【業火の魔女編:秘密の庭園】
はじめまして、えす椎名と申します。
ずっと書きたかった物語を、思い切って投稿してみました。
この作品は、
「なりたくなかったのに魔女になってしまった子」をテーマにしています。
シリアスもありますが、最後はちゃんと光が射す物語にしたいと思っています。
不慣れな部分もあると思いますが、
少しでも楽しんでもらえたら、それだけで幸せです。
どうぞよろしくお願いします。
城の奥へ案内された先――
炎の海に囲まれたはずの大地に、信じられない光景が広がっていた。
色鮮やかな花畑。
優しい風。
鳥のさえずり。
この大陸ではありえない、穏やかな空間。
「……ここ、だけ?」
「君以外の誰も入れない場所なんだ」
イリスはしゃがみ込み、小さな白い花に触れた。
「炎に包まれた後も……ずっと、ここだけは守られていた。たぶん、誰かの“願い”のせいだと思う」
「誰かって――」
問いかけようとした時、イリスは小さく首を振る。
「今はいい。そんな話より……この花、君に似ている」
「え、に、似てるって……?」
不意打ちの言葉に心臓が跳ねる。
けれどイリスはからかうような笑顔ではなく、本気で優しく言った。
「強くて、綺麗で……触れたら壊れてしまいそうなところも」
そんな風に言われたことは一度もなく、視線をそらしてしまう。
「……褒めすぎです」
「君を褒める言葉が、いくつあっても足りない」
躊躇いも照れもなく言うから、余計に心が追いつかない。
けれど――嫌じゃない。
むしろ、不思議な安心感に包まれていく。
「君が望むなら……ここは、いつでも君の場所だ。休みたい時でも、泣きたい時でも、話したい時でも」
その声はあまりにもあたたかくて。
炎を纏った魔女だなんて、もう思えなかった。
「……ありがとう、イリス。少し……見直しました」
イリスの瞳が嬉しそうに細められる。
「仲良くなれるなら、それだけで十分だ」
風が、二人の間をやわらかく通り抜ける。
ここから――ゆっくり確かに距離が縮まっていく。
それは友情か、恋情か、それとも別の何かかはまだわからない。
ただ、フィアの心は確かに動き始めていた。
お読みいただきありがとうございました。
まだ描きたい場面がたくさんあるので、少しずつ形にしていこうと思っています。
もしまた読みに来てもらえたら、とても励みになります。




