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初投稿です。楽しんでもらえたら幸いです。
地を震わせる轟音が周囲に響き粉塵を巻き上げた。周囲からは数人の荒い息遣いだけが聞こえてくる。
「なかなか手応えあるダンジョンボスでしたね」
額に浮かべた汗を拭いながら銀髪の女性が仲間に声をかけた。
「ソフィア、まだ気を抜いたらダメだよ。エリック!そっちはどう?」
「大丈夫だレオン。魔力の残滓が光になって消え始めている。こいつはもう動かんよ。討伐完了だ!」
三人は互いに拳を突き合わせて健闘を讃えあう。
「皆さんお疲れ様です。探索は自分とリリアンさんで行いますので脱出魔法陣の近くでキャンプの準備をお願いします。」
「ちょっとアヴァ!あたしも疲れてるんですけど。」
「いいじゃないですか。装備の手入れも先にやってもらった方がうるさくて寝れない!なんてこともなくなりますよ。行きましょう!では皆さんよろしくお願いします!」
「ちょっと待ちなさいよ!みんなの荷物その辺に出しとくからソフィアあとはお願いね!」
とんがり帽子の女性を連れ立って短弓を携えた赤髪の青年は周囲の探索に向かっていった。
「うちのパーティーは緊張感がないねぇ。さぁ二人ともお言葉に甘えて一息吐こうか。」
エリックの仕切りで二人はキャンプ準備に取り掛かるのであった。
目の前に広がる部屋は荒廃していて、長い間手入れはされていない様子がうかがえた。石の壁にはかなり劣化しているが古代のものと思われる文字や絵が刻まれており、何か重要な情報が隠されている可能性を感じなくもない。
アヴァとリリアンは空間の中央で辺りを見回していた。
「不思議だと思いませんか?他のダンジョンと比べてボス部屋が広すぎる。伝承の古龍と戦うわけでもないのに。内部の装飾は神殿のような造りであの扉の先は脱出魔法陣。絶対何かありますよ。おそらく知っているものだけを通すためのフェイクです。自分は風の通りを見ていきますので、リリアンさんは壁面の模様から当たって下さい。」
リリアンは少し訝しむ表情を浮かべながらも了承し調査をし始めた。
リリアンは壁の前に立ち、じっと観察する。彼女の目は慎重に模様の細部を追っていき、頭の中でパズルのピースを組み立てるかのように情報を繋ぎ合わせていった。
どれくらい経っただろうか。彼女は突然手を叩いて声を上げた。「みんなこっちに来て!」
仲間たちは興味津々でリリアンの解読結果を聞きたいと近づいてきた。彼女は模様の中の構図を指さしながら説明を始めた。
「この模様におそらく意味はない。古代文字っぽい感じはするけど意味ある配列ではないと思うわ。意味を持つ配列を隠す目的でしょうね。よほど隠したい何かがこの先にあるってことかしら?」
仲間たちはワクワクと期待に胸を膨らませる。リリアンの解読が正しかったならば、彼らは新たな挑戦と発見の旅に向かうことができるのだ。
「隠し通路があるってこと?どこに?どうやって開けるの?魔法?」
目を輝かせたレオンがリリアンに詰め寄る。
「さぁどーでしょ。それはアヴァ先生が見つけたんじゃないの?」
「すみませんが今回はお手上げです。それらしい痕跡は壁にも床にもありませんでした。ということはリリアンさんの解釈通りなら魔法的に隠された場所ということです。自分は降参ですのでどうかご教示お願いします。」
「やれやれね。では教えて差し上げましょう。ーーーーー休憩したあとでね!」
皆様ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますがお楽しみいただけたでしょうか?
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作者のやる気が漲ります!