今度こそ・・・
担当:愛莉
「君は今起きたことを『イリュージョン』だって言いたいんだろ? でも、ホントに違うから」
「だけど、こんな非現実的なことが起きるはずないよ」
ダメだ、信じる気のないこの子に何を言っても無駄だろう。このまま会話していてもラチがあかない。
俺は最初にタイムスリップしたときと同じく、誰かに今日の日にちを尋ねることにした。
ところで――寒すぎる。
さっきまで俺たちがいた時期は夏だったのだ。雪が降る中、半袖でいる俺たち。場違いどころの問題ではない。
このままじゃ凍死してしまう。まず先に、室内へ避難しなくては。
それは彼女の方も思ったらしく、キョロキョロして「どこかに行こう」と言いだした。
白い息を吐きながら、震える腕を必死でさすっている。
今いる場所は、前回と同じで知らない場所だった。
とはいえ、前に移動したのは隣町だったわけだし。今回も大して離れた場所じゃないといいけれど……。
幸い、すぐ近くにコンビニを見つけることができた。
慌てて入店したものの、「いらっしゃいませ」と言う店員さんの目が点になっているのがすぐ分かった。
そりゃそうだろう。二人揃って、雪が降っている中を半袖でいるのだから。
「あの、すみません」
先に、彼女の方が店員さんに声を掛けた。
「今日って何日ですか?」
店員さんが教えてくれたのは、やはり半年前の日付だった。
「ホントに、ホントに、ホントですか!?」
彼女が声を荒げたため、俺は慌てて腕を引っ張り、彼女の口を塞いだ。あまり騒がれて、店員さんに不審者だと思われたら困るからだ。
でも今度こそ、彼女は信じてくれるだろう。このボックスが本物だということを。