89話 他に空間スキル持ちはいませんかぁ
-----(清見視点)-----
「遺跡の避難民って300人くらいの人が居るんでしょ? その中に空間スキル持ちいないのかな」
「うちは100人弱っていっても、産婦人科の入院患者と保育園の園児を頭数から省くと、仏間とトイレと風呂とキッチン、それから飛行機と保育園と病院。フェリーとバスは離れた事でスキルが消えたけど空間スキルだったじゃん? 空間じゃないスキルって、兄貴と大島氏と高校生と小学生。結構な率で空間スキル多くない?」
「たしかに……」
「半分くらいの確率か。となると向こうの300人のうち150人くらいが空間を持ってても……」
「待って、空間スキルは子供が必ずセットなのよ。いえ、絶対とかは知らないわよ? でもここの拠点の空間は皆子供とセットじゃない?」
「そうか、あっちの避難民が全員大人なら空間がいなくてもおかしくないか」
「うむ、少なくとも職務中の自衛隊に乳幼児が居るとは思えない。という事は自衛官の中に空間スキル持ちはおらんじゃろ」
「清見くん、遺跡の避難民って見てないのよね? 大島氏は見たかも」
「あ、うん。着いた日は寝て翌日は引き返したから」
「もしもあっちの避難民に子供が居たら空間持ちも居るわね、きっと」
「あ、待って。確か向こうの自衛官が言ってた。建物の残骸に居た避難民も救助して連れていったって」
「建物の残骸……確かに残骸に見えなくもないわね」
「だとしたら空間スキルも消えた可能性が高い」
「もしくは隠してる」
「隠してても定期的にそこに行かないと消えちゃうんじゃない? 危険な森をひとりで行き来するかしら」
「そうだな。やはり残念だが消えた可能性が高いな」
「とりあえずスキルの件はおいておこう。寝床の話に戻そう。うちの方は圧倒的に寝床が足らず、提供は難しい。病院の一部は提供可能だが、そこは彼方とも協議して怪我や病人優先にすべきですな」
「清見くんのところで布団と座布団を随時提供していく方向かしら」
「遺跡の石造りの地べたに寝ていた事を考えると布団があるだけでもだいぶ違うんじゃないかな」
「それと、私たちも急ぎ検証を進めましょう。再生するのが仏間の押し入れだけなのか、他の空間スキルの物品でも同じ状態になるのか。病院の空きベッドのマットを外に出して隅っこに穴をあけてみましょう」
「あとタオル類も、端っこを切るくらいならもしも再生しなくて問題ないし」
「うちのトイレのタオルも切れ目を入れてみよう」
「お風呂の椅子に傷をつけてみようかしら」
「フライパンとか鍋と、あと食器とかもやってみようかな」
「あのギャレーのってどれをどうすればいいかしら」
「あら、じゃあ一緒にやりましょうよ」
なんて逞しいママさん達、女性達だ。
俺はひたすら隅っこで小さくなる。仏間の押し入れのガラクタは増えてもしょうもないもんが多いからなぁ。
俺の幼稚園時代の花笠音頭の花笠を増殖させてもな……。誰かかぶる?
爺さんのそのまた爺さんだかの葬式で飾ったらしい提灯とか、いる?
話し合いはそこで一旦中断になった。
というのも直ぐに動き出したい面々が多すぎた。多分俺以外全員。
トイレや風呂の予約表を作る人、個室の引っ越し、色んな物品の再生検証などなど。
「清見くーん、仏間の押し入れ、漁ってもいい?」
「どぞどぞ。てか、すんません、お願いします」
俺には有用な物の判断が出来んからな。頼りになる皆さんで良かった。




