43.雨の巫女は王太子妃になる
ダムが完成したことによって、私たち二人の結婚が正式に認められることになりました。
来るべき結婚式の日に向けて、準備が進められることになったんですが……。
まずは花嫁衣裳でした。様々な形のドレスを取っかえ引っ変え試着し、気に入ったものを私用にオーダーメイドで作ってくれるみたいです。
「なんだか夢みたいです……」
「良くお似合いですよ、アマネお姉様!」
シーリアさんがドレスの試着に付き合ってくれた。
「フォーリアさんの好みも聞きたいですけど……」
「フォーリアお兄様には当日まで内緒、なのですよ!」
「そういうものなのですね……」
悩みに悩んで、Aラインのシルエットが印象的な純白のドレスに、私の身の丈よりも長いレースのヴェールを選びました!
フォーリアさんも気に入ってくれるといいな……。
「シーリアさんも、ありがとうございます。王妃教育に付き合ってもらうばかりかドレスの試着まで」
「いいのです、アマネお姉様の素敵な姿をひと目早く見れるので役得です!」
シーリアさんは胸を張って答えてくれた。
あとは当日の儀式について、フォーリアさんと練習をしました。
挙式は礼拝堂で行い、その後は大ホールでパーティーと言うことになるみたいです。
礼拝堂では、女神様に二人の結婚を宣言して誓うそうなのですが……。
「女神様は私の中に居るのになんだか変な気持ちです」
「確かにそうですね」
二人で笑いあった。
———そうして迎えた結婚式当日
様々な国から来賓のお客様がありました。そのなかにはカナロア帝国の皇太子夫妻、つまりヴァイオラさんと、リョテー王国の王太子夫妻、オルフェ王子とロザリンドさんの姿もありました!
「ヴァイオラ姉上、ロザリンド!」
「フォーリア、巫女様、この度はご結婚おめでとうございます。巫女様が本当の家族になるなんて、あの晩餐会では考えられなかったけれど、嬉しいことだわ。フォーリアをよろしくお願いします、巫女様」
「はい!ヴァイオラさん」
ヴァイオラさんと握手を交わす。
すかさずロザリンドさんが話しかけて来る。
「巫女様〜フォーリア兄も!結婚おめでとう!私も巫女様のおかげでマリッジブルー抜けられました、巫女様は大丈夫でしたか?」
「そういえば、大丈夫でした!……ちょっと喧嘩はしましたけど」
「大したことない痴話喧嘩でしたよね、アマネさん?」
「そうですね……」
二人で苦笑した。
「二人が喧嘩?びっくりです!でもこうして結婚式に漕ぎ着けたんですからきっと大丈夫なんですね……」
ロザリンドさんは感慨深そうに言った。
「あ!そろそろ時間ですね、衣装の支度をしないと!」
「そうですね、花嫁衣裳楽しみにしています……!」
ここでフォーリアさんと一度別れ、再会は礼拝堂での婚礼の儀式だ。
純白の花嫁衣裳に身を包み、丈の長いヴェールを被る。
ヴァージンロードはケイティーさんに一緒に歩いてもらうようにお願いした。この世界での母とも言える人だから。
「アマネ様、本当に私でよろしいのですか?」
「はい、私がフォーリアさんと結婚できるのは、お母さんが背中を押してくれたのと、ケイティーさんが手を離さないように言ってくれたお陰なんです。お母さんの代わりに、どうか一緒に歩いてください」
「お役目、拝命します!」
ケイティーさんは涙ながらに引き受けてくれた。
礼拝堂の扉が開き、私はケイティーさんに導かれてヴァージンロードを歩く、愛おしい、あの人の所へ……。
純白のタキシードに身を包み、前髪を上げて撫で付けてあるフォーリアさんはその精悍なお顔が良く見えて普段よりかっこよく見えた。
「アマネ……花嫁衣裳姿、とっても素敵です……」
私の手を取ったフォーリアさんも花嫁衣裳を褒めてくれた。
二人で女神の椅子を見上げ、女神に結婚を宣誓する。
「私、エピファネイア王国第一王子フォーリアは、雨の巫女アマネを妻とし、生涯愛することをここに宣誓する!」
「私、雨の巫女天音は、エピファネイア王国第一王子フォーリアを夫とし、生涯愛することをここに宣誓します!」
二人の宣誓が終わると礼拝堂内は大きな拍手で包まれた。
