぐためにも冒険者を始めないかにゃ?』


「......は?」


 予想外な質問に俺は少し、戸惑った。


「......そんなの、するわけっ___ん、雨?」


 ポツン、ポツンと雨音が鳴り響いた。


「こんな時にかよ......」


『何か、駄目なのにゃ?』


「ダメも何も、荒れた天候だと魔物が出やすいんだよ。」

 

 まいったな......どんどん雨が強くなっていってる。

 いったん、ここから離れるべきか......


「アーシャ、いったんここか____」



____シャァァァァァッ



「くそ、間に合わなかった......」


 正面にいる魔物は、ヘビ......

 くそ、たぶんコイツは、A級クラスだぞ......


「アーシャ、俺のそばに離れな___」


「って、おい!?」


 

『へ、ヘビなのにゃ!?』


 魔物を見てか、アーシャが急に叫びだした。

 

 そうだ、確かアーシャは蛇が大嫌いなんだった......


「アーシャ、少し落ち着けって」


『も、もうだめなのにゃ』


 そして、アーシャはその場に倒れてしまった......


「お、おい、アーシャ?」


 体をゆすってみるが、まったく反応がない......

 

 (コイツ、気絶してる......)

 

「ジャァァァァァァァァ!」


「っ、おっと......」


 しかも、こんな状況にもかかわらず、魔物は俺に向かって毒息を吹きかけてきた。

 

「あ、あぶねぇ」


 何とか避けることはできた......

 だが、やっぱりA級クラスだけあって容赦がない。

 

 このままだと、もしかしたら......

 

 いや、そんなことを考えるな。

 

 俺はまだ死ぬわけにはいかない......


 そう思い、俺は首にかけていたネックレスを外した。


「アンロック〈解除〉」


 そう言うと、俺の力が跳ね上がるように一瞬で上がった。

 いや、上がったというよりは、これが本当の自分なのだ。


「やっぱ、やるしかないよな......」


 でも、なんか楽しいなこういうのも......

 

 そして、俺は腰にあった剣を抜きこう唱えた。



「イクスティング〈消滅)」



______これは、この世で俺一人しか使えない伝説の【いにしえの魔法】



 まあ、つまり俺は、久しぶりに実力を発揮したのだ......





~~~~~~~~~


『ん、あれ、ここはどこにゃ?』


「お、起きたかアーシャ。まださっきの場所だよ」


 もう日が暮れているから、俺は、火をつけるために薪を探している最中だった。


『ところで、なんで私はこんなところで寝ているのかにゃ?』


 っう......この質問で、俺はさっき起こったことをまた思い出してしまった。


 アーシャは急に気絶してしまうし、久々に本気だして戦ったし、A級クラスの魔物の遺体処理は、結構大変だったし......


 今考えると、俺ってよく一人でここまで頑張ったなと思うわ......


「そ、それは知らないほうが良いと思うが......」


『ふぅん、じゃあ知らなくていいのにゃ!』


「うっ、___」


 なんていうんだろう......

 この妙に天然というか、抜けてるところがあるというか......可愛すぎだろ


 そ、そんなこと考えちゃだめだ、しっかりしろ俺!

 こういう時こそ、冷静に......


「と、ところでさ、アーシャは何で俺に冒険者をゼロから始めてほしいんだ?」


 俺がそう質問すると彼女は、さっきの輝いていた顔とは一転して、氷のように見えた。


『そ、それは......』


 しかし、彼女は何秒間か黙り込んでしまった。

 まあ、無理もないか......いきなり、こんな質問したんだもんな......


「いきなりごめん、アーシャ。やっぱり、この質問はな____」


『ちょっと待つにゃ!』


「ん?......」


 俺は、薪探しに戻ろうと立ち上がろうとしたんだが、どういうわけか彼女に止められた。


『ご、ご主人様は、今の人生に満足してるのかにゃ?』


「い、いや......」


 満足......そんなのするわけがない。

 

 勇者パーティーではいつも雑用係だった。おまけに、俺は、本当の実力をパーティーメンバーに明かすことなく足手まといという理由で追放されてしまった......


「満足どころか、最悪だな」


『じ、じゃあ、もう一回ゼロから冒険者、初めてみにゃい?』

 

「え......」


 彼女は、さっきと同じような質問を言った。

 だけど、彼女は本気だ......それだけは、見たらなんとなくわかる。


「___ど、どうしてアーシャは俺なんかにそんなことを言ってくるんだ......?」


 どうして彼女は、俺にここまでしてくれるのだろうか......

 ぜんぜん、理由が思い浮かばない......


『___それは、ずっと、ご主人様に助けられてきたからなのにゃ』


「___俺が、アーシャを助けてきた......?」


 どういうことなのだろう......

 ずっともなにも、俺がアーシャを助けたのは最初に出会ったとき......

 魔物に襲われていたのを助けたことしか覚えがない。


『えっと、正確には、ご主人様の存在が私の支えになっているのにゃ。だから、今度は私がご主人様を助けてあげたいのにゃ』


 そういうことか...... 

 俺は思い出した......彼女は、ずっと孤独だったんだ。

 

 だから、仲間なんていない彼女は、魔物に襲われても俺以外助けが来なかった。

 彼女が、ずっと俺を裏切った仲間に文句を言っていたのは、自分と同じ思いを俺にしてほしくなかったからだったんだ......

 

 彼女は、ずっと俺を見ていててくれたんだ。


 それなのに、俺は......


「なんかごめんな、アーリャ」


『なんで、ご主人様が謝るのにゃ?それに、私こそ急に無理言っちゃってごめんなのにゃ。もう、冒険者はやりたくにゃいだろうに......』


「それなんだけどさ、やっぱ始めるわ、冒険者」


『え......!?』


 予想通り、彼女は驚いた。

 まあ、無理もないか......


『ど、どういうことにゃ......』


「どういうことって、理由がないとだめなのか?」


『そ、そんなことないのにゃ!』


「それなら、これからはよろしくな、アーシャ!」


 そして、俺は彼女に手を差し伸べた。

 当然だが、俺は彼女と握手をするつもりだ。


 しかし、手が触れそうになった瞬間に彼女は手をひっこめてしまった。


『___え、えっと、よろしくって......?』


「ん?冒険者のメンバーとしてだが......」

 

 俺、そんなに変なこと言ったっけ......


『ご主人様と、一緒に冒険してもいいのにゃ?』


「だって俺たち仲間なんだから、当たり前だろ」


『な、仲間?』


「そ、そうだけど?」


 え、まさか『仲間なんて思ってにゃいよ』とか言われないよな......

 ていうか、ずっと仲間同士だと思ってたの、まさか俺だけ?


『そうにゃ、私たちは仲間同士なのにゃ!』


「そ、そうだが」


 よ、よかった......

 どうやら俺らが仲間同士なのは、思い込みではないらしい。

 それにしても、なんでさっきからやけに嬉しそうなんだ......?


『じゃあ、これからよろしくにゃ、()()()!』


「お、おう」


 

 こうして、俺らは冒険者をゼロから始めたのだった。

 

ブクマよろしくお願いします

あと、下にある☆を5つ押してもらえると嬉しいです。

応援もよろしくお願いします


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「なんかごめんな、アーリャ」 って、名前アーシャじゃね?
2024/08/28 23:35 退会済み
管理
[良い点] ヒロイン?のアーシャがめっちゃ可愛い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