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ジェネシス号

異世界や転生にパーティがあるなら宇宙にもリアリティのあるパーティがあってもいいと思ってしまいます

司令官コマンダーはソレイユ、正操縦士メインパイロットはクライス、副操縦士サブパイロットはエレミア、船体整備士フレームメカニックはギア、動力整備士コアメカニックはライセ、療法士セラピストはティアリスにする」


「あの……僕達だけで宇宙に行くんですか? 」


「そうだ。君達だけで宇宙に行ってもらう。シャトルはこちらから自動操縦も可能だが、自立して君達に操縦してもらう。君達だけで操縦し、修理して、健康状態を維持して、目的を達成してもらいたい」


 周りを見てみるとどの表情も不安は全く感じられない。むしろ好奇心に満ちていて、ここで弱気を見せれば宇宙飛行士になんてなれないといった自信に溢れている。


「これからの3週間は専門分野の習得と訓練になるがソフトスキル、協調性を持ってもらうために共同生活を行ってもらう。同じ時間に起きて、朝昼晩の3食を共に過ごして、互いのことを知る機会と捉えて欲しい」


 午前は専門講習、午後は宇宙空間を想定したトレーニング、夕方は宇宙遊泳の訓練も兼ねた室内プールでの水泳を毎日続けていく。


 午後の訓練が終わった室内プール。

 ライセは疲れ切った頭を冷やすように静かに泳いでいるとクライスとギアは瞬発力と持久力を競い合って泳いでいる。1人で泳ぎ疲れてプールサイドに上がろうとすると、見上げた目の前には金色の髪を後ろで括ったティアリスがいた。


「ライセ、また会えたわね」


「ティアリス……」


「ティアでいいわよ」


 しゃがみこむティアリスの水着姿、白い肌と胸元が目の前に迫ると目のやり場に困ってしまう。見下ろしてる彼女は悪戯げに笑ってる。プールサイドに上がってあの時、何も話せなかった彼女に何気なく話し掛けてみた。


「……ティアはなんで宇宙飛行士に? 」


「んー……。親から言われたんだけど……。今は誰もが世界旅行ができるけれど、次の時代は宇宙旅行らしいの。そのために……」


 彼女が言いにくそうに目を逸らすとライセは話を変えてみた。


「ティアは天文学とか物理学とか惑星学とかってわかる?」


「私もよくわかんないわ。でもみんなで宇宙に行けたら楽しそうじゃない」


「そりゃそうだね! 」


 宇宙へ旅立つためのモチベーションが何だって構わない。ギアと2人で船体構造と点検修理を、クライスとエレミアは動力コアと操縦を、ティアリスは生体維持装置と体調管理を、ソレイユはそれら全てを習得していた。

 夕食後はギアと一緒にソレイユに天文学や物理学を教えてもらって、ティアリスもエレミアも説明を受けている。クライスは情報を共有できるようにタブレットを繋げてくれた。誰も到達したことがない未知のルートに眼前にある宇宙への切符を掴むための過酷な訓練が目まぐるしく過ぎていく。

 そして1週間前には任務ミッションが伝えられた。目的地は土星の衛星タイタン。地球から人工衛星で片道8年掛かる15億kmを最新技術を駆使して3ヶ月で往復する。


「未知の宇宙空間で、もし君達の誰か1人が集中力を欠いて手を抜けば、乗組員全ての生死に関わると思っておいて欲しい」


 四道教授から任務を伝えられて全員の緊張が高まる中、ギアだけは気の抜けた表情で質問する。


「あのスペースシャトルって名前付けないのか? 」


「……名前か。君たちの好きにすればいい」


 自分達がこれから3ヶ月乗るシャトルの名前に一同は考え込んでいるとソレイユが提案した。


「ジェネシス号っていうのはどうかな? 」


 クライスはその名前に真っ先に反応した。


「ジェネシス! 創世、起源て意味だね。素晴らしい!」


「そうよ! みんなで人類の新しい起源を創りましょう! 」


 シャトルの名前がジェネシス号に決まった後1週間、自分達ができることを最後までやり遂げた。そして全ての訓練を終えた出発前の前日、ライセは父さんと2人で研究室にいた。


「ライセ。よく頑張ったな」


「うん! 父さん行ってくるよ」


「これを渡しておこう。四道家に伝わる日本刀だ。お守りと思ってお前に持っていて欲しい」


「いいの? これって父さんが大切にしてるものじゃない? 」


「父さんの大切なものはお前が叶えてくれそうだ。父さんの分も宇宙の旅を楽しんで来て欲しい」


「はい! 行ってきます! 」


 6人でシャトルに乗り込んで行く。船体中央は広いリビングスペースと両側には個室が並ぶ居住空間を最大限に考慮した火力燃料を積まない構造。船体前方には6人が座る操縦室が、船体後部には格納庫と動力コアが搭載されている。

 全員が乗り込むとハッチが閉まってそれぞれが操縦室に座っていく。


 シャトルの外の操作室には四道教授、由良教授、芦名教授の3人が彼らを見守っていた。


「彼らが我が国の宇宙開発の新たな第一歩となる。きっと技術や知識を身につけて未来へと続く道を切り拓いてくれるだろう」


「狭い世界の中で互いに競い合わせる時代は終わりを告げるべきです。彼らこそ我々人類にとってパンドラの箱に残った最後の『希望』になるかもしれません」


「あの子達ならきっとやり遂げてくれるわ。人にとって大切なのは夢に向かって突き進む直向きで純粋な心よ」


 眠りから覚めたジェネシス号は格納庫の中で支えられ起立すると、地上への開閉扉が開いていった。


ここまでがプロローグ。小説はこれから始まります。

読んだ人が頭の中で読み解いていくような、そして誰にでも楽しんで読めるような小説になりますように。(←他力本願)

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