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囚われの破壊神

 黄金の宇宙艇に転送され収容された女子2人。

 ソレイユとエレミアは厚い壁と格子状の電磁牢に囲まれた床の上で、後ろ手に手首と足首を縛られたまま目を覚ました。


「エレミア、だいじょうぶ? 」


「はい。どうやらこの状況は私達は何者かに捕まってしまったようですわ」


「そうみたいね。ティアがいないわ……」


「ティアを探しましょう。ソレイユは手足のロープは切れます?」


「えぇ。私はだいじょうぶよ」


 エレミアは集中して手のひらに氷の結晶を凝縮させると鋭い小刀を形作って手足のロープを切っていく。

 ソレイユも集中すると重力子を操作してロープを引き千切っていた。

 立ち上がった2人は辺りを見回した。


「とりあえずここを出ないと」


「外の廊下は誰もいませんわ」


 電磁牢の中で2人が話す小声だけが響いている。

 厚い壁と格子状の出入口には電磁波が伝わって青い光を放っていた。ソレイユは壁に目を向けて考えている。


「エレミア。ちょっと壁から離れていて」


「はい? 」


 エレミアが壁から距離を取るとソレイユは目を閉じ大きく息を吸って集中する。


「ドコンッ! 」


 電磁牢の厚い横壁はソレイユが操る脳量子共鳴サイコシンパサイズの重力波が一瞬で外側へと破壊する。粉々に砕けた厚い壁には大きな穴が空いていた。


「ティアを探しましょう! 」


「……は、はい」


 一瞬の破壊力に驚くエレミア。壁を壊した振動でずれた眼鏡を直してソレイユに着いて行った。



 電磁牢で眠らされていた男子3人は目を覚ますと後ろ手に縛られたロープが抜けずに苛立っていた。


「おいこれ硬く縛って取れないだろ!」


「武器も盗られてるし身動きも取れないよ」


「ロープを外してもこの頑丈な電磁牢からは抜けれそうにないさ」


 手足のロープを外そうと床の上で藻掻いている3人に遠くから豪快な破壊音と振動が響いてくる。


 ──────────「ドコンッ! 」


「おい! なんだよっ! あの音……」


「……地震? ミサイルなのかい? 」


 ───────「ドコンッ!」


「僕達の知らない宇宙の怪獣……」


「最新兵器かもしれない! 宇宙最強の傭兵とか」


 ────「ドコンッ!」


「いや破壊神だ……」


「あぁ、間違いない。この星を破壊しに来たんだ」


「ドコンッ! 」


 3人の男子は地下牢の中で寄り添って思いっきり目を閉じて震えていた。怖くて目が開けられないまま冷や汗をかいているとどこかで聞き覚えのある声がする。


「……あら、みんなここにいたのね。ティアは見なかった? 」


 目を開けると粉砕した壁からソレイユが現れた。

 姿を現した破壊神に3人は目を見開き声を揃えて返答した。


「見ませんでした! ! ! 」


 エレミアは手に氷のナイフを作って3人の男子の足首のロープを切っていると、ソレイユは天井の壁を見上げている。


「みんなちょっと壁際に寄っといて」


「はい! ! ! 」


「ドコンッ! 」


 ソレイユが一点を見上げ集中して静まる一瞬。天井の空間は歪み、破壊音と共に大きな穴が開いていた。


「みんな部屋の真ん中に」


「はい! ! ! 」


 目を閉じて集中するソレイユは重力波を操作して5人全員を浮かせて上の階へと運んでくれる。

 後ろ手をロープに縛られた3人は上の階へと辿り着くとギアがエレミアにお願いした。


「……あの、手首のロープも切ってくれませんか? 」


「それくらい自分でやりなさい! 今はティアを探すのが最優先ですわ! 」


「はい! ! ! 」


 ソレイユは勘を働かせ宮殿の奥へと破壊を続けていくと広間の壁を豪快に破壊した。


「ドコンッ! 」


 広い金の浴場には醜い薄ら笑いを浮かべたコーネリアスがティアリスの肩の薄生地に手を掛けている。


「ティア! 」


 ソレイユとエレミアが駆け寄って上着を脱いでティアリスの肩に掛けた。壁が破壊した音に目が覚めたティアリスは自分が置かれている状況がわからずに目を瞬かせている。


「お前達何をしてる! ここは私の屋敷だぞ! 」


 壁を破壊して入って来た5人にコーネリアスが怒鳴り声を上げると、冷たく睨むエレミアが近寄っていく。


「……おいこら、お前ティアリスに何をした?」


 エレミアは眼鏡を外して本性を剥き出しにする。浴場には寒く氷った空気が漂い、その凍てつく視線にコーネリアスは後ずさる。


「えっ、まだ何も……」


「あぁ? 何もじゃねぇよ! このド変態野郎がっ! 」


「この惑星のものは私のもの……」


「あぁん? なんだとこら! てめぇ人様をなんだと思ってんだ! 」


「……ひいぃ」


 エレミアの凍りついた覇気に怯えるコーネリアスは浴場の湯の中へと逃げていく。浴場に溢れる全ての湯をエレミアの脳量子共鳴サイコシンパサイズが一瞬で凍らせていく。


「す、すまない。助けてくれ! 私は言われてやっただけなんだ……」


「……おい、誰に言われたんだ? 言ってみろ」


「ラーザゼルのネメシスだ! 今、この惑星のドックで爪船を修理してる」


「どこにいる? どこで修理してんだ? 」


「入港施設の36番ドックだ。寒い、助けてくれ……」


 浴場が凍って身動きが取れないコーネリアスは寒さで見上げたまま気絶していた。その様子を震えて見ていた愛妾達にエレミアは命令する。


「おい! おめぇらボサっとしてねぇで私等から盗った装備とバッジ取ってこい! 地図も用意しろ! 」


「はいっ! 」


 手に持っていた眼鏡を両手で掛けるとエレミアは振り向いてソレイユに微笑んでいる。


「皆さん終わりましたわ」


「あ、ありがとうエレミア……」


 手首のロープを切ってもらったギアは凍って気絶したコーネリアスを見下ろしていた。


「なあエレミア、こいつ気絶してんのか? 一発殴っときてぇんだけど」


「安心してください。浴場の下の方がもっと凍ってますので。うふふふふっ……」


 浴場で凍ったコーネリアスを見ていた男子達は体の芯から悪寒を感じる恐怖に震えていた。


 ティアリスがいつもの白銀の可愛いワンピースに着替えると全員で転送バッジを押してジェネシス号の船内へと戻って行った。


 6人が転送して誰もいなくなった凍った浴場にすーっと灰色の粒子が浮かんでくる。そこには灰白のフードで顔を隠したクロノスが現れた。


「宙域全ての採掘権を独占して欲望の限りを尽くすその醜さは人の真実からは程遠い。この惑星は新しい王を出現を待ち望んでいる」


 凍って気絶したコーネリアスの頭上にクロノスが手を翳すと、彼の身体は粒子状になって消えていく。そしてクロノスは闇の中へと姿を消していった。


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