ガンダリア近代史
異世界の説明回のみで埋まっております。
短いです。
続きは明日投稿しマッスル
地球とは異なる世界『ガンダリア』では長きに渡り争いが繰り広げられていた。
生まれつき高い魔力量と生命力を備え、強大なな力で勢力を拡大していった『魔人族』。
その絶対数は圧倒的に少ないものの、他種族を圧倒する力を持つ『龍族』。
他の二種族より格段に力で劣るものの、最も数の多い『人族』。
争い当初は、超越的な力を持った龍族がどんどん領土を拡大していき、このまま龍族に覇権を奪われることを危惧した残りの二種族は一時、龍に対抗するための協定を結び、退けるとまではいかないもののどうにか龍族を相手に抵抗を見せた。
しかし、龍族を束ねる龍王が老衰でこの世を去ると、彼らの間で跡目争いが勃発し、もともと少なかったその数をさらに減らしてしまったのである。
そのため新たに龍王の立場に立った若い龍は、地上の覇権よりも種の存続を優先し、即座に中立を表明して争いの舞台から降りた。
これを領土拡大の好機と見たのは魔族である。
龍族が中立を表明するや否や人族と結んでいた協定を一方的に破棄し、人族を殲滅するような勢いで攻め入ったのだ。
しかしながら、力は劣るものの数と知略で人族は何とか踏みとどまり、今日までその勢力をどうにか保っていた。
魔族側は攻めあぐねてはいるものの、自分たちの勝利は時間の問題であると判断し、散発的な攻撃を繰り返して人族の疲弊を待つことを選んだ。
たかが数十年という時間は、人に比べて長い彼らの生のほんのわずかな時であるからして、魔族側の被害を最小限に抑えるこの方法は最善手だったと言ってよいだろう。
だが人族も、最早自分たちが風前の灯であることを理解しており、この状況を打開するための力を蓄えていた。
それはすなわち英雄召喚。
女神から加護を授かった人間を呼び出す魔法であり、人族の叡智と血涙の結晶が生み出した取って置きの切り札である。
その召喚を執り行ったのは、数ある人族の国のうち、最も力のある『ネーイ聖帝国』の第一皇女、ミリアである。
一月にも及ぶ儀式の果てに、ミリアはどうにか英雄召喚を成功させたのである。
しかもその結果、一人でも召喚できたら御の字、という人族の予測をはるかに上回る『8人』の英雄の召喚に成功したのである。
この結果に人族は大いにわき立った。
『英雄』たちはそれぞれが女神の加護により強力な力を保持しており、彼らの力を借りて今まで守勢だった人類は転じて攻勢に打って出た。
英雄たちは戦場に於いては獅子奮迅の活躍を、そして人里に於いては異世界の知識を授けることで、人族が力を付けるのを手助けしていったのだ。
これを目の当たりにした魔族は出し惜しみをしている余裕がなくなり、抑えていた力を存分に発揮するも、以前とは比べ物にならない人族の進化に加えて英雄たちの存在があったために、その侵攻は遅々として進むことは無かった。
それどころか制圧した人族の領地すらも奪い返されてしまうしまつである。
情勢が一気に人族に傾くかと思いきや、そこはさすがに地力の差も手伝ったのか魔族は英雄たちの想像を超える粘りを見せつけ、戦況は膠着状態に陥ってしまった。
もはや泥沼と言ってもいい状況は、双方の陣営をただただ疲弊させていった。
そんな膠着状態が1年続いた頃、ガンダリアの情勢をひっくり返す事態が、今まさに起ころうとしていた。