この部隊、個性強めです
新シリーズです!
前のシリーズは...その...グダグダだったんで...
このシリーズからは頑張りたいと思います!
こうすると読みやすいかもとか意見があれば言って頂けると幸いです!
この部隊、個性強めです
「こいつで...ッ!最後かな?」
襲ってきたレイヴン達を撃退、撃破したその同い年の少年は、最後の機体に刀を突き立ててそう言ってきた。
「ありがとう、助けてくれて。あなた名前なんていうの?」
そう言うと照れた顔で
「普通だよ。俺は最上 伊吹。怪我はない?」
と返してきた。
「私の名前は朝風 摩耶...こんなのかすり傷だよ!」
正直言って左足が痛い。さっきまでの戦闘で彼が援護に来てくれるまでずっと攻撃にさらされていたのだ。それを避けるために足を酷使して痛めてしまった。
とはいえソレを悟られたくない。
余計に心配させないように作り笑いを頑張って浮かべる。
「嘘つけ。足痛いんだろ?足の動かし方でわかる」
と言われた直後いきなり体が宙に浮いた。
...お姫様抱っこ。
周りに人がいないとはいえ恥ずかしい。
少しモゾモゾしていたら、こちらをチラリと見て、
「じっとしてな!」
と言われた。
なすがままこの腕に支えられる事にする。
少年の機体はそのまま加速して、機能しているかわからない医務室に向かうようだ。
ー何よ、かっこつけちゃってー
なんて事を考えていても、お姫様抱っこされている摩耶は顔を赤くして俯いていた。
〜半年後〜
今日も学校だ。
ちなみに俺たちが通っているのは普通の学校ではない。
一昔前で言うところの「防衛学校」にあたり、学校名は「国立ハンターズ養成学校」。
その本部、東京部署に在籍している。
ハンターズとは、今この世界を襲っている組織である「レイヴン」の機体達を倒せる唯一の手段であり、世界共通の主力兵器である。
陸海空のうちどれかに特化した形状を持つが、俺は空に特化した部隊に所属している。
そしてその相手「レイヴン」とは、国籍不明、目的不明、そしてほとんどの情報が掴めていない極めて不明な組織のことで、使用されている機体が黒く、人型であることが特徴。
既存の兵器の性能は全て掴まれていて、そのために全く新型の兵器を作ろうとしたらこの「ハンター」が出来た。ということらしい。
俺は「最上 伊吹」。
ここに所属することになった原因は半年前に父親に研究現場の見学に誘われて、見学途中にレイヴンに襲われて殺されかけた時に「死にたくない」と強く願ったのだ。
その時に突然父親の声が聞こえてきた。
「死ぬな。生きて生きて生き残れ」
そう言ったように俺には聞こえた。
でも、周りの情けない大人たちは逃げ惑うだけで、その声が聞こえたようには見えなかった。
有無を言わさず覆い被さるように人形の機械のようなソレが全身に張り付いていく。
不思議と体にぴったりのサイズで可動域にも文句ない。
ーこれはいけるか?ー
この状況で意味もなく渡されることもないだろう。
そんな事あったらブチ切れる自信がある。
手の中にある刀を鞘のある位置に収める。
目をつぶって...向かってくる敵の位置がわかる。
円盤のような物に点が表示されていて...もしやこれは、レーダー?
