夢みる星
宇宙に、ふたごの星が生まれました。
二つ合わせて「夢見る星」と呼ばれていました。
「どうしてですか?ボクらは、それぞれ名前がほしいのに・・・」
星は、またたきながらつぶやきましたが、真っ暗なやみは、何もこたえてくれませんでした。
「どんな星にしようか?」 星はそれぞれ理想の姿を描いてみました。
星はまず、ちりやガスやら水分、それに温度を整え、ありとあらゆる気や草花をワサワサと成長させ、星を緑に包み込みました。
それからじっくり 気の遠くなるほどの時間をかけてつくります。
次にありとあらゆる形や色の生き物が生まれ出て、大地は毎日が大運動会のようににぎやかになりました。
「もういいころ・・・」
星はそうつぶやくと遠い闇のなかの星がピカピカまたたきました。
あるとき大きなクジラの形をした船が空からやってきて、待ちに待った人間たちを送り込みました。
やがて、愛らしい赤ちゃんが生まれ、星はいのちに満ちあふれ、輝くような幸せがずっと続きました。
木は緑をふやし、動物は仲間をふやします。でも人間だけは、人間に、にていないものをどんどんつくりだしていきました。
たくさんの便利なものとたくさんのゴミ
たくさんの高い建物がふえるたび、
たくさんの自然がこわれて行きました。
ふたごの星は、みつめ合いました。
ゴミは、どんどんふえつづけます。
空気さえもよどんで、この星も住みにくくなってきました。
ある日、たくさんの学者が集まって会議が開かれました。
「さいわい、科学の技術をもってすれば、ロケットで行き来できる距離にふたつの星があります。片一方をゴミの星にして、残りを人間の住むきれいな星にするのです。
ゴミは定期的にロケットで運び出します。
工場だってゴミの星で、こちら側からボタン一つで操作できます。どうです?いかがでしょう」
たくさんの拍手で決まりました。
星はそれを聞いて悲鳴をあげました。だれも星の声に気づく人間はいませんでした。
さらに月日が流れ、ゴミの星からとうとう最後のグループが出発しました。
「わたしは、残っていましょう。何かのときに・・・」
といい出したのは、清掃局の男でした。星は、この男の家族とともに生きました。
星は雨をふらせ、ゴミを洗い流しました。
一方人間の住む星は、ピカピカでゴミ一つ落ちていませんでした。
空はいつも青く澄んでいて、人口的な鳥のさえずりも聞こえてきます。
人工のなぎさに人工の波をおこします。
人間はこれこそ完璧な美しさだと、今のくらしを楽しみました。
そうしてゴミをいっぱいのせたロケットを打ち上げ続けました。
この星は自分がきれいなのは好きでしたが、息苦しいのです。
「私の星は、100億の住人がいても、愛せる人間は一人もいない」
となげいていました。
100年もたったころでしょうか? 多くの人間の住む星は災難が続きました。
大きな地震と火山の噴火によって、ピカピカの道や建物は、壊れました。
そこへ大津波がやってきて、陸地とたくさんの人間は意味の中へ沈みました。
竜巻が起こって、あらゆるものをバラバラにこわして通りすぎていきました。
たくさんの人間が死にました。
UFOが着陸すると、白ひげのとても年をとったおじいさんが出迎えてくれました。
その星ではたくさんのお客さんが着くことはもう知っていました。
その星には、不思議なことに101才になるおじいさんたった一人しか住んでいません。
そうです。そうです双子のもう一つの星です。
たわわに実ったりんごをとりと、子供たちにわたしながら話ました。
「ここは昔、ゴミの星だった。が、海の塩と風と水と長い年月によってほぐされていった。ゴミは腐っていい土になった。
種は、いろんなところから、芽が出て、動物たちもいきぬいてね。今や、楽園じゃ。ごらん」
男の子のズボンのポケットにキャラメルが一つだけ残っていました。中味をおじいさんにあげて、包み紙は、ポケットの中へねじ込みみました。
子供たちは叫びました。
「海が、息をしているみたい!!」
夢見る星は嬉しくて笑いました。
夜になると、形だけになってしまった、もう一つの星が浮かび上がりました。
いままでいた星は無表情でした。真っ黒い雲におおわれました。
湖に遠足に来ていた子供たちがいました。ボートが揺れてもうだめだと思ったとき
どこからともともなくUFOがあらわれて、生き残った子供たちを助け出しました。遠くのいろんな星をめぐった後、小さな青く輝く星にたどりつきました。
「スピカ!」それは、遠い昔の日本という国で使われていた言葉で「美しい」という意味です。
星の名まえはスピカと呼ばれるようになりました。
「ふたつのスピカ」
それが何なのか、分かりませんでしたが、
とても長い年月、気になる言葉でした。
連星だとずいぶん後になって分かりました。
二つの星がまるで一つの星のように見えるほど、くっついているのです。
だけどもそれは、地球から見た場の話です。
実際は、3次元ですから とても遠いのです。




