二話 急な追放②
いまだにこの事態の処理が仕切れていない俺は、いまだにこの場に立ちすくんでいた。
『まったく、相変わらずひどい奴らなのにゃ~』
そして、俺の隣には、一人(一匹?)の長い髪をしたかわいらしい猫型獣人がいる
「さっきから何なんだよ、アーシャ」
このロリ?美少女を、俺はアーシャと呼んでいる。
彼女が空腹で倒れそうになっているところを俺が助けたところ、この頃ずっとついてくるようになったのだ。
ていうか、なんでご主人様なんていうのだろうか.......
『だって、最強のご主人様を雑魚呼ばわりにゃんて......』
「いや、もういいんだって......」
まあ、本当に俺は彼女の言う通り実力をずっと隠しているんだどな......
本当なら、パーティーメンバーのみんなにドッキリ的なことを仕掛けようと思っていたのだが、今となってはさすがにもうどうしようもない.......
『そうにゃ、今から追いかけたらまだ間に合うのにゃ?』
「だから、もういいんだって。今更実力を隠してたなんて、言えるはずがないだろ」
しかも、彼らは俺を裏切り、見捨てた奴らだ。
できれば、もう会いたくもない......
『じゃあ、これからどうやって生活するのにゃ?』
「っそ、それは......」
そういえば今の俺は、お金を一つも持っていないただの一文無しだ。
だから、俺はいつ死んでもおかしくはないというわけだが......
『じゃあ、お金を稼ぐためにも冒険者を始めないかにゃ?』
「......は?」
予想外な質問に俺は少し、戸惑った。
「......そんなの、するわけっ___ん、雨?」
ポツン、ポツンと雨音が鳴り響いた。
「こんな時にかよ......」
『何か、駄目なのにゃ?』
「ダメも何も、荒れた天候だと魔物が出やすいんだよ。」
まいったな......どんどん雨が強くなっていってる。
いったん、ここから離れるべきか......
「アーシャ、いったんここか____」
____シャァァァァァッ
「くそ、間に合わなかった......」
正面にいる魔物は、ヘビ......
くそ、たぶんコイツは、A級クラスだぞ......
「アーシャ、俺のそばに離れな___」
「って、おい!?」
『へ、ヘビなのにゃ!?』
魔物を見てか、アーシャが急に叫びだした。
そうだ、確かアーシャは蛇が大嫌いなんだった......
「アーシャ、少し落ち着けって」
『も、もうだめなのにゃ』
そして、アーシャはその場に倒れてしまった......
「お、おい、アーシャ?」
体をゆすってみるが、まったく反応がない......
(コイツ、気絶してる......)
「ジャァァァァァァァァ!」
「っ、おっと......」
しかも、こんな状況にもかかわらず、魔物は俺に向かって毒息を吹きかけてきた。
「あ、あぶねぇ」
何とか避けることはできた......
だが、やっぱりA級クラスだけあって容赦がない。
このままだと、もしかしたら......
いや、そんなことを考えるな。
俺はまだ死ぬわけにはいかない......
そう思い、俺は首にかけていたネックレスを外した。
「アンロック〈解除〉」
そう言うと、俺の力が跳ね上がるように一瞬で上がった。
いや、上がったというよりは、これが本当の自分なのだ。
「やっぱ、やるしかないよな......」
でも、なんか楽しいなこういうのも......
そして、俺は腰にあった剣を抜きこう唱えた。
「イクスティング〈消滅)」
______これは、この世で俺一人しか使えない伝説の【いにしえの魔法】
まあ、つまり俺は、久しぶりに実力を発揮したのだ......
~~~~~~~~~
『ん、あれ、ここはどこにゃ?』
「お、起きたかアーシャ。まださっきの場所だよ」
もう日が暮れているから、俺は、火をつけるために薪を探している最中だった。
『ところで、なんで私はこんなところで寝ているのかにゃ?』
っう......この質問で、俺はさっき起こったことをまた思い出してしまった。
アーシャは急に気絶してしまうし、久々に本気だして戦ったし、A級クラスの魔物の遺体処理は、結構大変だったし......
今考えると、俺ってよく一人でここまで頑張ったなと思うわ......
