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俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?  作者: くまの香


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95話 仏間は今

 -----(清見視点)-----


 最近の自衛隊はレベルアップに熱がはいっている。と言うのもスキルの『物理攻撃』が(微)から(弱)へ上がる者が増えているからだ。


 それに比べて当初は盛り上がっていたオタクコンビの高校生トリオの男子ふたりは大人しい。



「なんかさぁ、小説やアニメみたいにはいかねぇよなぁ」


「だよな。てか、俺ら元々インドア派だし戦わなくていいなら戦わない。戦いたくない」



 それ、わかる。俺は最初からやる気(殺る気)はなかったけど、彼らは遺跡に来るまでは自分達が頑張らないといけないと思っていたそうだ。


 けど今は自衛隊という大人が大勢いる。普通の大人も大勢いる。だから自分たちは日常生活を頑張る事にしたそうだ。仕事、掃除、体力作りなどなど。

 俺よりずっと立派だなぁ。



 高校生の3人は現在は仏間で暮らしている。

 実は驚いた事にクサ……加瀬秀とは親戚だったのがわかった。苗字が同じなのは知ってたけど、別におんなじ苗字なんてどこでも居るだろう?だから新ためて気にしてはいなかった。


 そう、俺が加瀬清見。兄貴が加瀬橘。裕理くんが加瀬裕理。

 で、クサが加瀬秀。


 俺らは気が付かなかったけど、クサが先に気がついた、ってか思い出したそうだ。



「あの……、昔、うちに柑橘類を送ってくれた親戚では?」


「………さぁ?」



 俺と兄貴は全く覚えていなかった。と言うのもどうやらクサんとこに柑橘系を送っていたのは爺ちゃんらしい。

 そう言えば昔は仏間の庭にみかんの木が沢山あったな。俺は柑橘系を全部「みかん」と呼んでいる。


 爺ちゃんが育った地方では柑橘系が有名らしい。吉祥寺に越してからも爺ちゃんは庭に色々植えて育てていたらしい。

 それで親戚にも送っていたそうだ。


 クサの爺ちゃんがうちの爺ちゃんの弟で、一緒に上京をしたがお互い違う場所に住んで家族を持ったそうだ。

 クサはかなり幼い時に一度だけうちに来た事があるそうだ。


 申し訳ないが、俺と兄貴は全く覚えていなかった。

 クサは、またいとこにあたる『橘』『清見』の名前を覚えていたそうだ。どちらもみかんの名前だと教えられたからだ。

 なるほど、みかん一族から毎年みかんが送られてくるのか、と。



「何だよw みかん一族って」


「だって爺ちゃんがそう言ったんですよ。俺も3〜4歳だったし。ピュアだから信じてましたね」



 転移先の異世界で親戚と遭遇とか、凄い確率だな。



 機内に居た足の悪い旦那さんと奥さんは今は産院の個室に入っている。それとフェリーに居た老夫婦もだ。


 現在この仏間で生活を続けているのはフェリー母子と飛行機母子、鮎川さん、それと小学生コンビと高校生トリオだ。

 高校生トリオと言っても、クサとドドは俺と兄貴と同じように庭で寝ている。


 仏間の女性率が高いからな。クサたち高校生トリオは遺跡へ行こうか迷っているそうだ。

 俺は仏間の持ち主でもあるので、もしも遺跡に行ったとしても定期的に戻らないとならない。仏間が消えてしまうかもしれないからだ。それになんだかんだと毎日作業もある。


 仏間が空いてきたのでこのチャンスにやりたい事があるのだ。

 クサ達に手伝ってもらい、畳を一枚、庭へと運び出した。


 もしかしたら畳が増殖しないかなぁ。ちょっと傷を付けて今夜は庭へ置いておく。




 翌朝。


 畳は増殖した。もしかしたら分裂か?細胞分裂……。

 仏間に残っているメンバーに話して、仏間の半分へと寄ってもらった。そして畳を外へ。


カリカリカリ


 翌朝。うん、増えたふえた。外の畳はそのままで仏間は畳がみっちり元通り。



 自衛隊へ話したらさっそく自衛官が畳をとりに来た。


 遺跡の壁沿いに地べたで生活している避難民の大抽選会が行われた。まぁそうだな。まだ数はないからな。

 当選したラッキーな避難民が畳を置いてその上に転がっているのを周りに集まった人たちが羨ましそうに眺めていた。



 畳の行方を見送った後、保育園に裕理をむかえに行った。

 園庭は花盛り。……違った。花笠を被った園児達と一緒になって花笠を頭に乗せたおっさんサラリーマンも踊っていた。



「あ、清見さん。花笠余ってませんか?」



 知らないおっさんに声をかけられた。

 どうやら園庭に入れるのは花笠持参者だけというルールが出来たらしい。



「いや、今在庫きれてます……」



 残念そうな顔をしていた。が、この遺跡に来た当初に見た生気のの無い顔とは雲泥の差の明るい表情になっていた。

 子供って凄いな。凹んだ大人を元気にするエナジーに溢れてる。



 仏間の押し入れに入れられていたわけのわからない雑多な物が、現在増殖中だ。

 両親が捨てられずに押し入れに突っ込んでいた物が、物のないこの世界では今取り合いになっているそうだ。



 着の身着のままでこの世界に転移してきた避難民達には勿論着替えなどない。


 しかし仏間の向こう側半分、元は祖父母の部屋だった押し入れには、祖父母の衣類が捨てられずに残っていた。もしかしたら曽祖父母の物も残っていたのかもしれない。和服が多かった。もんぺのような物や袴?もあった。


 両親の部屋や兄貴と俺の部屋はスキルにくっついてこなかったので、今時の服は無い。下着もない。

 じーさんの押し入れからふんどしは出てきた。人のふんどしはお断りだ。


 出てきた衣類は古くても物は良いみたいで、十分着れる。

そして端っこにハサミを入れて外に出しておくと、増殖した。

 増える、増えるよ。(気持ち悪いな。有難いけど)



 遺跡内では和服姿が何気に増えてきた。


 昭和……しかも戦後っぽい。

 ファンタジーな異世界転移ではなく最早タイムトラベルで戦時中に来たような気分になる。


 それにしても着物ってサイズが自由で何気に便利だな。俺と兄貴が幼い頃に着てたらしい甚平も出てきた。裕理に着せた。可愛いな。ママさんらに頼まれて現在増殖中だ。


 迷彩服を洗濯中で和服姿の自衛官も居た。


 ところで、その自衛官の腰にさしてる刀?どうしたん?自衛隊って刀持ってたんだ?


 え?うちの仏間の押し入れから出てきた?

 刀に見えたのはマグロ捌き用のロングな包丁だそうだ。うちの押し入れにそんな物が……。

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