ばれた・・・
担当:愛莉
「いやぁ……実はコレ、プレゼントでさぁ。父さんが母さんに渡してほしいって、俺に頼んできたものなんだ」
あまりにも苦し紛れな嘘しか出てこなくて、言ったあとに後悔した。
「だったら最初からそう言えばよかったのに。逃げるなんて、不自然だよねぇ?」
予想通りの返しに、引きつった笑いしか浮かべられなかった。
「そのボックス、ひょっとしてスゴイものなの?」
「あー、いや、その……」
「ちょっと貸して!」
彼女は強引に、抱えているボックスを引き剥がそうとした。
「ダメだって! これは――!」
女の子のくせに、何でこんなに力が強いんだ。
学校に行かず運動もしていない、半ば引きこもりのような生活をしていたツケがまわってきたのか?
俺は力負けしてボックスを離してしまった。
「ん? 何これ」
彼女はすぐ、ボックスに表示されている数字に気付いたようだ。
「20××年×月×日……? 何で来週の日付が書いてあるの?」
不思議そうに首を傾げる彼女。
ここまできたら仕方ない。信じてくれるかどうか分からないけど、事情を説明するしかないか……。
「――実は俺、そのボックスに書いてある日付から来たんだ」
「何それ。いくらこのボックスのすごさを隠したいからって、そんなファンタジーな嘘をつかなくてもいいじゃん」
馬鹿にしたような笑い声を上げられてしまった。あーあ。やっぱり信じてくれるわけないよな。
――よし、こうなりゃヤケだ。彼女と一緒に、ここでボックスを使ってやる。