表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才魔法オタクが追放されて辺境領主になったら、こうなりました ※第2部準備中  作者: 優木凛々
第1章 魔法研究者アリス、辺境に追いやられる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/56

10.怪し過ぎるテオドール



 

 狼の群れを全滅させてから、約10分後。

 2人は森の出口付近まで戻ってきた。


 アリスのすぐ前をゆっくり歩いていたテオドールが、前方を指さした。



「出口、見えましたよ」

「あ、本当だ――って、わっ!」



 顔を上げた瞬間、アリスがつまずいて転びかけた。

 テオドールが慌てて手を伸ばして支える。



「大丈夫ですか」

「う、うん、ありがとう」



 テオドールに支えられて体制を立て直しながら、アリスは息をついた。


 時間にしたら、1時間も森にいなかったと思うのだが、ものすごく疲れた。

 魔獣が出たのもあるが、足場が悪くて、疲れるとすぐ転んでしまう。



(森ってこんなに歩きにくいんだね)



 そして、何度もつまずきながら森の入口を出た、その瞬間。



 ポツッ



 アリスの額に大きな雨粒が落ちて来た。



「雨?」



 雨粒はどんどん増え、あっという間に土砂降りになった。


 2人は慌てて村長の言っていた小屋に転がり込んだ。

 中に入ると、バリバリバリッ、とすぐ近くに雷が落ちる音がする。



「……すごい雷雨だね」

「そうですね。しばらく、ここにいた方が良さそうですね」



 その後、2人は服を乾かすことにした。

 アリスが魔法陣を描き、テオドールが暖炉に置いてあった薪を入れる。


 描き終わると、アリスは魔法陣を床に置いて発動させた。



起動(カンターレ)火球:魔法陣(イグニス・スフェアラ)



 火球が魔法陣の上に浮かび、飛んで行って薪に火をつけた。

 しばらくして、部屋が暖かくなる。


 火を見つめながら、アリスがつぶやいた。



「……魔法って、便利だね」



 研究室にばかり籠っていると、水や氷を作るくらいしか役に立たないが、こうやって外に出て見ると、また違った面が見えてくる。



 テオドールがおかしそうに笑った。



「アリスさんがそれを言うって、面白いですね」




 その後、雨が止む様子もなく。

 夕方になったため、2人は今夜ここに泊ることになった。



「せっかくだし、もらったお弁当食べましょうか」

「うん、賛成」



 2人は村でもらったお弁当――黒パンにチーズを挟んだものをありがたく食べ始めた。

 今日1日の出来事について会話を交わす。


 テオドールが、感心したように言った。



「本当に凄かったですよ。あんなすごい氷槍の魔法、見たことありません」



 テオドールによると、アリスの放った魔法は相当な威力らしい。



「魔法士になろうとは思わなかったんですか?」

「全然思わなかった。魔法陣を使うより作る方に興味があったんだよね」

「なるほど、そういう人が研究者になるんですね」



 テオドールが感心したように言う。

 アリスがふと尋ねた。



「テオドールはどうして騎士になったの?」

「俺の場合は、祖父に憧れてですね。もう亡くなりましたが、祖父は上級騎士だったんです」

「そっか、じゃあ夢が叶ったんだね」

「……そうですね」



 テオドールが軽く視線を伏せる。


 そして、食事を終えると、2人はこれからについて話し合った。

 テオドールが地図を出して、森の入口のあたりを指差した。



「今日探索したのは、このあたりだと思います」



 アリスは地図をながめた。

 たぶん、森の100分の1も探索していない。



「まだ全然だね」

「そうですね。想像以上に広いですね」



 アリスは地図に目を落としながら思案に暮れた。

 こんな危険を冒してまで城を探して行く意味などあるのだろうか。



(行かない方がいいんじゃないかな)



 ――しかし、事態はまたまた意外な方向に進む。


 なぜか、テオドールがまた意味不明なことを言い出したのだ。



「今日はここに泊まった後、一旦村に戻りましょう。その後、俺1人で城を探します」

「は!?」



 アリスは呆気にとられた。



「1人で探すって、なんでそうなるの?」



 もう行かなくていいじゃん、と言うアリスに、

 テオドールが目を逸らした。



「……やはり行っておいた方が良いのではないかと思いまして」



 アリスはジッと彼を見た。

 なんで彼はここまで行くと言い張るのだろうか。

 確実に何かを隠している。


 彼女は口を開いた。



「ねえ、テオドール。ずっと様子が変だけど、もしかして、何かあった?」

「……」

「なんか、わたしに黙ってること、あるよね?」



 アリスがテオドールの顔を真っすぐ見た。

 彼が静かに視線を伏せる。



 外から激しい雨の音が聞こえてきた。






本日あと3話、キリが良いところまでいきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