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5話 襲撃、そして討伐

今日分かったことはフィアンナ地方の大半の村が壊滅していると言うことだ。ユウキいわく、魔獣の可能性が高いそうだ。今、無事な村を探していたところだ。


「村があったぞー!」


兵士の一人が叫んだ。

どうやら無事な村があったようだ。


「グワッ!」


急に声がして辺りが騒がしくなった。


「どうした?」


今の声は後方から聞こえてきた。振り返ると、そこには黒い猪がいた。


「魔獣発見。対処だ。」


ゴルさんが叫んだ。

ところが、兵士達はなすすべなくやられていく。


「僕が出るよ!」


その声と共に小さき金髪の戦士が猪に攻撃をした。


カキン!


と音がしてオスカーの剣が弾かれた。


「!」


(オスカーの剣をはじくほどの硬さがあるのか、、)


オスカーはまたもや剣を振るう。しかし、結果は同じだった。そして、猪が体を少し揺らすと、オスカーは吹き飛ばされた。

この出来事は兵士たちの心を折るのに十分すぎた。


「っ!逃げろー」


誰かが叫ぶと、一斉に兵士は逃げた。

残ったのは隊長と副隊長の五人だけだ。


「副隊長以上のみで片付ける。」


そう言ってゴルさんは猪へ攻撃を繰り出す。負けじと僕らも剣を振るう。


「っ!硬い!」


しかし、みんなの剣は猪には通用しなかった。


「みんな!身体強化と武器強化だ!」


その声と共にみんなは剣に魔力を込める。武器強化とは身体強化を応用したもので、武器に魔力を流して攻撃力を上げる効果がある。


「では、私も本気で」


そういうと、ディアミットは背中に掛けていた二本の槍を手にとった。彼は二刀流というか二槍流の戦士である。


「突撃!」


数秒後、僕たちはみんな手傷を負い猪はいくつかのかすり傷を負った。しかし、戦況は著しく劣勢だ。

ここでユウキが剣を鞘に収めた。


「炎魔法!」


そう言って火の玉を放った。それを食らって猪は初めて声を上げた。


「ブヒィ!」


(猪はブヒィとなくのか?)


「よし、効いています。僕達はユウキの支援を!」


その後は消耗戦だった。猪は少しだが確実にダメージを受けている。俺たちも傷があるとはいえまだ動ける。しかし、甚大な問題が発生した。


「回復薬、切れた。補充頼む」


「僕もないよー」


「すみません。僕もです。」


なんと、回復薬が切れたのだ。俺も残りは一瓶しかない。

仲間たちの間に動揺が走った。その隙を猪は見逃さなかった。これまでにない速度でユウキに突進したのだ。


「!間に合わない!」


ユウキは防御しようとしたが、間に合わない。


「グハッ!」


胸に牙が突き刺さる。


「っく。治癒魔法」


「ユウキお兄ちゃん!」


オスカーはすぐに助けに行った。しかし、猪に気づかず、そのままやられてしまった。


「二人とも!」


これで戦局が変わった。ユウキなしではろくにダメージを入れられない三人と強大な力を持つ魔物。このままでは全滅の恐れもある。


「悪い知らせだ。思うにあの猪はB級はある。」


「「!」」


簡単に言えばドラゴン級だ。本隊の人たちなら数十匹は相手にできるが、フィアンナ隊では無理だ。せいぜいC級魔獣ほどで手一杯だろう。




もう走り疲れた。猪はもう追ってこない。


(あれ?ゴル隊長たちはどこだ?まさか、戦っているのか?僕達はそれを放って逃げてきたのか?)


今になって罪悪感が芽生えた。

(そもそも、僕達はスパルタクスさんに救われた日に誓った筈だ。この国を変えると、この命を捧げると。なのに、いざとなったら恐怖で逃げ出すとは、なんで卑怯なやつなんだ。)


震える足を無視して立ち上がった。


「おい、どこに行くんだ?」


「戦いだ。」


僕はそう言い放った。







(クソっ!このままじゃあみんなやられる。何か手立てはないのか?)


「氷魔法!」


どこからか女の声がした。そして地面からつららが現れ、猪を串刺しにする。


「ブヒィ!」


しかし、猪は氷が刺さったまま、どこかに突進し始めた。その先には黒髪の少女がいた。


「危ない!」


少女にぶつかる寸前、ディアミットがとっさに猪し飛びついた。運の悪いことに彼の腕に猪の牙が刺さった。 しかし、彼は猪を掴み、目に向かって槍を突き刺した。

突然だが、頭蓋骨を思い浮かべてほしい。すると、目の所には骨がないとわかる。つまり、長い槍は脳みそを貫いたのだ。

ちなみに、少女は気絶した。

あたりに豚の絶叫がこだました。まあ、その声の主は猪であるが。猪は一旦ひこうとしたが、ディアミットが牙を抜かせない。


(なんて胆力だ)


「ブヒィ!」


牙を抜くのあきらめた猪はなんと、炎魔法を放った!魔法を使う魔獣など初めてだ。これではA級ほどの実力はあるかもしれない。

ディアミットは全身が燃えている。しかし、腕を離さなかった。そして、もう一方の槍を猪の口に突き刺し、そのまま心臓を貫いた。


(そうか、腹は無防備なのか!)


「ブヒィ!」


そして猪とディアミットは力尽きた。






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