005
「ようやく着いたな!皆んなお疲れ様!」
疲労の色が濃いパーティーを元気付けるようにレオンは溌剌とした声で仲間を鼓舞していた。
「今日明日は休息日だ。しっかり身体を休めて探索に挑もう。俺は相手さんと顔合わせしてくるからこっちのことは頼むな!」
エリックはそういうと先着の冒険者パーティーが張っていた天幕へと入っていった。
大陸北部の山岳地帯に位置するこのダンジョンは、険しい斜面に固くそびえ立つ岩壁が迫り、眼下には樹木の茂みが生い茂る森が広がっている。
時折、風が吹き抜けて樹木の葉がざわめき、山鳥の鳴き声が響き渡った。
エリックが入った天幕の先には巨大な石柱が立ち並ぶ幅のある歩廊が伸びており、差し込んだ太陽の光がダンジョンの入り口と思われる扉を照らした。
「もうヘトヘトよ・・・。お風呂入りたいわ。。ソフィアはまだ余裕そうね。」
「いえ、さすがに疲れてますよ?お風呂は入りたいですが、ここでは難しいでしょう。リリアンの衛生魔法がある分贅沢は言えません。それにしても、一体誰が見つけたんでしょう?」
「そうね。何の用があってこんなところまで来たのよって感じよ。それにしてもダンジョンっていうには立派過ぎない?古代遺跡みたい。」
「ーーーこの前のダンジョンを思い浮かべてしまいますね。」
「ーーー西風のエリックです。団長はどちらに?」
エリックは想像外の状況に戸惑っていた。
「あー。この仕事の相方さんね。うちの人なら依頼に行ってるよ。予備調査ってやつさ。」
応えてくれたのは幼児をあやす女性だった。佇まいや雰囲気から察するに彼女も冒険者だろう。
日が傾く頃には戻ると聞いたエリックはその場を後にし仲間と一緒に野営の準備に取り掛かった。
日が傾き始めたころエリック達の元に来訪者があった。
「おう!よろしくな!オレはこのカーム旅団のガレットだ。みんなダンチョーって呼ぶからお前らも好きに呼んでくれていいぞ!早速だが、飯はまだだろう?保存食なんか食ってないでこっちで宴会するからお前らも来い!懇親会だ!」
呆気にとられる一行を気にも止めず禿頭の大男ガレットは去っていった。
「早く来いよ!全部食っちまうぞ!」
その夜、カーム旅団が開いた懇親会のお陰で万全に英気を養い、すっかり打ち解けたエリック達。
翌日お礼も兼ねて全員で天幕に向かった。
「ダンチョー、昨日はありがとう!」
「おうよ!レオンだったか。あんちゃんは無事か?なんだいるじゃねぁか!顔色悪ぃぞダハハハ!」
ジト目でガレットを睨むアヴァだが、レオンに耳打ちするとそばにあったタルに腰掛けて項垂れた。
「アヴァがでかい声が頭に響くからボリューム下げてくれ。だってさ。」
「それくらい我慢しろぃ!まぁいい。お前らも参加してくれ。今から作戦会議。昨日の予備調査の結果を共有するところだ。」
このダンジョンは外側から見る限りでは遺跡と呼べるほどに意図的に造られたものである。歩廊から日光を差し込む作りになっていることから儀式的な意味合いがあると予測される。
扉自体は大きさはかなりのものだが、人力で開閉可能。トラップらしきものも確認できなかった。
「扉の中は、外と似たように遺跡みたいな大広間だった。踏み込んじゃいねぇからそれ以外のことは分からないが、魔獣の姿はなかった。予定通り探索開始は明日だ。あんちゃん今日は飲み過ぎんじゃねぇぞ!」
「ダンチョーこのあとちょっといいか?指揮系統や探査メンバーの情報交換をしておきたい。こちらからは俺とリリアンが参加する。」
「いいぜ!こっちからはオレともう一人だな。」
皆様ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますがお楽しみいただけたでしょうか?
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作者のやる気が漲ります!