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天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました  作者: 優木凛々
第1章 魔法研究者アリス、辺境に追いやられる

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16/82

【一方その頃】 王妃、知らせを受ける



 

 アリスがテオドールの背中の魔法陣を消してから、約1週間後。


 ガイゼン王国の王宮にて。

 王妃が、ティーサロンでくつろいでいると、宰相がやってきた。

 一礼すると、声を潜める。



「……今朝、報告がございまして、例の魔法研究者が上級騎士と共に行方不明です」



 宰相によると、約1週間前の夜に、王宮付きの魔法士から

「研究者に同行した上級騎士の”契約の魔法陣”が消された可能性がある」

 という報告があったらしい。


 すぐさま調査に向かわせたところ、魔の森の近くの村の村長夫妻が、

「2人が帰ってこない」と、狼狽えていた。



「荷物や馬もそのままで、森の入口にも戻って来た形跡がなかったそうです」



 王妃が「そう」とつぶやいた。



「それで、魔法研究者と騎士はどうなったのかしら」

「調査した者の見立てでは、森で魔獣に襲われて亡くなったかと」



 王妃は微笑んだ。



「そう。報告ご苦労様でしたね。下がっていいわよ」



 宰相が一礼して立ち去った後、王妃は窓の外を見ながら、冷ややかに紅茶を口にした

 メイドを下がらせると、ベルを鳴らす。



「……お呼びでしょうか」



 眼鏡をかけた黒い執事服の男がどこからともなく笑顔で現れた。

 王妃の前にひざまずく。

 王妃は男を見下ろしながら、声を潜めた。



「例の魔法研究者と上位騎士が行方不明になったそうよ」

「それはそれは」

「死んでいるという見立てのようだけど、あなたはどう思うかしら?」



 男は少し考えた後、口を開いた。



「……死んだ、は少々早計かと」

「なぜ?」

「同行の上位騎士は、あのラングストンの孫であり、去年の武術大会の覇者です。そう簡単に死ぬような男ではないかと」



 男の言葉に、王妃が眉をひそめた。



「そうかしら? 王宮魔法士によると、例の魔法陣の反応がなくなったそうよ」

「同行していた魔法研究者が消した可能性もあります」

「近くの村人が、魔の森でいなくなったと証言したそうよ」

「そんなもの、どうにでもなります」



 男は冷静に答えると、にっこり笑った。



「王妃様のご懸念は、件の魔法研究者から、我が国の国防情報が洩れること――そうですね?」

「ええ、その通りよ」

「であれば、国境検問の強化と、ルミナート共和国にいるラングストン家を見張ることを具申いたします。生きていて頼るとすれば、おそらくそこでしょうから」

「わかりました。そうしましょう」



 王妃がうなずくと、男が口角を上げた。



「私の部下も派遣してよろしいでしょうか?」

「かまわないけど、どうするつもりなの?」

「もう少し探させようと思います。万が一ということもありますので」

「いいでしょう。任せます」



 男が笑顔で一礼した。

 音も立てずに部屋を立ち去っていく。



 そして、この日の夕方。

 国境検問の強化が発表され、黒装束の男たちが、王都からルミナート共和国とヴァルモア領に向けて出発した。






本日はここまでです。

お読みいただきありがとうございました!


それと誤字報告ありがとうございました! 助かりました! 


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