ソレによればあの機械の化け物まで3m...すぐに来る。
「今ッ!」
真横に太刀を払う。
しっかりと何かを断ち切る感覚が腕に伝わってくる。
たいした抵抗もなく断ち切る。
目を開ければ、黒い鉄の塊が真っ二つになって目の前に横たわっていた。
...凄いのはこの鎧、特に動きが鈍くなるということもなさそうだ。
状況を確認するために上を目指した俺は手に持たされていた刀のような形のソレを天井を突き立て、穴を開けその上に立つ。
そこから見えたのはたった一人で戦う少女。
戦っているうちに足を痛めたようなので助けたら、ここの学校のお偉いさんから招待され推薦で入学できたのだ。少女を助けたのもそうだが、その機械を動かせたことの方が大きいらしい。
「...いないよな?」
廊下から部屋の中を覗く。
この学校はクラスではなく、実戦通り部隊で纏まって行動する。
一応俺だってこの部隊の隊長だ。
部隊のメンバーは同じ事務所の中で生活する。食事もだ。
流石に風呂は...異性がいるところもあるので時間を合わせるくらいで勘弁してもらえるらしい。
しかしいくら隊長でもこの扉を開けるのは怖い。
いつも通りになんとなく罠が仕掛けられていそうな気がするのだ。
「引っ掛かんないからな...!」
ソローリ...ソローリ...
「平然と部屋の中に居座って...」
トントン。
肩を思後ろからいきなり叩かれた。
「ウワヒャアッ⁉︎⁉︎」
思わず変な声が出てしまった。
「...びっくりするだろ!」
...といって振り返ったのだが、いたずらをしてきそうな隊員ではなかった。
「...扉の前でずっと中を見てるから何をしてるのかなと思って肩を叩いただけよ?」
半年前に助けた同い年の女の子、
「朝風 摩耶」が振り返った先で「何してたの?」と聞きながら驚いたような顔をしていた。もう制服に着替えてあるようだ。
「まあいいか。さっさと部屋に入っちゃいましょう?」
「あ、ああ。そうだな」
と、摩耶がドアノブに手をかけた時...
バチッ!
「あっ!いったーい...」
「どうした?」
「ドアノブから静電気が...」
...やはり罠は仕掛けられていたらしい。
部屋に入って数分後、いたずらを仕掛けた張本人が起きてきた。
摩耶と同じく制服に着替えてある。
「おはよう。小鳥」
「おはよう...」
...あ、摩耶少し怒ってる。
「おはよ〜!私の仕掛けた静電気はどうだった?隊長?」
と言ってこちらの顔を覗き込んでくる小鳥と呼ばれるこの少女。
「沙夜鳴 小鳥」。
実は子供の頃からよく遊んでいたのだが、俺の方が途中で転校してしまって、この学校で再開したのだ。
「引っ掛かったの俺じゃなくて摩耶なんだが...」
「え?...それほんと?」
「ええ、本当よ?小鳥ちゃん静電気を溜めて朝一番に来た人にぶつけるつもりだったんでしょ?」
俯いてそう言う摩耶。
...あ、怒ってる。
小鳥もそれを察したらしい。
「ご、ごめんなさい!まさかそこまで怒るとおもってなくて!」
しかし次の一言は予想できなかったものだった。
「...頭、撫でて。」
「だってさ。小鳥」
「いや、それ多分私じゃ...」
その言葉を遮って摩耶が言う。
「伊吹君が私のことをナデナデして!」
顔も赤いし真面目な摩耶が言うのはありえない
言葉だった。
なんかの罰ゲームだと思えるほどに不自然でもある。
「...顔赤いぞ?無理すんな。慣れないことはするもんじゃ...」
「ナデナデして!撫でてくれたら許すから...それでも...ダメ?」
俺だって健全な年頃の男子だ。
ダメなわけじゃない。むしろ大歓迎だ。
っていうかこの二人に囲まれてるだけで結構つらい。
が、横には小鳥がいる。
流石に人前では...と思ったが顔が近い!
顔を覗き込むついでにキスでもしそうな距離だ。
可愛い子ならいいじゃんと思うだろ?
実際にこんなことあったら緊張が先に来ると思うぞ。
俺が今そうだもん。
「わかった!ナデナデするから!一旦離れて...」
「いやよ。ナデナデしてくれるまでどかない」
「見てるうちにして欲しくなってきた...!
じ、じゃあ私も...!」
ピー!ピー!ピー!
