19話 撤退、そして援護
今日からしばらく毎日投稿します。
「連絡です!帝国軍がフィアンナ地方に進軍いたしました。相手方は約三千人人、たいしてこちらは百人です。」
「なんだと!」
「一人当たり三十人を倒せばいけるか…」
「む、無理ですよ隊長!」
兵士からは完全に士気を感じない。
そこで一人の兵士が声を上げた。
「おい!俺たちはさっきみたいに逃げるのか?」
彼の言葉には士気を感じらことができた。
「だって仕方ないだろ!こんなの死にに行くようなもんじゃねえかよ!」
「だからなんだ!俺たちが逃げたら農民は死ぬんだぞ!」
「そ、それは…」
一人の兵士が口籠る。
「俺たちが戦っても結局変わんないよ!」
どこかから声が出る。
「だとしても、みすみす指を咥えて眺めてろっていうのか?」
「確かに、俺はコイツの意見に賛成だ。どうせだったら一人でも多く道連れにしてやる!」
「お前ら正気か?」
気づけば三軍は2つに分かれていた。
「もういい!」
ゴル隊長が叫ぶ。
「死ぬ気がある奴は俺に続け!それ以外は好きにしろ!」
「ユウキさん、あそこです!」
ディアミットの指す方向を見ると2軍の兵士が固まっていた。
「僕たちは3軍副隊長のユウキ、デムナ、ディアミットだ。援軍に来た。」
兵士の一人が応じた。
「今、隊長たちは帝国軍のドラゴン、フィービーと名乗る二人組と交戦中です。援軍が来るまで手を出すなと」
「わかった。では案内してくれ。」
そこは地獄絵図だった。木々はへし折れ、男がクーフーリンとスカサハを一方的に殴りつけていた。
「やめろ!」
デムナが駆けです。
男が顔を上げてデムナを見ると言った。
「君は正義感あふれる人間だね。そんなもの捨てちゃいなよ。」
デムナが立ち止まる。
「なんのことだ?」
男が口を開く。
「僕はアーラシュとかいうやつと同じような魔眼を持っている。だからわかるんだよねぇ。君がいかに正義感あふれる人間か。」
「だから何だ!」
デムナが男に切りかかる。
「続け!」
「氷魔法!」
「炎魔法!」
そしてディアミットは二本の剣を抜く
「いざ、勝負!」
三本の剣は掠りもしない。それどころか懐に入り込まれて殴られる始末だ。また、ドラゴンは二人の魔法使いと自分の間にうまく剣士を挟み、下手に魔法を撃てない状況を作った。その結果、二人の剣士はあっけなく戦闘不能になった。
「あとはお前らだけだ。」
防御魔法も展開させる暇もなくアリアの腹部に重い一撃を入れる。
そしてユウキに襲い掛かる。
「光魔法!」
ユウキはドラゴンの目に向けてまばゆい光を放った。
「今のうちに撤退だ!」