自己紹介
担当:愛莉
走って公園に辿り着いたため、俺たちは二人とも息が上がっていた。
走ってきたから今は身体が温かいけど、冬に夏の服装じゃすぐにまた寒くなる。
公園の外にスポーツショップがあるのが目に入り、彼女に尋ねた。
「ねぇ、お金持ってない?」
「あるけど……」
「あそこでウインドブレーカーか何か買おう。このままじゃ凍死しちゃう」
「君、お金ないの?」
不満そうに唇を尖らせている彼女に、俺は頷いた。
「あとで必ず返すから。お願いします」
彼女は肩に掛けていた小さなショルダーバッグから、可愛らしいピンクの財布を取り出して中身を確認した。
「……仕方ない。待ってて」
彼女は走ってお店に行くと、しばらくして袋を抱えて戻ってきた。
中にはウインドブレーカーが二着。取りあえず寒さはしのげそうだ。
それを羽織ると、冷たい風をよけるため、ドーム型の休憩所的な場所に入った。
「俺、佐藤アキラって言うんだ。君は?」
「松井ユウコ」
「松井さんはいくつ?」
「別に『さん』付けしなくていい。ユウコって呼んでくれれば」
ムスッとしながらも、ちゃんと自己紹介する気はあるようだ。このまま機嫌を直してくれるといいけれど。
「俺、中学生三年生なんだけど。ユウコは?」
「そっか。私、高校二年生」
高校生と聞いてビックリした。
めちゃくちゃ童顔だし、キャーキャーとワガママを言う様子といい、タメどころか年下じゃね?くらいに思ってたから。
高校生に対して偉そうだったかな、と微妙に反省する。
「すみません、二個も年上なのに」
「今更、気を遣わなくていいよ。……私もちょっと興奮しすぎてた。ゴメン」
ユウコは思いのほか素直に謝ってくれた。