授業の配信を開始する時刻を知らせるアラーム。
最近はインターネットが発達したお陰で全て通信で授業を受けられるようになっているのだ。
ナイスタイミング!
もう少しで逃げられなくなるところだった。
流石に二人で来られたら、押さえつけられてやられたい放題になってしまう。
全員姿勢を正す。
こちらの様子は向こうから見えているのだ。
「伊吹達は何をしてたんだ...?まあいい、始めるぞ。今日の授業は、レイヴンの行動パターンについてだ。レイヴンは...」
重要なことをメモしていく。
レイヴンは指令された行動によって目の色が変わるらしい。
戦闘は赤、撤退は青、防衛、護衛は緑といった具合などなど。
五十分間の授業が4回終わった後、
「座学は終わりだ。昼を食べたら実習に行くぞ」
「「「了解」」」
通信が終わった瞬間にノートや筆箱をあっという間に片付けていく。
食事は俺が作るのだが、今日の昼食はパスタだ。
俺の気分と2人の希望でソースはカルボナーラに決まった。
今、鍋でソースを作っているところなんだが摩耶がソースを混ぜている時にとんでもないことを言い出した。
「どうしてあの時私を助けてくれたの?」
あの時というのは半年前の事件のことか?
実はとんでもないことが起きていたらしく、周りの大人やスーツを着たしっかりしてそうな人たちまで逃げ出していたのをしっかり覚えている。
生還者が俺と摩耶の2人だけだったことも。
「...カッコ良かったから。周りの大人が逃げてる中で、一人で戦ってたし。しかも女の子だってわかったら尚更助けないわけにはいかなかった!」
ソースを混ぜながら答える。
「でもそれが見えるくらいのところにあれを着てそこにいたってことは、あなたもそこで戦ってたんでしょ?あなたも逃げてなかったんじゃない...」
そう。彼女が戦っていたのは最奥部の海岸沿いだった。逃げている人からは見えない位置で戦っていたのである。
摩耶は「ありがとう」と微笑みながら呟いた後、食事の支度に戻っていった。
「このやりとり何回目だ...?」
それだけ嬉しかったということなんだろうが、
何回も言っていると流石に自分の行動が恥ずかしく思えてくる。
...特にお姫様抱っこのくだり。
それはそうとパスタも茹で上がったし、ソースも出来上がった。
お皿に盛り付けた後食卓に持っていく。すると小鳥と摩耶が、
「あ、言ってくれればそっちにパスタ取りに行ったのに」
「作ってもらってさらに持ってきてもらうなんて...」
と言ってきた。
「くつろいでる女の子を邪魔するのもなーと思って」
すると二人から「そういうところだよ...」
という声が聞こえた。
「ん?どういうところ?」
「え?あ、気にしないで!うん!このカルボナーラ美味しい!」
「そうね!美味しいわね!伊吹君の丁寧なところが出てるのかもね!」
何か違うと思っが、そういうことにしておこう。
〜昼食後〜
「小鳥っていたずらは好きなのにあんまり甘えることってしないよな...
親に甘えずらかったとか?」
実習の場所へと向かう途中の道で気になったから聞いてみた。
「いや?お父さんとお母さんにはよく甘えてたって言われるよ?」
じゃあ俺がなんかしたから甘えづらいのか?
「俺、なんかした?」
「した!...え?自覚ないの?」
...気づかない間に何かしてたらしい。
「なんのことかさっぱりわからないんだけど...?」
「そうだよね...小さい時からずっとそうだもんね...」
「ほら、さっさと行かないと遅れちゃうよ!
摩耶が助け舟をだしてくれた。
実習に向かっている途中はずっと小鳥の視線はこちらに向けられていた。
どうでしたか?
今回は戦闘は入ってないんですけど、次回から入ってくるかと思います。
週一以上のペースで投稿したいと思うので、
よろしくお願いします!