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アルティオとエポナ

未来的な描写を書けるのはSFの楽しみですね!

 光が眩く反射した白銀の卵の殻の中に閉じ込められたような広い空間。ジェネシス号は未知の巨大宇宙船の内部に引き寄せられると、外へと続くハッチが閉まって閉じ込められてしまう。船体が完全に収納するとティアリスが座る操縦席の通信機から呼び出し音が聞こえてくる。


「……ティア。通信を解放してみて」


「はい」


 通信を解放すると電波音が流れてくる。それは異なる音波を重複して送っていて、繰り返される音源はまるで呼び掛けているようにも聞こえていた。


「まるで私達を呼んでいるような……」


「一定の周波数を暗号化してシグナルとして送ってきているのね」


「この通信どうしようかしら」


「返信するにしても何を返せばいいか……とりあえず通信は解放しておいて」


「はい」


 通信は繰り返されたまま閉じ込められた空間に空気が一斉に流れ込んでくる。空間の奥から小さな入口が開くと眩しい光の中で2つの生命体の影が見えてきた。機窓から船外の様子を緊迫して見ている中でギアは疲れ切った表情で呟いた。


「またエイリアンかよ……」


 開いた入口から出てきたのは2人の少年少女。人と全く変わらない生命体。白く分厚い化学繊維のようなゆったりとした服を着て、服装から見ると凛とした肩幅の少年と、澄ました姿勢の少女。こちらの船体の操縦室の窓を見上げながら2人は入口の前で静かに立ち止まっている。


「私達、人間と見た目は変わらないようね。さっきの通信はきっと私達を呼びかけていたのかも。こちらも呼びかけに応えて外に出てみましょう」


 ソレイユが提案すると傷ついて動けないギアは引き止めた。


「ソレイユ、さっきのエイリアン見ただろ。そいつらと戦ってたやつらだ。出ていくのは危ねぇよ」


「もし私達と敵対するか、拿捕して調査対象とするなら、強制的に船から降ろして捕らえることもできる。彼らは私達と通信を試みて、2人の使節を送って友好的な接触をしようとしてる。こちらも2人で出ていきましょう」


「じゃあ俺が行こうか?」


「ギアは怪我してるでしょ。ティアに治療してもらって」


 ソレイユが操縦室を見回すとクライスとエレミアは後部座席に座って固まったまま動かない。療法士セラピストのティアリスはみんなの治療のために残さなければならない。


「ライセ、私と一緒に来てくれる?」


「いいよ。出てみよう」


 着替え終わったライセとソレイユはジェネシス号のハッチを開けて船外に出てみることにした。入口に立っている2人に慎重に近づいて見てみると、向こうもこちらと変わらない少年と少女。こちらが船から降りて近づいて来るのを確認すると、2人は振り返って出てきた入口へと入っていく。


「着いてきてってことかな? 」


「そうね。行ってみましょう」


 少年と少女が先導する入口に入っていくと、中は白い壁から光があふれる通路が続いている。奥の部屋に辿り着くと白いテーブルの上には大きめの2つバイザーと、テーブルの向こうの2人は何も言わずに立っている。


「ソレイユ、これを掛けてみてってことかな? 」


「そうみたいね。私達で言うところのAIグラスか通信装置のようなものかも」


 ライセはバイザーを手に取ると両目から両耳まで包む大きめのもの。先導した相手を見てみると何も言わずに黙ってこちらを見ている。

 ソレイユと一緒にバイザーを掛けて見ることにした。するとバイザーは顔や耳、頭の大きさを感知して光や音が漏れないようにライセの頭を包むように密着する。バイザーの中で目を開けてみると数字や記号の羅列と音の信号を脳のシナプスに直接伝達するように多くの情報が一気に流れ込んでくる。

 数分間、情報を受け取ると目の前の画面はぷっつりと消えて、2人はバイザーを外してみた。


「突然、無言で先導したので驚かれたでしょう。今、着けて頂いたバイザーはこの宙域の共通言語の一部をあなた達の脳へと伝達する装置です」


 目の前にいた少年が話し始めたその言葉がライセとソレイユにもはっきりと伝わった。驚いていると少女の方が自己紹介をしてくれる。


「私達はこの宙域を警戒巡航をしていたハイドラント人です。私はエポナ。隣りはアルティオ。あなた達と見た目は変わりません。私達はあなた達がどのような文明と技術を持っているのか、どうやってこの宙域に来たのか興味を持っています。よろしければお互いの交流を望んでいますのです」


 その話し方はあまり抑揚が無くゆっくりとした口調で少し無表情だが正確に情報を伝えてくる。

 ソレイユは相手の言葉をそのまま返す形でバイザーから得た言語でこちらの自己紹介を試してみた。


「私達は地球人です。私はソレイユ、隣にいるのはライセです。この宙域には高次元転送の際に誤って着いてしまったようです。襲われて困っていた時にあなた達に助けてもらいました。こちらもお互いにとって友好的な交流をしたいと思っています」


 ソレイユが挨拶をすると、アルティオとエポナは「高次元転送」という言葉を聞いて驚いた表情を見せている。そしてエポナはソレイユに聞いてくる。


「ソレイユ、地球とはどちらにあるのです? 」


「天の川銀河系中心から2万6千光年の軌道上、太陽系第3惑星になります」


 エポナはまた目を見開いて驚きながら、隣のアルティオは無表情に考え事をしている。


「こちらは天の川銀河系中心から1万1千光年の軌道上のハイドラント宙域なのです。よくここまで来れたのです」


「高次元転送の誤りによるものかもしれません。偶然この宙域に転送されて私達も驚いています」


 その後も話をしてみるジェネシス号を襲ったのはハイドラント人と敵対するラーザゼル人。アルティオ達は今から惑星ハイドラントに戻るらしい。

 惑星に着いてから船体の修理と補給、互いの交流を深めるために話し合いをするということでライセとソレイユはバイザーを借りてみんなが待っているジェネシス号に一旦戻ることにした。


文章が長くて読みにくいことに気づいて、短い文章にしました。読みやすいというのは大切かなと思います。

会話と短文だけでは中身が無くなってしまうし、描写や世界観や思考を楽しんで欲しいけれども、両方というのは難しい。

SFならではの神秘性や科学を活かしたいと思いつつも現実との相違の理由付けを楽しく見せて行きたい。異世界ならこの辺は飛ばしていいのかもしれません。

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