つまり私はもふもふに運ばれるの?
『あら?もふもふ?はよく分からないけど、私が借りている肉体は狐族の九尾のものよ?』
「借りてるってことはこれは君の肉体じゃないの?」
『ええ、九尾は狐族の中では最大級の魔力を持っているから、妖術を使うのに丁度いいの。』
「妖術なのに魔力使うんだ……」
それにしても、異世界の狐は狼にも少し似てるから不思議だ。あと、私は九尾の毛の色は金色って信じて疑ってなかったんだよなあ……でも、実際には銀色だったという。
「それで、上位妖精さんが使ってる九尾は魔獣なの?それとも動物?」
これで魔獣って答えられたら、架空の動物=魔獣で繋げられるよね。だったら鳳凰にも会える可能性もあるよね。
もし会えたならお友達になりたい。そして恐らくもふもふであろうその背中をもふりたい。
『うーん……分類が難しいわね…
どちらかと言えば一応魔獣に分類されるのだけど、正確に言えばは幻獣よ。
あと、妖精さんなんて堅苦しい呼び方しなくていいわ。私、同胞からはソフィアと呼ばれてるの。貴方もそう呼んで頂戴?』
「あ、了解です。私の名前は久川綾音なんで、好きに呼んでください。
それより、えっと始祖神?さんが動物と魔獣のために創った高原なのに幻獣がいていいの?」
『あら、その説明は少し違うわ。
始祖神様が創ったのは、人類と魔族、天災以外の生物が安心して暮らすための高原よ。
下位妖精達は魔獣と幻獣を同じものとして見ちゃってるから、勘違いしちゃったのね。』
つまりは、架空の動物=幻獣か。
でも、幻獣と魔獣の区別ってどうつけるんだろ?
「んーと?つまりは?魔力を持ってるのが魔獣で、その中には幻獣がいて?で、魔力を持ってないのが動物ってことでOK?」
『ええ、その認識でいいわ。
……それにしても、アヤネはなんでこんな所にいるの?』
「階段から飛び降りたら何故かもふもふが広がってたの。」
そう、このもふもふ天国は階段から飛び降りて光に引き込まれたら目に飛び込んで来たのだ。
『え?おかしいわね?この高原に来れる人間は王の契約者だけなんだけど……?』
「王って、妖精の?」
始祖神さんが創った高原なのに、管理してるのは王様なんだ?
『ええ、そうね。』
「つまり、私って不法侵入者?」
『そうなるわね。』
なんだそれ、詰んだじゃないか。
つまり、ソフィアが来たのは、私を捕まえるため?え?つまり私はもふもふに運ばれるの?
そして、檻に入れられたらもふもふが見張りに付けられるの?
え?なにそれ。
「是非捕まえてくださいお願いします。」
『ちょっと?どうしたの?いきなり。』
「私を捕まえに来たんでしょう?どうぞ!もふもふに捕まるなら本望です!!」
『ちょっと待って?本気で状況がわかんないんだけど?』
ん?私を捕まえに来たんじゃないの?
「え?じゃあソフィアはなんでここに来たの?私が最初に見た天国の時はいなかったよね?」
『いや、天国って……
私はただ、心地いい魔力を感じたから外に出てきただけよ。結構魔力も多かったから、新しい肉体として貰おうと思っただけ。』
「…………ちなみに、貰うってどうやって貰うの?」
『もちろん、欲しい肉体の持ち主を毒殺して……』
「毒殺!?」
毒殺って!!このもふもふ可愛い顔して恐ろしいこと言ったぞ!!私もしかして殺されるところだった!?てか、今殺されようとしてるの!?
『いや!勘違いしないで頂戴ね!?さすがにまだ一度も毒殺なんてしてないから!!これ、妖精ジョークだから!!』
この肉体も、毒に侵されて死にかけの九尾からちゃんと了承は取ったから!!と弁解がくる。
「つまり、死んだ幻獣の肉体のみを使ってるってこと?」
『ええ、まず、同じ肉体に精神は二つも入らないわ。』
………良かった。もふもふに殺されるのかと思った。いや、どっかの誰かに殺されるくらいならもふもふに殺されたいけども。
『でも、不思議ね?王の契約者でもないならなんでこの高原に入れたのかしら?』
「もしかしたら、私のもふもふへの愛を評価した神様が入れてくれたのかもね。」
だって私、世界で一番もふもふを愛してる女子高生(自称)だから!!もふもふへの愛なら誰にも負けない自信あるから!!
『アヤネ、すごいの〜』
『すご〜い』
ああ、なんか下位妖精さん達も可愛く見えてきた。あれ?私の可愛いはもふもふのためだけにあるんだけどな?
もしかして、今の私の可愛いはこのもふもふ天国に対してなのか??だから妖精さんも可愛くみえるの?
……………謎だわぁ。
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