006
作戦会議の翌日。一行は予定通り探索を開始したダンジョン内部に入ると事前の情報通り魔獣のいない大広間が広がっていた。
「かなり広いな。ここは魔獣の存在は確認できていない空間だ!各自散って探査してくれ!一人にはなるなよ!」
探索メンバーは、西風の五人とダンチョー、カーム旅団から四人の計十名となった。ダンチョーの指示のもと探索メンバーはそれぞれ行動を開始した。
カーム旅団は非戦闘員も含めて、50名が所属する大所帯だ。この探索に加わらないメンバーは、拠点の維持を担当するそうだ。
彼らカーム旅団の現役引退は冒険者なら大半が知っていることだ。ダンチョーも今回で最後と話していた。
「どうだ!何かあったか!?・・・・まぁ、そうだろうな。よし、全員集合だ。」
ダンチョーは探索メンバー全員を集めるとアヴァを手繰り寄せて捕まえた。
「よし!あんちゃん。出番だ。どうせなんか思い付いてんだろ?エリックと嬢ちゃんに聞いてるぞ。」
「イタタタッ!離してくださいって!」
アヴァはダンチョーの太い腕から逃れると近くの団員に指示を出した。
「では、ものは試しに。とりあえず入り口の扉を開放して下さい。あとは時間が来れば何か起きるでしょう。自分の予想が正しければ、本当の入口が現れるはずです。」
アヴァの予想通り、時間経過と共に太陽の光が辺りに差し込む様子が徐々に強まってきた。まるで予見していたかのように、光は広間の奥へと進み、シンボルに触れた瞬間、一際輝きを増している。その煌めきは光の反射が広間に満ち渡り、眩しくも美しい光景を作り上げ、天井から差し込む光と一体となって広間の中央に強烈な光の柱を形成した。
その圧倒的な光輝は、その場を完全に支配していた。一行は息をするのも忘れてその光景を食い入るように見ることしか出来なかった。
「こいつぁヤベェ匂いがプンプンしやがるな。」
「そうだな、慎重に進もう。ソフィア頼む!」
ソフィアは祈りを捧げて盾を構え、光の柱に触れ、そして中へと進んだ。
「エリック!下に降りる階段があります。先行しますので、体制を整えて皆さん着いてきてください。」
「わかった!レオン、アヴァはすぐに追ってくれ。すまない。ダンチョー指揮を頼む。」
神秘的な光景とは裏腹に今回の探索への不安が募る一方であった。
「あんちゃんが現地確認で戻ったらすぐ降りるぞ!気ぃからげていくぞ!」
こうして新発見ダンジョンの探索が始まった。
一行が光の柱の中に入って数時間後、光の柱は完全に姿を消しあたりは静寂に包まれていた。
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作者のやる気が漲ります!