職業
「というわけで、仕事に行こう」
「また急だね、ルイにいちゃんの仕事ってなんなの?」
「聞いて驚くなかれ、俺の仕事は…農家だ!」
「なんの?」
「畑だー!」
洋匡は渋い顔をした。
なんせ
「なんていうか…農家ってマ?」
「うるせー、これでも畑の農家として有名なんだぞ!」
「マ!?」
「そーだぞ、有名なんだぞ」
説明すると、
ルイは畑仕事をしているが、なんせこの国の作物は質が少し低いのだ。
そこにルイは日本での知識を活かし、農作物の質を上げたのだ。
そして、王都で売れば、質が高いので売れるは売れる。
そしてルイは畑農家として名をあげたのだ。
「へー、ルイにいちゃんって頑張ったんだね」
「そうだ、だから期待に応えるべく、毎日畑仕事を頑張っているんだ」
「おー」
「ということでいくぞ!」
「どこに?」
「畑だ!ヒロマサもな!」
「は!?」
「強制だ」
「え、これ、行かなきゃいけない?」
「うん」
そうして洋匡とルイは部屋を出た。
そうして、外に出るとお婆さんが話しかけてきた。
「あらルイちゃん、元気?」
「あぁ、元気だよ。」
「そう、それで…その子は誰かしら?」
洋匡は急に話を振られ、びっくりした。
「ああ、この子は俺の従兄弟だ、ヒロマサ、挨拶してやれ」
「は、はじめまして」
「はい、はじめまして。私はアリシェよ、へールイちゃんの従兄弟ねー、ヒロマサちゃんこれからよろしくね」
「わ、わかりました」
そうしてアリシェと別れた。
洋匡はどこにでもいそうなお婆ちゃんだなーと思っていた。
「ルイにいちゃん、あの人は誰?」
「あぁ、あの人は俺の住んでいるアパートを管理しているお婆さんだ」
「へー」
「アリシェおばあちゃんとでも呼んでやれ」
「おけ」
「あとひとつ聞いていいか?」
「なに?ルイにいちゃん」
それは、多分今まででも一度は思い浮かんだであろう質問内容だった。
「お前、二人きりの時もにいちゃん呼びするのか?」
「うん、今も言っておけば慣れるしね。」
「時と場所を考えろ!」
実の従兄弟ではないのに、いつもにいちゃん呼びかよと思ったそこのあなた、いつもにいちゃん呼びにしておいた方が、楽なのだ。
だって、いつも言っておけばルイさんという心配はないし。
物事は全て慣れなのだ。
なお、ルイも怒っているが、弟ができたみたいで内心少し喜んでいた。
そんな話をしながら歩き、ルイの畑に着いたのだ。
「というわけで今から仕事をするぞー」
「おー、って俺は何をすればいいんだ?」
「そーだなー、それじゃあ、いまは畑を耕し中なんだが一緒に耕してくれ」
「ラジャ」
そうして、仕事を手伝うことになった。