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氷霜の闘技場

 6人が足を踏み入れた氷に覆われた巨大なドーム。

 青白く光るドームの天井からはキラキラと輝く氷の結晶が舞い降りてくる。足元の氷上には氷雪が薄ら積もっていた。

 ソレイユは胸のポケットから緑に光るポインターを出して円形の天井を差して見渡していた。


「……このドーム、何に使われてるのかな」


「格納庫にしても何もないし、まるで空っぽの巨大は動力室のような」


「大勢が集まる舞台アリーナのようにも見えてくるわ」


 ライセが超音波刀を振り上げるとキィーンと高い音が響いて舞い散る結晶に溶け込んでいく。

 入口から中央に進んでいくとソレイユが手に持つポインターの緑のレーザーが弱まっていた。


「この空間はレーザーが通らないみたい」


「私のブレードの青いレーザーも光っていませんわ」


「天井から降ってくる氷の結晶が乱反射してレーザーのエネルギーを収束させているようだね」


 ドームの中心まで進むと、先頭を歩いていたギアが突然振り向いて銃口を向けた。

 全員が振り向くとドームの入口にはネメシスと数人のラーザゼル人が闇から現れて立ち塞がっていた。


「まさかお前らの方から囚われに来るとはな」


 突然現れたネメシス。腰までの長い髪に血色の無い顔。青冷めた口元は歪んだ笑みを浮かべていた。

 ソレイユは彼女に向かって話し掛けてみる。


「あなた達はなぜ私達を襲おうとするの? 」


「お前達は次元を超えた技術を手にしている。我々にはその技術が必要だ」


「あなた達がその技術を正しく扱うのなら私達も協力する。正しくあるのなら襲ったりする必要はないわ」


「正しい?正しさとは相手を服従させ勝った者が決めること。技術を奪い強くなり得た者が正義となる」


「技術が正しく使われないなら私達は協力しない」


「あの船さえ回収すればお前達など必要ない」


 壁際に立っているラーザゼル人は闇から現れて次々と増えていく。見渡せばドームの周囲全てに数十人の兵士が取り囲んでいた。


「この場所は船内の兵士が戦う闘技場。レーザーもお前達の転送も使えない。この闘技場では命を賭けた争いに相手を切り刻み勝ち得た者のみが正義となる」


「勝った者が正義とか狂ってる……」


「人は集団の中で妬み憎しみ合い自らの正義のためだけに競い合う。それが人の本性なんだよ」


「ソレイユ。勝ちゃあいいならここにいるやつら全員倒して地球に帰ろうぜ」


 躙り寄るラーザゼルの兵士にギアは両腕を広げて銃口を向けていた。ライセは超音波刀を構えて、エレミアはレーザーブレードの刃先に氷塊を形作って2本の氷剣にする。


「どうせこいつらは下等生物だ!思い存分切り刻んでお前らの正義を思い知らせてやれ! 」


 ネメシスの怒号に狂気に満ちたラーザゼル人の兵士が一斉に襲いかかる。黒い細剣を振り上げて我先にと6人が立ち竦むドームの中央へと走り寄ってくる。


「クライス、レーザー装備は使えねぇ! これ使え! 」


 ギアはクライスにナイフを渡すと襲い掛かる兵士に向かって二挺拳銃を連射する。

 ギアの銃弾の壁を掻い潜って近寄る兵士にライセの超音波刀が、エレミアの氷剣が切り掛かる。ソレイユは重力波で相手を吹き飛ばし、クライスはプラズマが帯びたナイフで応酬する。


「くそっ! こいつらキリがねぇ! 」


「斬ったと思ったらすぐにいなくなる! 」


「致命傷は避けて傷を負っても後方に消えて、またすぐに回復して襲い掛かってきますわ! 」


 ギアが銃口を向けると兵士は闇に消えていなくなる。撃たなければ襲ってくる。撃っても致命傷を避けすぐに回復してまた襲い掛かってくる。

 黒い細剣を振り上げて次々に切り掛かる狂気の兵士にそれぞれの体力だけが削られていく。


「待ってて! 私がこのドームを破壊してみる! 」


 ソレイユが集中すると自身の体を空中に浮かせてドームの天井へと上がっていく。手を上げて目を閉じ集中して重力波でドームの天井を破壊しようとした。

 ソレイユに気付いたネメシスは前線に姿を現して青く光る鞭を振り上げた。振り回す鞭の青い閃光がソレイユの足に絡みつく。炸裂する電撃が空中に浮いたソレイユの全身を襲った。


「きゃあ! 」


「ソレイユ! 」


 気を失って落ちるソレイユをクライスが咄嗟に受け止めると、鞭を振るうネメシスの声が聞こえてくる。


「余計なことをするな! お前らは切り刻まれて泣き叫べばいい」


 乱戦の中でティアリスはソレイユを抱えて治療キットで手当する。

 ソレイユを守ろうとギアは踏み出し二挺拳銃を乱射するとネメシスは闇に消えていく。踏み出したギアの背後から兵士の黒い細剣が切り掛かかってきた。


「ぐあっ! 」


 背中を切られたギアの鮮血が氷上を染める。

 襲った兵士にクライスが身を挺してプラズマを流し込み、刀を振り回すライセが叫んだ。


「ギア! 」


「……かすり傷だ。ソレイユを! 」


 ギアは背中を切られても近寄る兵士に拳銃を撃ち続けていた。ティアリスは意識を取り戻したソレイユを抱え、クライスは体を張って立ち向かう。

 エレミアの氷剣は砕けて兵士を凍らせても闇に消え、ライセは兵士を追い払おうと刀を振り回し、その力も尽きていた。


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