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恋鱗  作者:
12/16

10

真っ暗闇で。


ソレは、突然始まった。















せかいはたくさんあって いろんないきものがくらしているの。

それはにんげんばかりじゃない。

たとえば、りゅう。

たとえば、ようせい。

たとえば、ぎょじん。

それぞれがそれぞれのかたちでいきているの。てやあしが、にんげんとおなじもの。みみやおっぽだけが、けものとおなじもの。みためはにんげんとおなじで、はしりがはやいものや、ちからのつよいもの、いきるじかんがながいものもいる。

あなたとはちがう。

けれど、こわがるひつようはないの。

そう、ちのうあるいきものとして、けいかいはひつようだけれど。

こわいものばかりじゃない。

わたしはこわがってばかりいたけれど。おそろしくて、ひとみをとじていたけれど、きっと、ゆうきをだして、まぶたをひらけば、きっとたのしいこともしあわせになるちゃんすも、みつけることができたの。

だからおねがい。

わたしには、できなかったこと、みれなかったもの、あえなかったひとたちにあって。

わたしのからだはもう、あなたのからだだから、こうして、ゆめのなかでねがうことしかできないけれど






__________しあわせに。





















わたしは私で、私がわたし。

どちらが上で、どちらが下かも分からないところで、私はわたしの声を聞いていた。

知らない声なのに、なぜか馴染み深く聞こえたのはきっと、その声の持ち主が現在の私の身体の持ち主と同じだからなのだろう。

甘くて少し低い、水音のように静かな少女の声。

それは、もう全ての苦から解放された安心からくるものなのか。それとも、これからの未来を手放したことへの後悔によるものか、私には分からない。

分からないことだらけの私を、何処かから見ているのかもしれない。

何も見えないその場所で、ぽつんと私はひとりぼっち。


ねえ、どうして私なの。


_____あなたが、わたしだから。


ねぇ、これからどうしたら良いの?


_____ あなたの好きなように。


ねぇ、ここはどこ?


_____ わたしたちのゆめのなか。


私は私に戻れるの?


_____ わたしはあなただから、さきのことはわからない。もどれるかもしれないし、そうではないかもしれない。


……ねぇ、あなたのことを聞いても良い?


_____ わたしのなまえはふぃん。わたしはきがついたときからそうよばれていたの。わたしのせいべつはおんな。としはひゃくよんじゅっさいくらい。まえは、ゆうかいされてはたらかされていたの。からだのしゅぞくはりゅう。りゅうのからだと、にんげんのからだをいききできる。りゅうは、とてもけだかくて、つよくて、ながいきで、すごいの。わたしは、りゅう。それと、りゅうのおんなにはたくやさんのきまりがあるの。わたしは、くわしくはわからないけれど。


日記を見たら、一人だったって……でも、詳しいのね。


_____ たびをして、しらべたの。でも、りゅうは、りゅうは、……たくさんしんでいた。あいたかったかあさまやとうさまも、もう、いなかった。かなしくて、さびしくて、しにたくなった。


私も、ずっと一人だったから。だから、わかる気がする。でもね、死ななくても良かったんだよ。きっと、幸せになれたんだから。


_____ そうかも、しれない。でも、わからない。わたしには、わからない。だから、あなたが、さがして、しあわせ、さがして。


そう、だね。私は生きるよ。知らない世界だけど、あなたの身体だけど、もう私のだから。私は私のしたいように、生きたいように生きるよ。……また話せる?


_____ わたしはあなた。……ことばをかわせなくても、いつもそばにいるの。だから、


うん。しあわせになるよ。きっと。


_____ きっと。











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