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集合意識クオリア

久々の更新です。

 ライセ達3人は惑星レアールの集合意識クオリアの居住区へと向かっていた。

 地下中央管理塔へと降りる透き通るエレベーターの中で先導するヨシュアはライセと話している。


「惑星レアールにはかつて数千億人の人類が住んでいましたが、多くの人が儚い生命を嘆いてクリスタルロイドになったそうです」


「数千億人? 郊外にも行ってみたけどそんなに多くのクリスタルロイドはいなかったよ」


「はい。かつてはレアール人が意識を移したクリスタルロイドが地上に住んでいましたが、時が経つにつれていなくなり、今はクオリアの元に集まっています」


「この惑星レアールの地下にまた別の市街地があるってこと? 」


「それは私にもわかりません。私が管轄していたのは地上の入港施設。地下に行くことは禁じられています」


 エレベーターを降りて着いた場所は巨大な丸い球体が置かれた中央管理塔。その場所までは細く長い通路で繋がっていた。

 透明の巨大な球体に映る惑星の情報を取り囲む数十体のクリスタルロイドが指示を出している。どのクリスタルロイドも無機質に作業を進めていてライセ達に気づく様子は無かった。


「あれが中央管理塔ね。ヨシュア、向こうに行けばナルシアの手術室を中止できそう?」


「はい。やってみます」


 円形の空間の中に制御塔までは透明の硬質ガラスの通路が細く長く続いていた。足元を覗き込むと地下深く、光が霞む奈落の底が見えている。

 地下数百メートル奥底が霞んで見える細長い透き通った通路をヨシュアを先頭にソレイユ、ライセ、ティアリスが続いていく。足元に見える地下からは白いエネルギーを吸い上げるように何本もの柱が通っていた。

 一歩ずつ慎重に足を運んで行って、通路の中央に差し掛かった時。


 ──不審者を感知しました。第4通路を排除します


 中央から聞こえた声と共にガラスの通路は管理塔側から崩れていく。ヨシュアと3人は立ち止まり、慌てて後ろに下がろうとするが、それよりも早く足元の通路は粉々に砕けて無くなっていく。


「通路が崩れてくわ!」


「ティア! 下がれる? 」


「待って! そんなに早く下がれない」


「まずい! 落ちるよ! 」


 足元の通路が崩れて無くなっていく。ヨシュアと3人はそのまま深層へと落ちてしまう。ライセは慌てて透明の壁を見回すが捕まる場所はどこにも見当たらない。奈落の底へと落ちていく中でライセが叫んだ。


「ソレイユ! 重力を! 」


「待って! 集中するからこっち見ないで! 」


 ソレイユは落ちてめくれ上がるスカートの裾を気にして抑えていた。ライセがソレイユから目を背けると上からはティアリスがワンピースの裾を抑えている。

 2人を見ないようにライセは目を閉じて落ちていく速度に身を任せた。

 床に衝突する瞬間、ふわりと浮いた体は重力に包まれながらヨシュアと3人はお尻から床に着いていく。


「なんとか間に合ったみたい……」


「助かったよ……」


「ソレイユのおかげね」


「ありがとうございます」


 みんなで無事を確認して立ち上がると周囲は白く靄がかったガラスの底。まるで深海の海底のように地下からは白い光だけが地上に伸びている。

 霞む視界を不安気に見回していると、足元の床がぽつぽつと小さな明かりを点していく。小さな明かりは床一面に広がってライセ達の足元も照らし始めていくと靄がかった床の明かりを見て全員が驚愕した。


「……この床の下にあるのって」


「これは人間の脳髄……」


「すごい数……」


 床一面に広がる区切られた小さな青白い水槽には幾千もの人の脳髄が液体に漬けられている。

 広がる床の明かりに周囲を見渡すと、地下空間の壁は大量のクリスタルロイドに囲まれていた。ガラスのマネキンのように様々な人の形をした無数のクリスタルロイドをライセは見渡していた。


「もしかして……。これはかつてのレアール人達の脳髄とクリスタルロイド……」


 取り囲むクリスタルロイドは大人や子供、透き通る髪や顔、体型もそれぞれが違って、まるで生きたまま心をガラスに閉じ込められたように動かない。


「ここはかつてのレアール人達のために造られたクリスタルロイドとその意識が保管された場所……」


「私達、機械として造られたクリスタルロイドは見た目がどれも同じですが、生きていた人の意識から造られたクリスタルロイドはその外見を正しく再現して造られています」


「人の脳内のシナプスは複雑すぎてどんなに精密な機械でも再現できない。だから生前の意識と一緒にここに保管されているのね」


「ねぇ! あれは何!? 」


 ソレイユとヨシュアが話しているとティアリスが頭上を見上げて叫んだ。頭上高くに浮かび上がる巨大なガラスの球体に映像が流れてくる。目覚めた意識が記憶を甦らせるように人の思い出の映像が流れて増えていく。


「床に広がる脳髄が目覚めたのかも……」


「これは……生きていた時の記憶よね……」


「うん。次々に増えていってる……」


 家族の思い出や恋人同士、母親に抱かれているものや子供達が無邪気に遊んでいる映像。白い髪にライトグレーの瞳をした人達の立体映像が球体の中に流れている。床に広がる意識からガラスで繋がる映像は透き通るの球体の中に、心臓に血液を流し込むように増殖していた。


「これが集合意識クオリアの居住区。かつてのレアール人がまだここに生きてるのね……」


 ティアリスの呟きにライセはギアが地上で感じた言葉を思い出した。


「これはただの追想。生きてなんかいない。記憶がここに閉じ込められてるだけだよ」


「そうね。どれも幸せな思い出ばかり。夢の中に取り残されてしまったレアール人達の意識ね」


 透き通る地下空間にソレイユの声が響き渡ると、幸せを映した立体映像はピタリと止まる。増殖した映像は無数の点となり巨大な人の顔を形成していく。

 意識が集積して頭上高くに浮かび上がった巨大な顔はその大きな目でライセ達を見下ろすと、ぬーっと降りてきてソレイユの前に行き着いた。


最近、リアル多忙で週末更新になってしまいすいません……。

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