待ち合わせ 【月夜譚No.150】
待ち合わせ場所の駅前広場は、人でごった返していた。これでは、友人を見つけるのだけでも一苦労しそうだ。
ひとまず予定の時間よりも十五分ほど早いので、彼女は広場の端の方に移動した。中央に聳える、よく分からない芸術的な像の周囲は、それが目立つせいで人も多い。あそこにいるよりは、相手が自分を見つけ易いだろう。
駅前ということもあり、ここは待ち合わせ場所にする人が多い。ざっと見た感じでは若い女性が多いから、彼女が今から行くイベント目当ての待ち合わせが大半なのだろう。
自分と好きなものが同じ人がこれだけ――いや、これ以上にいるのだと思うと、少し嬉しい。マイナーものを密かに静かに楽しむのも乙だが、仲間が大勢いると心強いのも事実だ。――まあ、その分限定品ともなると競争率が凄いことになるのだが。
左手首を返して腕時計を確認し、辺りを見回す。すると少し離れた位置に立つ女性と目が合って、安堵の息を零した。
友人と合流するというミッションをクリアして、後は今から盛り上がるイベントに思いを馳せるだけだ。
高鳴る思いを抱えた彼女達は、笑顔を合わせて軽い足取りを鳴らした。