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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※第2部準備中  作者: 優木凛々
第2章 謎の古城

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19. アリス、滞在を延長することになる(テオドールの思い)


最後の方にテオドールの独白があります

 

 ピアスが2つになったことに驚愕した、数時間後。


 アリスが目を覚ますと、すでに日が昇っていた。

 ピアスの件で混乱したものの、睡魔には勝てずに眠ってしまったらしい。



「起きなきゃ……」



 ボンヤリとベッドから起き上がると、枕元に置いてあるピアスが目に入った。



「1,2……やっぱり2つある」



 指を指しながら数えると、彼女はため息をついた。

 もともと自分が付けていた方の、少し傷が付いているピアスを手に取る。

 そして、いつも通り耳に付けると、もう片方をハンカチに包んでクローゼットの奥にしまい込んだ。



「とりあえず、今は結界の修復に集中しよう」



 現実逃避気味に、そんなことを考える。



 その後、彼女は身づくろいをして部屋を出た。

 明るい廊下を通って、隠し扉があるエントランスに行ってみると、扉は固く閉じられていた。


『老朽化により立ち入り禁止』


 という紙が留められている。



(あれ? どうしたんだろう)



 扉の前で首をかしげていると、後ろから「アリスさん!」と声が聞こえてきた。

 振り返ると、そこには手にランプを持ったテオドールと、ビクトリアが立っていた。


 ビクトリアが微笑んだ。



「おはようございます、アリスさん」

「おはようございます。もしかして、この立ち入り禁止って、ビクトリアさんが?」

「はい、そうした方が良いかと思いまして」



 どうやらテオドールからの知らせを受けて、すぐに封鎖したらしい。


 その後、3人は扉を開けて真っ暗なエントランスの中に入った。

 ランプの光を頼りに、壁を押す。



 ゴゴゴゴ



 低い音が響き、床の隠し扉が開いた。

 突然現れたそれを見て、ビクトリアは目を見張った。



「こんな場所に隠し扉があるなんて……」



 そして、地下に潜って、金色に光る魔法陣を見て、彼女は息を呑んだ。



「これが……、この古城を守る魔法陣なのですね」

「はい。そうです」



 アリスがコクリとうなずく。



「この魔法陣に何か問題が起こっている、ということですね」

「そうなります」

「まさかこんなものが地下にあったなんて……」



 ビクトリアが、信じられないといった風につぶやく。


 その後、彼らは今後について話し合った。

 魔法陣をながめながら、アリスが口を開く。



「まずは、この魔法陣を分析してみたいと思います。仕組みが分からないと何もできないので」

「どのくらいかかりそうですか?」



 テオドールの問いに、アリスは腕を組んで考え込んだ。



「……とりあえず、1カ月やってみて……かな」



 正直なところ、魔法陣が未知過ぎて見当すらつかない。

 でもまあ、とりあえず1カ月も分析すれば、何か分かるだろう、と考える。



(これは楽しみだ……!)



 未知の技術の解析に心が躍る。

 明らかにわくわくしている雰囲気のアリスの様子を見て、ビクトリアとテオドールが思わずといった風に口角を上げる。




 その後、魔法陣を食いつくように見つめるアリスの横で、ビクトリアとテオドールが話し合った。


 アリスたちはしばらく滞在を延長。

 テオドールはこの集落を手伝い、アリスは魔法陣の分析・修復を試みることになる。


 ビクトリアが深々と頭を下げた。



「アリスさん、どうぞよろしくお願いします」

「はい、がんばります!」


「でも睡眠や食事を抜くのはナシですよ」

「……わかってるって」

「アリスさん、くち、とんがってますよ」



 すねた子どものような顔のアリスに、テオドールが吹き出す。



 その後、アリスはそのまま地下に残り、テオドールとビクトリアは地上へと戻ることになった。



「それでは、アリスさんがんばってくださいね」

「うん」



 すでに夢中になりながら、アリスが生返事をする。


 そんなアリスに別れを告げて、テオドールとビクトリアが出口に向かう。

 古い石の廊下を歩きながらビクトリアが尋ねた。



「我々にとってはありがたい限りではありますが、お2人は1か月も残られて大丈夫なのですか?」

「はい、おそらく大きな問題にはならないかと。……それに、現実問題として、アリスさんをここから引きはがすのは不可能でしょうし」

「……そうですわね」



 ビクトリアが、確かに、という風に苦笑する。


 その後、2人はエントランスに出た。

 それぞれ用事がある方向へと別れて歩いていく。


 鍛錬場に向かいながら、テオドールは小さくつぶやいた。



「この滞在、長くなりそうだな」



 魔法陣の解析にまずは1か月と言っていたが、修繕も含めればおそらくもっとかかるだろう。


 しかも、地下にはあと4つも魔法陣がある。

 アリスが分析したがらない訳がない。

 ここに半年以上いることになっても不思議はないだろう。



「あの人は、魔法陣のことになると周囲が見えなくなるからな」



 夢中になるアリスの後姿を思い出し、テオドールがどこか愛おしそうに目を細める。



「まあでも……俺にとっても、これはいい機会かもしれない」



 彼は、幼いころから「祖父のような人のために働く上級騎士」になりたくて、ひたすら励んできた。

 努力の甲斐あって、1年前にようやく上級騎士になる。

 しかし、待っていたのは魔法陣による奴隷化と、お世辞にも良いとは言えない政治的な任務ばかり。

 そんな状態に疑問を抱いていた。


 だから、アリスに背中の魔法陣を消されて、彼は焦りはしたものの、どこか解放された気分になった。

 亡命をあっさり受け入れるが、それと同時に、人生の方向が分からなくなる。


 表では何もないように微笑みながら、心のどこかでずっと考えていた。

 これから一体、自分はどう生きていくべきなのだろうか、と。



「……もしかすると、この滞在は、俺にとっても必要な時間なのかもしれないな」



 そんなことをつぶやきながら、テオドールは視線を上げた。

 暖かい風に緑の葉が揺れる畑では、人々がのんびりと作業をしており、子どもたちがその横で楽しそうに走り回っている。


 彼はしばらくその光景をながめたあと、足早に鍛錬場へと歩いて行った。





アリスは古代魔法陣を復活させることになった!




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