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【8月6日書籍発売!】天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※Web版  作者: 優木凛々
書籍1巻発売記念SS!

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【書籍発売記念SS】アリス、シチューを作る


本日8月6日に書籍1巻が発売されることを記念して、SSを投稿します!


場面は、アリスとテオドールが真の森を横断しているあたり、

古城に到着する少し前くらいです。(第1章の終わりの方)


 アリスとテオドールが魔の森に入って、三日目の夜。


 二人は、アリスの張った結界の中で焚火を囲んでいた。 

 夕食の準備をしようとしたテオドールが、小さくくしゃみをする。


 アリスが眉間にしわを寄せた。



「大丈夫?」

「はい、ちょっと体が冷えただけだと思います。少し温まったら良くなるかと」



 そう言った直後、テオドールはもう一度くしゃみをした。

 アリスが考え込むように顎に手を当てる。



「……確か、お鍋、持ってきていたよね」

「はい、あります」

「ちょっと貸してくれる?」



 テオドールは首をかしげた。アリスがこんなことを言うのは初めてだ。

 とりあえず、リュックサックから小ぶりの鍋を取り出して、差し出す。



「これですけど……何に使うんですか?」

「シチューを作ろうかと思って」



 意外な言葉に、テオドールが目をぱちくりとさせた。



「シチュー、ですか」

「うん。風邪ひいた時とか、所長(ビクター)がよく作ってくれたんだよね」



 どうやら、アリスがしてもらって嬉しかったことを、テオドールにもしてくれようとしているらしい。



(アリスさんって、優しいところあるよな)



 感動するテオドールの前で、アリスは水魔法を発動した。鍋を水で満たす。

 その様子をながめながら、テオドールは、ふと思った。



(ところで、シチューって、なんのシチューだ?)



 ここは魔の森だ。材料も限られている。

 そもそも、アリスに料理ができるのだろうか。



「あの、アリスさんって、料理する人なんですか?」

「あんまりしないけど、大丈夫だよ。シチューなら、何度も食べたことあるし」



 自信ありげに言うアリスに、テオドールは無言になった。

 食べたことがあるのと、作れるはだいぶ違う気がする。



(これは……大丈夫なのか?) 



 不安そうなテオドールをよそに、アリスが焚火の傍に置いてある肉や野菜などの食材を鍋の中に放り込んだ。

 ぐるぐるとかき混ぜる。

 そして、鍋の中を見つめながら、ふむ、と考え込むと、岩塩を振り入れた。

 一度かき混ぜてから、今度は森の地面に目を向ける。そして――



 ブチブチブチ



 生えていた謎の草を引き抜くと、止める間もなく鍋に放り込んだ。



「……!」



 テオドールが目を見開いた。



「アリスさん、それ、草ですよ!」

「大丈夫。毒性はないし、たぶん美味しくなると思う」



 そう言いながら、アリスは周囲を見回した。

 草や実など、得体の知れない植物が次々と鍋へと加わっていく。

 最初は透明だった鍋の中も、いつしか紫がかった謎の液体になり、ぐつぐつと泡を立てながら煮えている。

 アリスは鼻を近づけると、満足そうにうなずいた。



「うん、いい感じ!」



 そして、お椀に謎の紫の液体をよそうと、満面の笑みでテオドールに差し出した。



「はい、どうぞ」



 テオドールはお椀を受け取ると、無言でそれを見つめた。

 紫色のドロッとした液体に、肉やよく分からない実が浮かんでいる。見た目は明らかに危険物なのに、匂いだけが妙にまともなのが、逆に怖い。



「あの……これ、毒性とかは……」

「大丈夫。ちゃんと調べた」



 アリスは自信たっぷりにうなずくと、キラキラした目でテオドールを見た。



「熱いうちにどうぞ!」



 テオドールは悟った。もうこれは食べるしかない。



(アリスさんがせっかく作ってくれたんだ、誠心誠意食べよう)



 彼は覚悟を決めると、笑顔で言った。



「では、いただきます」



 彼はスプーンで紫の液体をすくった。目をギュッとつぶって口に入れる。そして――



「……あれ?」



 思わず大きく目を見開いた。



「これ……結構、美味しいですね」



 草が入っているせいで野性味を感じる味ではあるが、コクがあってまろやかで、実に味わい深い。

 驚くテオドールに、アリスがドヤ顔をした。



「私、食材の魔力バランスを整えるの、得意なんだよね。魔力バランスさえ整えれば、大抵の料理は美味しくなるんだよ」



 テオドールは感嘆した。

 まさかアリスにこんな特技があるとは思わなかった。


 その後、二人は一緒にシチューを食べた。

 紫色を見ないようにすれば、味自体は素晴らしく、口にするほど体が温まっていく。



(本当に問題は色だけだな)



 見ないようにして食べているが、やはり気分があまり良くない。色が違えば、と残念に思う。



 ――そして、鍋が空になると、テオドールが感謝の目でアリスを見た。



「ありがとうございました。体が温まってだいぶ楽になりました」

「それは良かった! また作るよ」



 得意げなアリスに、テオドールが控えめに言った。



「できれば……次はもうちょっと違う色がいいです」

「そうなの?」

「はい、もう少し自然な色の方が食べやすい気がしまして」



 アリスが、ふむ、とうなずいた。



「じゃあ、次作るときは、もっと自然な色を目指してみるよ」

「ありがとうございます」



 テオドールがややホッとしながらお礼を言う。



 ――ちなみに、この翌日。

 アリスが「自然な色」ということで、目が覚めるような鮮やかな緑色のシチューを作るのだが、この時のテオドールはそんなことは知る由もなかった。





本日8月6日に書籍1巻が発売します!


張り切って加筆しすぎて少々分厚くなってしまいましたが^^;

ぜひお手にとって頂けると嬉しいです!


イラストは、 匈歌ハトリさんです!

世界観やキャラクターのイメージをぐっと広げてくださいました。


また、今回”ニス塗り”という加工手法で表紙を作って頂きまして、魔法陣が光を受けて光る感じになっています!

お時間がありましたら、ぜひ現物をチェックして頂けると嬉しいです!(,,ᴗ ᴗ,,)ペコリ


書影はこちらです↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


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8月6日 書籍1巻発売!
ぜひ手に取っていただけると嬉しいです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ。:.゜ஐ⋆*

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