99話 地下2階
-----(自衛官視点)-----
少し小さめのスライムが遺跡内の通路を凄い速さで駆け抜けていくのを目にした。あれは清見氏のスライムではないかと思う。
何事かと隊員達が集まる。今日は隊長と数名が例の地下の奥へと探索に行くと聞いていた。
そこに探索に行った何名かが血相を変えた様子で息を切らして走り込んできた。
探索で事故が起こり救助が必要との事。それと魔物の出現。急ぎ、奥への出入口近辺を閉鎖する。
また一体、スライムが滑るように移動してくる。外で発見する魔物のスライムはドロドロ状で移動スピードは遅いが、テイムされ形が整ったスライムは移動が速い。
俺たちはスライムを見失わないように急いで追いかけた。
ロープの梯子を降りて、壊れた壁の先へ向かう。要所要所にはライトを持った隊員が待機して中からの伝言もしていた。
落ちた先の細い通路の先に広い空間があり、そこに巨大な魔物が出たそうだ。
隊長と大島さん、清見さんがまだ中にいるらしい。
出来るだけ大きなライト、それと武器になりそうな物を持って進む。
もしかしたらもう戻ってこれないかもしれない。しかし民間人である大島さんと清見さんは何としても助け出さなくては!
たぶん、皆も同じ気持ちだろう。
こちらの世界に来て、そんな感じでどんどんと仲間を失った。大島さん達と合流してから仲間を失う事がピタリとなくなった。
油断していた。そんなにあまい世界ではなかった。
後悔と決意をしている俺の横をまた一体、スライムが通り過ぎた。清見さんのスライムだろう。最近仲間が増えたと聞いた覚えがあった。隊員にはまだスライム持ちがいない。皆羨ましく思っていた。
狭い通路を匍匐で進み広い場所にでた。
広場の中より奥ほどに巨大な塊がいる。見た事がない魔物だ。しかも大きい。
スライムが何体か張り付いて戦っているのがわかる。俺らの前を滑るように通り過ぎたスライムもその戦い参加した。
倒れていく巨大な魔物。
ライトが下を照らすとそこに大島さんと清見さんを発見。よかった生きている。
-----(清見視点)-----
うちのぽよん君と駆けつけてくれた仲間達が巨大な魔物を倒した。
凄いぞ、これからはぽよんさんとお呼びしたほうがいいだろうか。
「デカかったですね。こいつ、ミノタウルスですかね」
「ミノタウルスだともう少し人型っぽくないか? それとツノ。ツノは必須だろ? こいつはツノは無かったよな」
「地球のファンタジーと照らし合わせるのも無理があるよ」
「いや、そもそも地球のファンタジーって何だよ」
皆、笑い飛ばせるくらいには気持ちに余裕が出て来たが、本当に怖かったからな。
ポヨンさんが居なかったら絶対に俺、終わってた。
俺は絶対、冒険者にはならないぞ。
そういえば、まったり系のファンタジー小説ではミノ肉が食えたりしないか?
「ポヨンさんポヨンさん、お肉少しだけ分けてもらえる?」
さっきは全部お食べと言ってしまったが、少し残してもらった方がいいよな?
巨大なコングの頭を食べ終わり右肩あたりを包み込んでいたポヨン君、もとい、ポヨンさんにお願いしてみた。
バリっと凄い音と共にぽよんさんが裂いた肉をこっちに投げよこした。
豪快。
自衛隊の方々が肉の向こうからやってきた。危険を顧みずこんな場所まで来てくれるとは、自衛隊には本当に頭が上がらない。
自分が転がったままだったのに気がついたのは、自衛官に抱き起こされたからだ。
「大丈夫ですか! 怪我は」
「いたたた」
自衛官につかまりヨレヨレと立ち上がる。どこも折れてはいないようだが打撲はありそうだ。
だがこの程度で済んだのも大島氏のスキルのおかげだ。
ポヨンさんから貰った肉を自衛官に言って持ち帰ってもらう。豚一頭くらいのサイズの肉片だ。
ポヨンさん達の方を見るとあらから食べ終えている。骨まで溶かすようで残っているのは太い骨が少々。
あ、骨も貰えばよかった?出汁とか出るんじゃないか?知らんが。いや、今残ってる骨はデカすぎて鍋に入らん。全部食べてね。
周りを警戒してくれていた隊員のひとりが何かを見つけたようで隊長の元に来た。
「隊長! 石版のようなものがあります」
「遺跡だからあるだろう」
「いえでもその、光ってます。いえ、触れたら起動したように光りました」
その声にそこに居た全員がその隊員が居た方向を見た。
俺は帰りたい。もう帰りたい。
けれど帰りたい俺も一緒に石版の方へと全員で移動した。
「大島氏、さっきのってボスだよな? 石版に触ったらまたさっきのが出てくるとかない? 俺もう帰りたいんだけど」
一瞬皆の足が止まる。
「自分、うかつに触れてしまいましたがボスは出てきません。が、スキルは出ました」
はぁ?
はぁぁぁぁぁぁ?




