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王立魔法学園『ウィザード』  作者: 黒鬼
嵐神純の入学
2/5

嵐神純という『存在』

2話


静まり返った夜の街、そこに1人の盗賊が、剣を片手に息を切らせながら走っていた。



男はとある屋敷に忍び込み、その家に保管されていた魔道具を盗んだ、屋敷の警備は全員殺し、後は誰にも見つからず逃げ切ればいい、そう思っていた……



「まてよオッさん、その魔道具返してくんねえか? 」



1人の少年が、白く輝く剣を携え待ち構えてた、たかがガキ1人と侮っていた、瞬時に左腕を切り刻まれ剣の柄で横殴りにされる。



「がっ……! 」



意識が揺らぐ、ダメだ……殺られる……瞬時にその死の恐怖が頭によぎる、そんな時……



「まて!魔道具を返せ!」



屋敷の警備達の増援がやってくる、奴らは全員剣を持ったガキに向かっていく、運がいい、これなら逃げ切れる!




「あともう少しで……船に……! 」



乗ってきた船に乗り込み、最高速度で船を動かせば生き残るかもしれん、それにこの魔道具も頂戴できる。



だが、盗賊のそんな考えは次の瞬間に砕かれる。



「やっと追いついたぜ……」



後ろに先ほどのガキが迫っていた、全速力で走る



「『カリバーン』……」



盗賊が最後に聞いた言葉がそれだった、次の瞬間に首をはねられ意識がなくなっていた。



「たくっ……この魔道具は本来俺らの物だっつーの、それをどいつもこいつも横取りしやがって」



少年が愚痴をこぼす、右手には剣が握られている。



「じゃあ帰るか……」



少年が何か呪文を唱え、その場から姿を消す、残ったのは盗賊の屍だけだった。




俺、嵐神純(アラガミジュン)は今、とある任務で自分が生まれ育った国を離れ別の国へ来ている。

この国、《ユートピア》にある魔法学校、《王立魔法学院ウィザード》に入学するのが今回の任務だ、勿論今更学ぶことなど無い…………と思う、魔法の知識はあらかた師匠に叩き込まれた。

で、任務の内容は学園に入学し、学園内にいると思われる《ネオ・ユートピア》の団員の捕縛、もしくは殺害である。

ネオ・ユートピアは国家転覆を図るテロリスト集団で本人達は革命と言い張ってるがやっていることはテロと大差ない。

俺がこの任務に抜擢された理由は単純に俺の年齢が16歳だからだ、まあ俺の所属している組織は実力主義で年齢は基本関係ない。

で、上司から学園内での指令がきている。

学園在校中は無属性魔法と《カリバーン》の使用は禁じられる、下手に目立つと動きにくいからだ、もしもの場合は無属性魔法は使用してもよいが《カリバーン》の使用は絶対に禁じられている、その理由は俺が1番知っている、国宝指定の聖剣を個人が保有していればそれだけで大問題だ。

話はこれくらいかな、俺も任務へ戻るとしよう。

なお、今までの話は全て録音されたものであり、話が終われば機密保持の為爆破する。






ピーーーーーーーーー


















8月下旬の頃、学園ウィザードの2年5組はとある話題で一色だった。



「なあ逸、転校生来るって本当かよ?」



クラスの中でも一際高い身長、金髪のスポーツ刈りの少年、荒木良(あらきりょう)は目の前にいる男子生徒に話しかける。



「あぁ本当だよ、こないだ先生が話してるの聞いたんだ」



茶髪で眼鏡をかけた少年、松山逸(マツヤマスグル)は答える。



「けどなぁ、この時期に転校生って時期外れじゃね? 」



「転校するのに時期があるとは初めてしったよ…… 」



逸が呆れた様にため息を吐く、良の訳のわからない発言は今に始まったことじゃないが、やはり友人としてどうかと思う。



「面白そうな話してるじゃない、私達もまぜてよ」



そう言って良と逸の会話に割り込む女子生徒、栗色の髪をポニーテールにした秋山香(アキヤマカオリ)



「いいぜ、いま転校生の話しててよ」



良が転校生の話をしだす



「ほら、照美もこっちきて」



「もお、分かったわよ」



照美と呼ばれた黒の長髪、キリッとした目つきに整った顔をし、男の目を惹き付けるプロポーションをした少女、雨宮照美(アメミヤテルミ)

照美はかなり男子から人気が高いが本人があまり恋愛方面に興味がなく、魔法一筋の為告白が後を絶たないーーような状況には今の所なっていない。



「で?転校生は男?女? 」



香が逸に問いかける。



「いや、俺もそこまでは分かってなくてよ」



「なあんだ、つまんない、照美はどっちだと思う? 」



「別にどっちでもいいけど、私が気になるのは『この学園に転校』の方ね、此処に入るのはとても難しいのは皆んな知ってるでしょ? 」



良、逸、香の3人が頷く。

ここに入学するには筆記試験と実技試験があり、筆記試験は魔法学を、実技試験は魔法をどれだけ扱えるかを試験管が確かめる、当然他の魔法院よりも難易度が高い。



「途中から入ってきてついていけるのかしら?まあ、5組の私達が言うのも変だけど……」



照美が若干暗い顔になる。



「照美! その話は! 」



「あっ……ごめん、変な事言っちゃって……」



「別にいいよ、今更気にしてないよ」



「俺もだ、一々そんなの気にしてる暇あったら少しでも魔法の訓練してるぜ! 」



良と逸が笑って空気を変えようとする、彼らの在籍している1年5組は、試験でいい結果をだせずギリギリ合格点で入ったもの達だ、そして5組に入った生徒は進級試験に合格できず、大抵退学になってしまう(ウィザードには留年は無く、進級試験に合格しなければそのまま退学である)故に、他の生徒達から落ちこぼれなどと言われている。



「おっ、もうすぐホームルームだな、席に着いとこうぜ」



時刻は8時28分、もう間もなくホームルームだ。



2分後、チャイムが鳴り響き1年5組の担任玉木陽子先生がドアを開け入室する。



「はい、今日は皆んなにおしらせがありまーす!」



陽子先生はテンション高く知らせる、陽子先生は今年就任したばかりの新任教師だ。



「何と!転校生が来まーす!」



えー!と騒つくクラス、予め知っていた逸は自慢気に良に顔を向ける。



「じゃ、転校生くん入ってきてー」



陽子先生がドアの向こう側にいるであろう転校生に呼びかける。








ガラッとドアが開き、転校生は教卓まで歩く。

黒髪、黒目の少年がクラスの前に立つ。

クラスは騒ついたまま「男かー」とか「どっから来たんだろう?」とかそれぞれの感想を言っている。



「はーい静かに、それじゃあ名前をどうぞ!」













……………空気を吸い込み軽く深呼吸する、学校という空間は初めてだ



目を見開き、真っ直ぐ見つめ悪印象がつかないよう努力する








「どうも、嵐神純(アラガミジュン)です、これからよろしくお願いします」



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