一話 急な追放①
22:00ぐらいに、また投稿します。
新連載しました、お願いします。
「グレン、このパーティーから追放する」
「……え?」
それは、突然の出来事だった。
いつも通り、【S級冒険者パーティー】の俺らは、依頼されたダンジョン攻略を果たし、帰ろうとしていた時のことだ。
突然この勇者パーティーのリーダーであるキラが立ち止まり、俺にこのパーティーを抜けろと言い出したのだ。
本当に突然で、まったく意味がわからない......
「......ど、どういうことですか?」
俺は、頭の中で必死に状況を整理した。しかし、追放される理由が全く思い浮かばない。
「そんなの決まってるじゃない。私達にとってあなたが足手まといだからよ!」
この口調は、隣にいたパーティーメンバーのカーラのものだった。
彼女の職業は僧侶。彼女には、類まれた経験と知識、誰にでも気遣う優しさがあり、そこらでは割と有名な僧侶だ。
しかし、彼女もこんな事言うなんてな......ちょっと、がっかりした。
「グレン、わかったならパーティーから抜けてくれ」
いやいや、まったくわからんのだが......そもそも、このパーティーの足手まといになった覚えは一度たりともないんだけれども。
「あのー、あなた方の足手まといになった覚えはないのですが......」
「まだ、わからないんすか?」
今度は、パーティーメンバーのアレン......
このパーティー屈指のチャラ男までもが、この件に絡んでくるということは俺のパーティー追放案件は少なくともドッキリなんかではないらしい。
「俺らが【S級冒険者パーティー】ってのは知ってるすよね?」
「あ、ああ」
「だけどアンタみたいなろくにスキルも使うことのできない雑魚がいるせいで、最近どうやら評判が悪いみたいなんすよ」
「そのせいでいつの間にかS級冒険者パーティーの俺らは、その中でも最底辺【序列798位】にまで下がっちゃったんすよ。だから、俺らはアンタにこのパーティーから出て行ってもらいたいんすよ」
ほうほう......
アレンの話から察するに、どうやらこいつらは序列が下がったことにはすべて俺に原因があるのだと勝手に思い込んでしまったらしい。
実は、俺が助けてやってるのを知らずに......
やれやれ、本当にどうしようもないやつらだな......
「仮に、俺が抜けてしまったとしたらパーティーメンバーが三人になってしまうんですけど、大丈夫なんですか?」
冒険者パーティーになるための最低条件として、最低でもメンバーは4人以上は必要なはずだ......だからもし俺が抜けてしまったら、そもそもの話、冒険者を続けることはできない。
「いや、それについては全然問題はない。実は、依頼されたダンジョン攻略に行く前に俺は一人すでに雇っていたんだ」
キラは、そう言い残すと誰かを連れてきた。
どうやら、俺はパーティーメンバーに裏切られただけではなく、変わりもいつの間にか用意されていたみたいだ。
「これからは、彼女がこの冒険者パーティーのメンバーとして加わってもらう」
「ライカです。よ、よろしくお願いします」
連れてきたのは、結構可愛い見た目をした女性だった......
どうやら、キラは人を選ぶセンスだけなら才能があるみたいだ。
「私の名前は、カーラ。よろしくね!!」
「俺、アレンっす。これからはよろしく頼むっす!!」
彼女の登場で、さっきの謎に重たい二人の空気が一気に軽くなった。
ていうか、なんか俺、忘れさられている気がするんだが......
「もう仲良くなってくれたんだね、嬉しいよ」
そう言いながら、キラは荷物をまとめた。
これってまさか......
「そういうわけでグレン、さようならだ......」
やっぱり、そうくるよな......
そして、キラたちは俺を置いて帰ってしまった......
一度も俺に振り返ることなく......
そして、辺りにはかすかな笑い声だけが残った。
最初なんで、結構短めです。
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