目を開けたら
担当:愛莉
その瞬間、激しい光に包まれる。思わずギュッと目を閉じた。
ボックスを強く抱きかかえ、身を固くする。
――と、しばらくして何やら人の騒ぎ声が聞こえてきた。そっと目を開けてみる。
「――!!」
タイヤが道路をこする音と、声にならない叫び声が響き渡る。
「危ねーだろ! クソガキが!」
間一髪で俺を避け急停止した車の運転席から、オッサンの顔が覗く。
オッサンは鬼の形相で俺を睨むと、すぐに車を発進させた。
「うわ、ちょ、何だよコレ!」
見ると、俺は道路のど真ん中に立っていた。
慌てて歩道に入る。通行人たちが変なモノを見る目で、ジロジロと俺を見ていた。
「どこだ、ここ……」
辺りを見渡す。大通り沿いにビルやコンビニなどの店が立ち並んでいるが、見たことのない場所だった。
「あの、すみません!」
近くを歩いていた大学生くらいの男を呼び止め、今日が何日かを尋ねてみる。
すると不審そうな顔をしながらも、男は今日が何日かを答えてくれた。
それは《GO!》ボタンを押す前、ボックスに指定した日付で間違いなかった。
手の中にあるボックスに視線を落とす。やっぱりコレ、本物だったんだ。
――いやいや、問題はそれだけじゃない。
飛ばされた場所が道路のど真ん中とか、危険すぎるだろ!
危うく過去で死ぬところだったじゃないか。
これは慎重に使わなければならないなと思いつつ、溜め息をついた。
取りあえず、ここがどこなのか知る手掛かりでも探してみるか……。