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23.首謀者は誰?

 フォーリアさんの血に塗れた寝間着から普段着のドレスに何とか着替えて、私はケイティーさんのお見舞いに行った。

「アマネ様!ご無事で何よりです!!」

「ケイティーさんも!」

「お傍におりますと約束しましたのに、申し訳ありません……」

「いいえ、ケイティーさんが無事ならいいんです」

「フォーリア殿下が刺されたと聞きましたが……アマネ様、その髪の毛は……」

 ケイティーさんも私の異常に気がつく。

「はい、フォーリアさんは私が女神の力で治しました。この髪は女神さまと同じ色に染まっています。きっと全体が染まりきった時が、私の消える時なんだと思います」

「ああ!そんなことが……!」

 ケイティーさんは私のために泣いてくれた。


 あの時何があったのかケイティーさんは話してくれた。

「アマネ様が入浴されてすぐ、サラと名乗るメイドが尋ねてきたのです。そこで私の意識は途切れています」

 その後縛られて外に放り出されていたのか……。

 とりあえずケイティーさんには休むように告げて部屋を出た。

 私はまだやることがある。この襲撃の首謀者は誰なのか、それが分からなければ身の危険は去ったとは言えない。

 私はまずバリアシオン子爵を訪ねた。

「ああ!巫女様!ご無事で何よりです、すみません!フォーリア殿下もそのお力で治癒されたとか、まさに女神の奇蹟でございますね、すみません、ええ!」

「あのサラさんと言う人はこの家のメイドさんなんですか?」

「いいえ!滅相もございません!あのような者、顔も名前も知りませんで、すみません!」

「いつの間にか紛れ込んでいた、ということですか?」

「はい、そういうことです、ええ、すみません」

 子爵が首謀者ならこの長期間の滞在でいつでもチャンスはあったはず、なら容疑者からは外れる。私が死んでなにか得があるとは思えないし、それにこの気弱さでそんな謀略に手を染めるとはとても考えられなかった。

「サラさんが今どこにいるか分かりますか?」

「地下牢で騎士団の拷問を受けているという話ですが、すみません、巫女様が立ち入るようなところでは……」

「いいえ、直接話しがしたいのです。行かせてください」

「はい、こちらです、すみません……」


 案内された地下牢にはサラさんが繋がれていた。既に両手両足の爪はなく、過酷な拷問の跡がみてとれた。

「……巫女様が直接訪ねてくるとは……殺されると思わないのか……」

「私も女神の力を身につけましたから……」

「女神の力……」

「あなたの傷を治します」

 しゃがんでサラさんの顔に触れる。爪を生やすところをイメージして……他にも拷問の跡だろう傷が沢山ある。それも全て治してしまおう……私とサラさんが暖かい光に包まれる。

「……っ!?なんで!」

「……爪をもう一度剥げるようにするためです」

「……ひッ!」

 サラさんから悲鳴が漏れる。

「冗談です。もう痛い思いはしたくないでしょう。どうかあなたの雇い主の名前を教えて下さい」

「……言えない!言ったら殺される!殺されるくらいなら爪を剥がれた方がマシだ!」

 気丈そうな彼女が涙混じりに訴える。

「そんなに恐ろしい方なんですね……」

「……私は言えないけど、傷を治してくれた礼に一つだけ教える。……あの盗賊たちなら喋るかもしれない」

「盗賊?私たちを襲ったあの盗賊たちですか?」

「これ以上は何も言わない。傷を治してくれたことだけは礼を言う。ありがとう……」

 私は騎士達にもう彼女への拷問の必要は無いこと、バリアシオン子爵邸へ赴く際に私たちを襲った盗賊たちを調べるように伝えた。

 そこへディーズさんがやってきた。

「巫女様、一人でそこそこ調べ物か?そこは俺を護衛につけとけよ、危ないだろ」

「それもそうですね、ディーズさん、よろしくお願いします」


 翌日、私たちは例の盗賊たちの牢へと足を伸ばした。

「お前たち、ただの盗賊じゃねえだろ」

 ディーズさんが単刀直入に問い質す。

 盗賊たちはキョロキョロとお互いの顔を見合わせていた。

「誰に言われて俺たちを襲った?」

「それは」

「おいバカ黙ってろ」

「お頭!何とかしてくだせえ!」

「……」

 お頭と呼ばれた盗賊は腕組みして黙っていたが、口を開いた。

「……なにか見返りがねえと、しゃべれねえな」

「……この野郎、舐めやがって。わかった。喋ったならエピファネイア王国第二王子ディーズの名においてお前たちを無罪放免とする」

「ホーリックス商会だ。敵情視察をしてこいと頼まれた」

「……やっぱりな。おい、こいつらを牢から出してやれ!」

 ディーズさんが牢の番人に向かって叫ぶ。

「いいんですか、ディーズさん」

「こいつらは大したことないチンピラだ、また後でいくらでも()()()

 ディーズさんの不敵な笑みを盗賊の頭はフンと一瞥した。

「しかしこれでハッキリした。首謀者はやっぱりホーリックス商会だ。」

 私が死んで得をするのは誰か、確かにそう考えた時一番しっくりくる。水を高値で販売するホーリックス商会……。

「後はどうやって証拠を叩きつけてやるか、だな」

「ここはサラさんに出てきてもらうしかないでしょうか」

「あいつの傷を治してやったんだって?」

「はい、おかげで盗賊たちの口からホーリックス商会の名が出ました。北風と太陽作戦です」

「北風と太陽?なんだそれ?」

「私の世界にあるお話なんですよ」

 北風と太陽のあらすじを教えてあげると、ディーズさんは納得していた。

「拷問の後の優しさが効くってわけかー」

「私、もう一回サラさんと話してみます」

 サラさんを説得して、何としても証拠を掴まなくては……。

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明日も12時時頃投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読させていただきました! なんとたくさん事態が動いていて目が離せません。 爪を剥ぐと聞いてドキッとしましたが天音は優しいですね……。 ケイティーさんもよかったです。ほっとしました。 続…
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