「では、誓いのキスを……」
「はい……」
フォーリアさんが顔にかかるヴェールを上げる。
そうして二人で愛をキスで誓い合ったのだった。
———挙式が終わり、パーティーの始まり
私たちは大ホールに設えられた所謂高砂席と言うものに座っていた。そこに、色々な人が訪れて祝福してくれる。
そのなかにはシルヴァーホーク伯爵やシンボリ公爵、バリアシオン子爵やまさかのフェノーメノ辺境伯まで訪れて、驚いた。
「巫女よ、女神の力は有効活用しているようだね、感心感心」
「あ、ありがとうございます……」
「これからもこの国を頼みますよ」
彼は相変わらずくつくつと笑って去っていった。
シーリアさんとサートゥルさんが訪れた
「兄上、巫女様おめでとうございます」
「お兄様、お姉様、おめでとうございます!」
「ありがとうございます、おふたりとも!」
「もう巫女様じゃなくて姉上とお呼びすべきですね」
「サートゥルさんに言われるとなんだか照れますね……!」
「次のダムを作る時は僕に任せてくださいよ、兄上、姉上」
「わかった、サートゥル、お前に任せよう」
「やった!」
サートゥルさんは事の他うれしそうだった。
ディーズさんとアレグリアさんが連れ立って訪れた。
「巫女様、王太子殿下、この度はおめでとうございます」
「兄貴、巫女様、おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございますディーズさん、次はおふたりの番ですね!」
そう言うとアレグリアさんは顔を赤くして俯いてしまった。
「あっそうだ、ブーケトスやりましょうブーケトス!」
「ブーケトス?それはなんですかアマネ?」
「花嫁が後ろ向きにブーケを投げて、それを受け取った人は次の花嫁になれるんですよ!アレグリアさんにぴったりですよね」
小声で付け加えるとアレグリアさんはさらに顔を赤くしたが、こくんとうなづいていた。
「皆の者、ブーケトスを行うので集まって欲しい、とくに令嬢に!」
フォーリアさんが大きな声で人を集めて、趣旨を説明してくれた。
「じゃあ、行きますよ〜!」
私がブーケを放ると、あらぬ所へと飛んで行ってしまった。
「あれっすみません!」
しかしそれを身を呈して床へ落ちる前に受け取ったのは、ディーズさんだった。
ディーズさんはそのままブーケをアレグリアさんへと渡し、
「次は俺たちだな!」
と笑っていた。アレグリアさんは「馬鹿!」と怒っていたけれど、嬉しそうだった。
喧騒の中心がディーズさんとアレグリアさんに移ったころ、私とフォーリアさんは高砂席でお話していた。
「ああー楽しかった!」
「楽しかったですか?」
「はい、ブーケトスまでできて、嬉しかったです。アレグリアさんも喜んでくれましたし!」
「それは良かったです」
「これで私、本当にフォーリアさんのお嫁さんになれたんですね……」
「ええ、正真正銘、このエピファネイア王国の王太子妃です」
「そう言われるとなんだか緊張しますね……」
「いいんですよ、そのままのアマネで、そのままでいいんです」
「ありがとうございます……でも、頑張りますね」
「その頑張り屋なところが好きです」
「私も、フォーリアさんのその優しいところが好きです!」
負けじと言い返す。
「いいえ、俺の方が好きですね」
「もう、また痴話喧嘩するつもりですか?」
「いいえ?キスするつもりでした」
「もう誓いのキスはしたじゃないですか……」
私は小さくなる。多分顔が熱い、多分真っ赤だ。
「たった一回のキスでは俺の好きは伝わり切りません、ですから」
「ん……」
フォーリアさんの唇が私の唇にかさなる。私もフォーリアさんへの好きが伝わるように……。
唇が離れて、見つめ合う。
「アマネ、一生そばに居てくださいね」
「はい、フォーリアさん!」
私たちはお互いの瞳の中に未来を見ていた。
これにて本当の完結です。ここまで書くことができたのは皆様の応援あってこそです!ありがとうございました!
少しでも面白いと思っていただけましたら★で評価してくださると幸いです!




