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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※第2部準備中  作者: 優木凛々
第3章 魔法陣解析

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04.アリス、知らない場所で目を覚ます

 

「……アリスさん! アリスさん!」



 誰かの必死な声に、アリスが目を開けると、そこは薄暗い石の部屋だった。

 天井や壁が崩れかかっているのが目に入る。



(……どこここ?)



 ボンヤリとしながら体を動かそうとすると、突然、猛烈な頭痛に襲われた。

 思わず呻くと、上からホッとしたような声が降ってきた。



「良かった……気が付いたんですね」



 見上げると、そこにはテオドールの心配そうな顔があった。

 どうやら膝枕されているらしい。



(あれ、どういう状況?)



 アリスが頭を押さえながら混乱していると、テオドールが心配そうに言った。



「寝ていて下さい。おそらく魔力切れだと思います」

「魔力切れ? なんでそんな……」



 アリスがそう言いかけた、そのとき――。



 ズシン……、ズシン……



 突然、上の方から地響きが聞こえてきた。

 天井から土のようなものがパラパラと振って来る。


 アリスは思わず体を強張らせた。

 頭の中が更に混乱する。



「……なにあれ?」



 何とか口を動かして尋ねると、テオドールが落ち着いた声で答えた。



「……おそらく、相当な大きさの魔獣が、上を歩いているのではないかと」

「相当な大型」

「ええ、たとえば、ドラゴンのような」

「…………は? ドラゴン……?」



 呆気にとられるアリスに、テオドールがコクリとうなずいた。




 *



 地響きが遠ざかってから、少しして。


 アリスは、壁に寄りかかって座りながら、

 腰に付けていた水筒の水を飲んでいた。

 ほう、と息を吐く。



「……少しマシになった」

「良かったです」



 テオドールが、ホッとしたような顔をする。


 アリスは、まだズキズキするこめかみを軽く押さえながら、周囲を見回した。


 四方を崩れかけた石壁に囲まれており、

 床には、直径1メートルほどの魔法陣が描かれている。

 空気は湿っぽく、カビと土の混じったような匂いが鼻につく。


 廃墟の中っぽいな、と思いながら、アリスが口を開いた。



「……ここって、なんだろう?」

「わかりませんが、たぶん魔法陣の影響で来たのではないかと」



 テオドールによると、アリスが魔法陣を発動させた数秒後、気が付いたら、アリスとランプを抱えてここに立っていたらしい。



「……」



 アリスは、目を逸らした。

 こんな場所に来てしまったのは、明らかに不用意に魔法陣を動かした自分のせいだ。



「これ、やっちゃった感じだよね……」

「まあ、そういうことかもしれませんね」

「……なんか落ち着いてるね、テオドール」

「ええ、そろそろ慣れてきました」


 

 アリスがしゅんとうなだれた。



「……ごめんなさい」

「もういいですよ。とりあえず、アリスさんが1人で飛ばされたんじゃなくて良かったです」



 テオドールが目を細めながら、アリスの頭を撫でる。



 その後、2人はこれからどうするか相談した。

 とりあえず、アリスの魔力を回復させようという話になる。


 テオドールが上着を脱ぐと、アリスに差し出した。



「冷えないように着てください、ないよりはマシだと思います」

「ありがとう」



 アリスはごそごそと上着を羽織った。

 袖を通してみるが、サイズが大きくて手が出ない。


 アリスはテオドールに袖を見せた。



「テオドールって大きいね、ぶかぶか」

「…………今はそういうことするの、やめてもらっていいですか」



 テオドールが顔を背けて、ボソッと言う。


 その後、アリスはテオドールに寄りかかって睡眠をとった。

 ある程度回復した後、床に書かれた魔法陣を調べる。



「……これも古代魔法陣だね」



 大きさも中身も、アリスが魔力を流した魔法陣とほぼ同じものだ。

 突然知らない場所に飛ばされた事実と、2つのよく似た魔法陣。

 この2つを合わせると……



「……たぶんだけど、これ、転移魔法陣だと思う」



 テオドールが険しい顔をした。



「まさか転移魔法が現実に存在するなんて思っていませんでした」

「わたしもだよ。御伽噺かと思っていた」



 テオドールがランプを掲げながら尋ねた。



「では、この魔法陣をもう一度起動すれば元いた場所に戻れる、ということでしょうか」

「……理屈では、そういうことになるとは思うけど……」



 そう言いながら、アリスは魔法陣をながめた。

 たぶん戻れるとは思うが、正直なところ、動かしてみないと分からない。


 テオドールが口を開いた。



「もしも戻れなかった時のために、出口を探しておいた方がいいかもしれませんね。ただ……」



 彼は口を閉じた。

 上から再び、ズシン……ズシン……、という音が聞こえてくる。



「出口があったとしても、外に出るのは難しいかもしれませんが」

「そうだね……」



 アリスがため息をつくと、テオドールが明るい声を出した。



「とりあえず、部屋の外を見てみましょう。何か見つかるかもしれません」




 その後、2人はそれぞれランプを持つと、慎重に部屋の外に出た。


 部屋の外は、部屋以上に荒廃した石の通路だった。

 ランプの光の先は、完全な闇だ。


 アリスがボソッとつぶやいた。



「なんか、お化けでも出そうだね」

「……それ以上言ったら、俺、走って逃げますからね」



 こんな場所でも、お化けが怖いと言うテオドールに、アリスが思わず吹き出す。



 その後、2人は通路の右側に向かって歩き始めた。

 幾つか部屋の前を通り過ぎるが、どの部屋も土砂や落石で埋もれている。



(本当に廃墟だ)



 そして、一番奥の部屋にたどり着くと、そこは広く天井の高い部屋だった。


 壁や天井がメチャクチャに崩れており、部屋の中央には、見上げるような大きさの分厚い金属板が刺さるように斜めに立っていた。



「なんか……ものすごく荒れてるね」

「大きな地震でもあったのかもしれませんね」



 アリスはランプを掲げた。

 部屋の中を観察する。


 そして、床に突き刺さるように立っている金属板を見て、思わず目を見開いた。



「あれって……!」



 そこには、見覚えのある巨大な魔法陣が描かれていた。


 アリスはそれに近づくと、マジマジと見た。



「……やっぱり。これって、古城の地下にある結界の魔法陣とほぼ同じものだ」



 そして、彼女はハッと思い当たった。

 ということは、裏も同じなのではないだろうか。



「もしかして……!」



 彼女はよろめきながら、金属板の裏に周った。

 ランプを高く掲げる。



「あ、あった!」



 金属板の裏には、複雑な魔法陣が描かれていた。






お読みいただきありがとうございました!



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