6人の宇宙飛行士
宇宙ということでキラキラネームはお許しを。
名前を考えるのは好きです。
研究所の食堂で夕食を終えた帰り道。いつもの街の景色は夕闇に包まれて電燈が灯り始めてる。間近でシャトルを見た感動と父さんの誘いに返事が出来なかった蟠りになんとなく家には帰らずにいつもの場所に向かってみる。
廃棄されたタイヤが積み上げられてスクラップになった車が無造作に置かれた場所。その隠れ家に親友と呼べるかわからない、2人でいると気を遣わない友人が1人でバイクを組み立ててる。
「バイクできた?」
「おう! 集合管まだ付けてなくてうるせぇけどいい音出すぞ」
中学時代の同級生、短い茶髪を逆立てピアスを付けた皆藤銀亜。ギアは動力機関が剥き出しで骨組みだけのバイクのスターターを押すと周囲に低く乾いた爆音が響き渡る。ビリビリと体が震える身の毛が逆立つ爆音が心を駆り立ててくる。響き渡るエンジン音の中で大声を上げてギアに聞いてみた。
「ギア! 宇宙に行くとかどう思う? 」
「は? いいんじゃね? 行けたらの話だけどな! 」
「なんでそう思う? 」
「どうせ地球にいたってつまらねぇ。学校の授業受けて、くだらねぇ仕事してあーだこーだ言いながら年老いてくだけだろ。宇宙に行けば少しは楽しくなるかもな」
その言葉を聞いて、理由を話してギアを誘った。宇宙飛行士の訓練が厳しくてもギアと2人なら楽しいかもしれない。
次の日の朝、2人で一緒に研究所に行くことにした。研究室に入ると父さんとは別にもう1人、研究用の白衣を着た教授が立っていた。子供の頃にも見かけた視力が悪く透明のバイザーを掛けて穏やかな表情をした背の高い由良教授。研究室にギアを連れてくると父さんは眉を顰めていた。
「ライセの友達か……」
父さんが考え込むと由良教授は穏やかに話していた。
「良いのでは? ちょうど1人欠員が出ています。問題は親の同意と彼が訓練に耐えられるかということです」
その言葉と落ち着かない研究室の雰囲気にギアは苛ついて言い返した。
「俺は親とかいねぇ。年が離れた兄貴がいるけど俺がどこで何しようがどうせ気にもしねぇよ」
研究所の情報は決して外には漏らさないという条件でギアも宇宙飛行士としての訓練をすることになった。夏休みが近い学校には休暇届けを出して、月曜の朝に2人で研究所へと向かった。
訓練用の服に着替えるとネームプレートを付けた父さんの四道教授と由良教授、そして女性の芦名教授がいた。その隣にいる女の子は芦名空色。彼女は中学時代の同級生。成績優秀、中学で生徒会長をしていた彼女は県内有数の進学校に行ったはず。驚いているとソレイユから話しかけてきた。
「ライセとギア。あなた達も訓練に誘われたの?」
「……うん。ソレイユも? 」
「そうよ。母さんがここで勤務していて、話を聞いてすぐにOKしちゃった」
「僕も父さんが……」
頭の中が明瞭に整理されている声と話し方。黒髪に優しい瞳をしたソレイユと話してると、あと3人の訓練生も着替え終わって入ってくる。その中にはシャトルを見上げていた彼女もいた。全員が集まったことを確認すると父さんが話し始めた。
「これから1ヶ月間、宇宙飛行士の訓練を行う6人だ。まずは1人ずつ、名前と年齢、出身国など自己紹介をしてみて欲しい」
集まったみんなは顔を見合わせている。誰から自己紹介するのか様子を窺っていると金色の髪を後ろで括った彼女が真っ先に話し始めた。
「私はティアリス・アルフェリア。15才。出身はアメリカで天文学と生物学が得意よ」
金の髪に真っ白な肌、零れるような青い瞳にまぶたを伏せた彼女は流暢な日本語で自己紹介を終えると、髪を指でといて振り払う気品が漂う仕草を見せている。その隣りにティアリスが自己紹介するのを待ってもう1人の訓練生が自己紹介をした。
「エレミア・エフライムです。16才。出身はイスラエル。宇宙空間物理学、宇宙地理学、あと惑星科学が専門です」
亜麻色の髪に琥珀色の目をした整った目鼻立ち、見た目からも教養が窺える彼女は眉を顰めて眼鏡に指を当てている。そしてもう1人の見知らぬ訓練生は周りを見渡し余裕の笑みを浮かべながら自己紹介を始めた。
「クライス・キルシュナー。15才で出身はドイツ。専門は量子物理学、航空宇宙工学さ」
アッシュブロンドの髪に緑の瞳、端正な顔立ちの彼は姿勢良く両腕を広げて自信あり気に話してる。残ってるのは3人の日本人。戸惑っているとソレイユが切り出した。
「空色・芦名です。16才で出身は日本です。天文学や物理学は勉強中です」
ソレイユに続けてギアとライセが自己紹介する。
「銀亜・皆藤。16才、日本。よろしくな」
「黎星・四道です。15才です。出身は日本です。……訓練頑張ります」
自己紹介が終わるとショルダーマイクが配られる。ワイヤレス通信、音声翻訳、GPS機能が付いた優れ物。堂々と自己紹介をしていたみんなに初日で挫折感を感じながら、その後すぐに訓練講習と適性検査が始まった。
難解な天文学や物理学の講習を3人の教授が交代で教えてくれる。6人同時に講習を受ける中でクライスとエレミアは独自の理論を流暢な日本語で話しているのには驚いてしまう。そして1週間が過ぎると適性検査が終わりそれぞれの役割が決められた。
なるべく細かな描写や心情は避けてます。
難しいSFや科学のイメージ変えたいとも思っていたり。SFは必ず立証される作家なりの理論が必要で、SFにこだわっているつもりは無いですがわかりやすく展開していくように心掛けたいと思います。




