表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

【業火の魔女編:500年前の聖女】

はじめまして、えす椎名と申します。

ずっと書きたかった物語を、思い切って投稿してみました。


この作品は、

「なりたくなかったのに魔女になってしまった子」をテーマにしています。

シリアスもありますが、最後はちゃんと光が射す物語にしたいと思っています。


不慣れな部分もあると思いますが、

少しでも楽しんでもらえたら、それだけで幸せです。

どうぞよろしくお願いします。

空が割れた。

 大陸中に黒い炎が広がり、命の気配が飲み込まれていく。


「……終わればいい。この世界なんて全部……」


 炎の中心でイリスが微笑む。泣きながら笑う、壊れた表情で。


 その奥で、甘く冷たい声が囁く。


『そうよイリス。全部燃やしてしまいなさい。

 500百年前のように弱さを見せないで。

 あなたは愛されなかった。救われなかった。

 なら与える必要なんてない。燃やし尽くせばいい』


 炎が一段と強く脈打つ。


「……うん。もう、いいよね。だって……私を守ってくれた人なんて、一人も──」


 世界が終わろうとしていた、そのとき。


「イリス!!」


 灼熱の嵐の中へ、フィアが駆け込んだ。


「やめて!! そんな顔で終わらせないで!!」


「来ないで……! 死ぬよ……!」


「死んでもいい!! それでも私は、あなたを一人にしない!!」


 叫んだ瞬間、フィアの胸に刻まれた紋章が強烈な光を放つ。

 黒炎が押し返され、イリスが目を見開く。


「……その光……まさか……」


 光の中に浮かび上がる、白銀の羽根と聖なる円環――

五百年前の“聖女”だけが持っていた紋章。


フィア自身にも理解が押し寄せた。


「思い出したの……私、500年前……

 本当はあなたを救おうとしたのに、救いきれなかった」


 フィアの声は震えていた。


「あなたが大陸全土を焼こうとしたとき、

 私は“災厄を抑えること”しかできなかった。

 正義を装って、あなたの痛みから目をそらした。

 ……あなたをひとりにしたのは、私なの……!」


 光と黒炎が衝突し、空が激しく揺れる。


『惑わされないでイリス。

 幸せなんて存在しない。

 あなたは壊れてしまえばいいの。

 そうすれば二度と苦しまなくて済むでしょう?』


「違う!!」


 フィアは涙をこぼしながら叫ぶ。


「幸せがあるかどうかなんて、誰にも決められない!

 呪いも、罪も、怒りも!!

 そんなものより──イリスの“本当の願い”の方がずっと強い!!」


 その言葉に、イリスの瞳が揺れた。


 黒炎が暴れ、呪いが軋む。

 イリスは胸を押さえながら崩れ落ちる。


「……私の、願い……?」


「誰も失いたくなかった。

 ただ、大切な人たちに笑っていてほしかった。

 傷つけるためじゃなく──守るために生きたかった。

 それが……あなたの願いだったはず!」


 イリスの目から一粒の涙が落ちる。


「う……あぁぁぁぁ……っ!!」


 盛大な爆発音とともに黒炎が砕け、世界を覆っていた呪いが霧のように溶けていく。


フィアは傷だらけのイリスを抱きしめた。


「あなたはずっと頑張ってた。

 だからもう一人で苦しまなくていい。

 今度こそ、私はあなたを救う──

 “前の生”ではできなかったことを、今度こそ果たす」


震える声で、イリスは囁いた。


「……助けて……フィア……私……生きたい……」


「うん、生きよう。これからは一緒に」


 二人を包む光は温かく、大陸の災厄は完全に消滅した。

お読みいただきありがとうございました。

まだ描きたい場面がたくさんあるので、少しずつ形にしていこうと思っています。

もしまた読みに来てもらえたら、とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