83話 持ち帰り案件
-----(清見視点)-----
俺らは一旦うちらの拠点へ帰るのだが、その時には自衛隊の3佐とかいう立場の人が同行する事になった。
もちろんなる早で戻る予定ではあるのだが、そこは所詮は一般人。異世界でも後衛。体力は並み以下だ。
しかも俺は引きニートだったから大島氏よりもさらに体力がない。大島氏が連れていた小学生の紬の方が俺よりも体力がある。紬は体力スキル持ちだからな。
その3佐は絹田さんと名乗った。
だがどう見ても、権田原源三とかの方が似合いそうな見た目だった。スキルを聞くと物理攻撃だった。
アンタ、前衛で戦うにしても盾系のスキル取れよ。もしも戦う系としても大剣とか両手剣、それとか鈍器系が似合う。
この世界に来て髭剃りなどなく、手持ちのナイフで剃っているやつもいるそうだが、権田原は髭をのばしっぱなしだった。あ、絹田さんは、だ。
身長も2mくらいありそうだけど大島氏のボックスに入れるん?頭飛び出てたら死活問題よ? 大丈夫、ギリギリ入る?
げんぞ……絹田さんは、あ、3佐でいい?3佐は見かけは怖いが優しくて力持ちだった。俺がへばると背負って森を走り抜けてくれる。
子供扱いするななんて言わない。マジきついからね。
「大島氏を背負ったら、ボックスの床面の高さどうなるんだ?」
「試そう」
3佐はそう言うと大島氏を脇に抱えそのまま森を少し進んだ。通った道を見ると、折られた木々が地面から30センチくらい残されていた。
「ダメだろ? 大島氏を横にするとかなりの死角が生まれるな」
完全防御……便利なようで意外と難しいスキルだな。いや、本人にとっては何も問題はないんだがな。
時々休憩を挟むが大島っちは自分の足で走破した。引きニートの俺とサラリーマン(営業)の体力は比べるまでもなかった。自分の部屋に篭りたい。もう無いから2度と無理だけどな。
「俺……、この世界でいつかきっと自分の部屋を作ってそこに籠るぞ!」
「清見ぃ、なんか凄い目標立てたみたいに言うなw それ、ただのニート宣言だろが」
「いや、この世界で自分の家(部屋)を持つ目標は凄いです」
「絹田3佐、こいつを甘やかさないw」
結構なスピードで森を抜けて(途中色々と何かを跳ねたり踏み潰して)、安全地帯に到着。俺らの拠点に到着した。
スマホが使えない、というのは本当に不便である。何の連絡も出来ない。前もって向こうの状況も伝えられない、今から帰るコールも出来ない。
スマホが当たり前の生活をしていた時は俺は引きこもってたのもあるけど、兄貴からの連絡は受けていた。
スマホが無い時代の人達ってどうやって暮らしていたんだろうな。
さっそく病院の一室に代表者(?)が集まった。
看護師長さんと、ドクター。保育園の園長先生、キッチンママ、風呂ママ、トイレママ、それと兄貴と俺と大島っち。
子供らは保育園に居るそうだ。そう、保育園と合流してから子供らはなるべく他の子らと一緒に遊ばせている。
それからレスキューメンバーだ。
集まったメンバーに3佐の紹介をしてから遺跡避難所の話を大島氏がした。俺は、その、寝てばかりで遺跡避難所はあまり見ていなかった。
あ、ポヨン君の紹介は自衛隊の一部にしかしなかった。あの時点ではまだどうなるか決まっていないし、知らない民間人にポヨン君の紹介はしたくない。そこは譲れなかった。
向こうの隊長もまだそこまでは考えていないようだった。空間スキル持ちがいたら説得をしたかったようだが、いかんせん、向こうの避難民は300人弱もいるのだ。
しかも遺跡の洞窟にバラけている。中々に情報の伝達が難しいようだ。
「民間人だけでも300人超か……」
「ちょっとこちらでの受け入れは難しいですね」
「はい、それはこちらも理解しております。ですので乳幼児と怪我人病人だけでもお願い出来ればと思います」
「それは勿論受け入れ出来るならしたいけどさ、子供には親も付いてくるでしょ? それに産科と薬局は完全分離なので高齢者のお薬もね……」
「とりあえずドクターと園長先生に一度あちらへ見に行ってもらって、優先順位をつけてもらうか? なんて言ったっけ、災害の時に病院が色の札つけるやつ」
「トリアージか。うん、必要だな」
「それにしても片道3時間、往復6時間よね」
「しかもそれ大島氏必須の距離。安全地帯を通ると多分倍以上かかるよな?」
「怪我人、病人、乳幼児の移動…………大変そうですね」
「うちを遺跡の近所に引っ越すか」