「そ、それは知らないほうが良いと思うが......」
『ふぅん、じゃあ知らなくていいのにゃ!』
「うっ、___」
なんていうんだろう......
この妙に天然というか、抜けてるところがあるというか......可愛すぎだろ
そ、そんなこと考えちゃだめだ、しっかりしろ俺!
こういう時こそ、冷静に......
「と、ところでさ、アーシャは何で俺に冒険者をゼロから始めてほしいんだ?」
俺がそう質問すると彼女は、さっきの輝いていた顔とは一転して、氷のように見えた。
『そ、それは......』
しかし、彼女は何秒間か黙り込んでしまった。
まあ、無理もないか......いきなり、こんな質問したんだもんな......
「いきなりごめん、アーシャ。やっぱり、この質問はな____」
『ちょっと待つにゃ!』
「ん?......」
俺は、薪探しに戻ろうと立ち上がろうとしたんだが、どういうわけか彼女に止められた。
『ご、ご主人様は、今の人生に満足してるのかにゃ?』
「い、いや......」
満足......そんなのするわけがない。
勇者パーティーではいつも雑用係だった。おまけに、俺は、本当の実力をパーティーメンバーに明かすことなく足手まといという理由で追放されてしまった......
「満足どころか、最悪だな」
『じ、じゃあ、もう一回ゼロから冒険者、初めてみにゃい?』
「え......」
彼女は、さっきと同じような質問を言った。
だけど、彼女は本気だ......それだけは、見たらなんとなくわかる。
「___ど、どうしてアーシャは俺なんかにそんなことを言ってくるんだ......?」
どうして彼女は、俺にここまでしてくれるのだろうか......
ぜんぜん、理由が思い浮かばない......
『___それは、ずっと、ご主人様に助けられてきたからなのにゃ』
「___俺が、アーシャを助けてきた......?」
どういうことなのだろう......
ずっともなにも、俺がアーシャを助けたのは最初に出会ったとき......
魔物に襲われていたのを助けたことしか覚えがない。
『えっと、正確には、ご主人様の存在が私の支えになっているのにゃ。だから、今度は私がご主人様を助けてあげたいのにゃ』
そういうことか......
俺は思い出した......彼女は、ずっと孤独だったんだ。
だから、仲間なんていない彼女は、魔物に襲われても俺以外助けが来なかった。
彼女が、ずっと俺を裏切った仲間に文句を言っていたのは、自分と同じ思いを俺にしてほしくなかったからだったんだ......
彼女は、ずっと俺を見ていててくれたんだ。
それなのに、俺は......
「なんかごめんな、アーリャ」
『なんで、ご主人様が謝るのにゃ?それに、私こそ急に無理言っちゃってごめんなのにゃ。もう、冒険者はやりたくにゃいだろうに......』
「それなんだけどさ、やっぱ始めるわ、冒険者」
『え......!?』
予想通り、彼女は驚いた。
まあ、無理もないか......
『ど、どういうことにゃ......』
「どういうことって、理由がないとだめなのか?」
『そ、そんなことないのにゃ!』
「それなら、これからはよろしくな、アーシャ!」
そして、俺は彼女に手を差し伸べた。
当然だが、俺は彼女と握手をするつもりだ。
しかし、手が触れそうになった瞬間に彼女は手をひっこめてしまった。
『___え、えっと、よろしくって......?』
「ん?冒険者のメンバーとしてだが......」
俺、そんなに変なこと言ったっけ......
『ご主人様と、一緒に冒険してもいいのにゃ?』
「だって俺たち仲間なんだから、当たり前だろ」
『な、仲間?』
「そ、そうだけど?」
え、まさか『仲間なんて思ってにゃいよ』とか言われないよな......
ていうか、ずっと仲間同士だと思ってたの、まさか俺だけ?
『そうにゃ、私たちは仲間同士なのにゃ!』
「そ、そうだが」
よ、よかった......
どうやら俺らが仲間同士なのは、思い込みではないらしい。
それにしても、なんでさっきからやけに嬉しそうなんだ......?
『じゃあ、これからよろしくにゃ、グレン!』
「お、おう」
こうして、俺らは冒険者をゼロから始めたのだった。
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