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王立魔法学園『ウィザード』  作者: 黒鬼
嵐神純の入学
3/5

クラスメイト

3話


教卓前にいる少年、嵐神純を見て思った生徒達の感想は『普通』だった。

この学園に転校してくるなんてそれだけで珍しいのでそんな事を言っても失礼なのだが、いかにも『何処にでもいる学生』だった。



「えー、嵐神君は前は他の魔法学校にいたんだけど、両親の都合でこっちに引っ越してきて、ここを受験出来るだけの成績があったからこの学校に入ってきたんだよね?」



「はい、それであってます」



が、内心純は……



まあ、1から10までデタラメだけどな……

任務が周りの生徒にばれないよう、そうゆう設定でこの学校に入学しろと上司に言われている、それに両親は既に死んでいるのでそもそもいない



「じゃ、嵐神君の席は……後ろの角っこに1つ空いてるはずだからそこに座って」



「分かりました」



言われた通りに後ろの席へ腰掛ける、ふと視線を感じ横を見る



「……えと、私、雨宮照美、よろしく」



ほう、これは中々レベルの高い女子だな……



純は周りからは、歳に似合わない大人びた雰囲気をしていると言われるが実際は女の子大好きな16才の野郎である。



「よろしく、雨宮さんね」



相手に警戒心を出させないよう笑顔で答える、あまりジロジロ見てると怪しまれる……身体は後でじっくり観察させてもら…………



「じゃあ、出席確認するわよ! 」



純の危ない思考は陽子先生にかき消される。







「ねえねえ嵐神君!何処の学校からきたの!」



ホームルームが終わるやいなや1人の女子生徒が質問を仕掛けてくる

分かってはいたがここからの質問ラッシュはきつそうだ……



「ちょっと香、自己紹介もなしに失礼じゃない」



「あっごめーん、私ここにいる照美の友達の秋山香です! 」



ポニーテールを揺らしながら元気よく名前を叫ぶ彼女、テンション高え



「おい香、転校生引いてんじゃねえか、もうちょっと声のボリューム下げろよ」



秋山さんの後ろから金髪スポーツ刈り男子生徒が耳を塞ぎながら近くに寄ってくる、そのすぐ横には茶髪に眼鏡をかけた生徒もいる



「いいじゃない、これくらい元気な方がいい印象もってくるかもよ?ね! 嵐神君! 」



「うっ…… うん、そうだね」



頷くしか俺には出来なかった……



「明らかに困ってるじゃない……やめなさい香」



「と、俺の自己紹介がまだだったな、俺は荒木良!得意魔法は雷!良って呼んでくれ! 」



正直こっちもさっきの彼女といい勝負の声量だがもう慣れた、それに得意魔法が雷か、いっていいのか?



「そんなんどうでもいいよ、俺は強化魔法で一点突破の殴り合いしか脳がねえ! 」



何と戦闘スタイルまで教えてくれた、まあでも確かにそのスタイルなら面倒な戦略などいらないだろう



「だからお前はもうちょっと物事を考えるようにしろ、おはよう嵐神君、俺は松山逸、逸でいいよ」



良の横からまた新たな生徒が割り込む



「俺と良は幼なじみでな、こいつ昔からこうなんだ、その内何かやらかすからその時はごめん」



「おい!俺は何かやらかす前提かよ! 」



「日頃の態度と行動から分析した結果だ」



「ぐうっ……」



良が悔しそうにうつむく、どうやら心当たりがあるらしい、それにこの2人は本当に仲が良さそうだ



「良と逸、2人とも仲いいんだな」



「ほんとよ嵐神君、この2人良すぎてホモ疑惑が…… 」



「おいまて香!何だよその話!俺しらねえぞ! 」



香の言動に2人が激しく反発する、まさかそんな関係だっとは……距離を置いた方がよさそうだ



「おいみろ! 嵐神が変な誤解して後ずさりしてるぞ! 」



「違うぞ嵐神君! 俺ら決してそんな事は…… 」



「もう香、2人をからかうのはよしなさい、ごめんね嵐神君、いつもこんな感じなの」



雨宮さんが呆れた表情で語る、中々楽しそうな関係だ



「わかったわかった、ごめーん2人ともー」



「何で棒読みなんだ…… 」



と、突然チャイムが鳴る



「あっ! 授業開始の時間だ、席に着かないと」



他の生徒達も慌ただしく席に着き始める、このチャイムが授業開始の合図らしい、同時に教師が教室に入ってくる



「まあ、私達いつもこんな感じだけど……仲良くしてくれるかしら?」



雨宮さんが笑顔で言ってくる、かわいい…………



「もっ、勿論そのつもりで……あはは」



にやけながら返答したのに雨宮さんは若干戸惑ってるが特に追求は無いようだ、よかった



教室が黒板前に着き、皆で挨拶をする、教科書を開き授業開始だ、1時間目は英語だ、因みに魔法学校でも普通の授業はする




「(けど、友達か…………久しぶりだな、その響き)」



10年前、俺がまだ組織に入る前の事を思い出す……あいつの顔を思い浮かべる、そして、その友人が最後に言った言葉が脳内にこだまする

















「結局君は、いつもそうやって…………卑怯者」











あの時の友人の顔は忘れられない……絶望し、助けを求めたその顔、声……俺はそれを切り捨てた……



俺にはまだ、『友達』を得る資格はあるのだろうかーーーー

















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