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王立魔法学園『ウィザード』  作者: 黒鬼
嵐神純の入学
4/5

落ちこぼれ

新年明けましておめでとうございます。

まだ3話目ですが続けられるよう頑張ります。

3話


俺がウィザードに転校して早1週間、学校生活にも慣れてきた、良や逸とはお互い名前で呼び合う程度には仲がいいと思う。

そんな俺は学生寮の自室で上司との定期連絡を取っていた、因みにウィザードは全寮制で入学した生徒達は全員寮へ入る。(俺は寮や校舎の大きさに度肝を抜かれたりした)

話を戻そう、定期連絡とは1週間毎に任務の進行具合を通信機を使って上司に報告することだ。



「はい、依然ネオ・ユートピアの関係者と思われる者とは接触していません」



通信機から上司の声が流れてくる、この機械は特殊な周波数を魔力で覆っているので簡単には傍受されない特別使用だ。



『そうか、まだ入って1週間目なのだから当然か、くれぐれも焦って正体をバラす何てことは無しにしてくれよ?」



「はい、気をつけます」



『お前は何処か感情的な所があるからな、この前だって…… 』



「ちょっ……その話はやめてくださいよ、丸さん」



この上司、丸さんというのだが組織の中でも古参で俺が入ったばかりの頃は随分お世話になった。



『まあ気楽にいけや、じゃあな』



音声が途切れる、定期連絡は終わったしどうしようか、まだこの校舎全てを回ってないし見て回るのいいかもしれない。



そうだ、『演習場』へ行ってみるか。




演習場というのは学園敷地内に設置された巨大な施設で、そこで魔法の訓練を行える。

俺は早速制服のブレザーを羽織り、靴を履いて部屋を出る、寮の扉を開け真っ直ぐに進みながら腕時計を見る、時刻は4時だった。

整備された道を歩いて30分、演習場へたどり着く。

中へ入り魔法の試し打ちが出来る場所へいく、放課後なのでそこそこ人がいる。

そこで、何やら言い争いが起きているのが分かった、喧騒を聞きつけ奥の方へ向かう、すると



「てめえ! もう1度いってみやがれ!」



男子生徒と思われる明らかに怒りが混じった声、何処かで聞いたことあるな。



「(あの声は……良? 何をしているんだ? )」



騒ぎを立てているのが良と知りすぐさま彼の元に駆けつける、近くにいくと逸も良と一緒に目の前の男と言い争っていた。



「おい、逸!何があったんだよ?」



逸が答える。



「純! いや……こいつらが俺と良が魔法を打ってる時に妨害してきたんだ、その理由が…………5組の落ちこぼれには演習場は必要ないだろって……! 」


5組の落ちこぼれ? それはどういうことだ、良と逸が睨んでいる男に問いかける。



「おいアンタ、俺ら5組が落ちこぼれってどうゆうことだよ」



「あぁ? テメエも5組のクズか? 」



赤い髪をした男はこちらを挑発するような笑みを浮かべながら答える、しかし初対面の相手にクズとは中々いい性格をしてるようだ。



「悪いな、最近転校してきたばかりでよ、お前みたいな頭悪そうな馬鹿を知らなくてよ」



つい挑発してしまった。



「だとぉ! 黙れクズが! いいか、教えてやるよ!テメエら5組の連中はよ、入試試験でどれも俺ら他の組みに『劣る』奴を集めた落ちこぼれ集団なんだよ! 」



ギャハハといつの間にかいた男の取り巻き連中が笑い声を上げる、それをきいた良が今にも手を出しそうだ、だがそんなクラスの分け方をしているとは知らなかった。



「こいつぅぅ……よくもぉぉ!」



良が魔法を発現しようする、今の状況でそれはマズイ、止めようと良に耳打ちする。



「よせ、良! そんな事をしたらますます相手の思うツボだ、お前が魔法を使ったら今度はあいつが正当防衛としてこっちに魔法を使ってきて、俺たちが不利になる、ここは耐えろ」



「ぐっ……でも……」



「そうだ良、こんな奴ら放っておこう、いくぞ」



逸が付け足す、こういう奴らは無視するのに限る、俺らが演習場から出て行こうとするのをみたあの男は取り巻き達と爆笑していた。



「はははっ!こりゃ傑作だ!何も言い返せずおめおめ逃げんのかぁ?5組さんよぉ! 」



全く、何処にでもいるんだなこんな男、ここはひとつ何か言っておくか……



「さっきから口先ばっかで本当は大した実力ないんじゃないか? 赤髪さんよ、ほら、一つ魔法でも打ってみろよ」



「なっ……純! 」



逸が止めようとするがもう既に遅い、それに相手さんも沸点が低いようで乗ってくれたようだ。



「調子にのるなぁぁぁぁぁ!!! 5組のクズかぁぁぁぁぁぁぁ! 豪炎槍(フレアファランクス)! 」



男がBランク中級魔法を無詠唱で放ってくる、言うだけあってそこそこやるようだ、だが



「魔力精製がなってねえな……」



火の槍が襲いかかってくる、周りの生徒達が叫び声を上げる、だが俺に取ってはこんなの脅威でもなんでもない、基礎を怠って作り上げた魔法は脆い、故に……



「よっ…………」



炎の槍に人差し指を立てる、『普通』なら自殺行為だが…………槍は純の腕を貫く事も燃やす事も無く、崩れ去っていった。



「なっ…….嘘…………だろ……」



男が驚愕の顔を浮かべる、何故自分の魔法が破られたのか理解出来てないようだ。



俺が魔法を破った方法は簡単だ、相手の魔法が脆かった、それだけだ。

恐らく即興で作った為、魔力もろくに注がず、加えて詠唱もしていない、あのような【不完全魔法】は1点突破の鋭い魔力に弱い、俺は人差し指に魔力を溜め、放出しただけだ。



「さっ……行こうぜ良、逸」



「あっ……ああ…….」



良と逸は驚きながらも平静は保っている、そして赤髪の男に顔を向ける。



「じゃあな、『落ちこぼれの5組にも、自分の魔法を破られるエリートさん』」



周りから微かな笑が起こる。



「こっ……このおぉぉぉぉぉ!!! 」



「おい、走るぞ良、逸! 」



怒りを露わにした赤髪から逃げる為全速ダッシュ、これ以上目立ったらかなわん。



「まてよ! 純! 」



俺に続き良、逸が走り出す、マズイな目立ちすぎたか?まっ、大丈夫か。



純は自分に課せられた任務を思い出し、これからは自重しようと心に決めた。


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