地球の営業マン、宵星煌太の場合
今回担当:煌星 キラ(読者参加)
「今日はお先です! 失礼します!!」
昨年よりも少し寒さは落ち着いている冬の日……彼、宵星煌太は勤務先であるオフィスビルから出ては笑顔でお辞儀をして振り返り歩いていく…………が、少し歩いてからもう一度振り返り先程まで相手をしていた上司が居ないことを確認すると、ネクタイを少し緩めて溜め息を吐いた……
「ふぅ……疲れた…………でも、今日もまた会社に貢献した…………っと」
煌太は、先程までの笑顔とはまるで違う笑みを浮かべながら自宅のある方向へと歩いていった……
「あ、明後日は…………独り身のクリスマス……だもんな。今年も近所の子供たちにケーキを作ってやらないとな…………それに前に作って冷凍してた奴も使いきってたな……」
そう呟くと歩く方向を変えて地元の商店街の方へと向かっていった……
「こんちゃ、おっちゃん!」
「お、煌太ぁ! 今年も子供たちにケーキを作ってやるのか?」
「えぇ。ケーキの材料はスーパーで仕入れる予定ですが、今日は個人的なのですよ。とりあえずカレー作ろっかなって思ってんでカレーに入れる牛肉で旨いのありますか?」
「そうか! なら、こいつはどうだ? うちの坊主も世話になってるし少しまけるぞ?」
「お、良いですねぇ! ……じゃ、ドンと1kgお願いします」
「おぉ、買うねぇその気合い気に入った! 更にまけてやるよ!」
「やったね、おっちゃん太っ腹!」
「……よし、これでまた暫くは持ちそうだな」
商店での買い物を終えた煌太は両手に袋を持って家路を急いでいた。
はたから見れば多目の買い物袋と仕事鞄を器用に両手で持ってるスーツ姿の青年と言う異色の光景だったが……
彼はそんなのはお構いなしにマンションの階段をかけ上って行った
「ただいま~…………って誰も居ないんだよね……」
二階の角部屋である自室のドアを開けながら呟く彼を待っていたのは少し大きめのテーブルと何故か店員に勧められるがままに購入してしまった2脚の長椅子のある質素なリビング。
そして左には男性の部屋とは思えないほど料理器具や調味料の類いが充実して揃えられてるキッチン。
勿論、冷蔵庫も置き場所に困らないサイズながら大容量の最新鋭の奴である。
右にはノートパソコンの置かれてるデスクに、何で買ったのか分からない組み立て式のダブルベッド。
他の人が見れば同棲しているのかと思われても不思議のない部屋だったが、この部屋は彼一人しか住んでいない。
「……孤児院の時みたいに帰ったらお帰りって言ってくれる人……居ねぇかな…………」
叶うはずもない願いを呟きながら食材を一度冷蔵庫に仕舞う。
そしてお肉を冷蔵庫に入れ終え、私服に着替えると自室を出てケーキの材料を買おうとマンションを出ようとしたら、不思議な格好をした人間が倒れているのを見付けた――
「ん? ……にんげ…………ん?」
この時煌太は、まさか本当に自分の叶いもしない願いが叶っていたとは思いもしなかった。