82話 ボックスって
-----(清見視点)-----
朝になった。
昨日は遺跡の穴の中、壁を背に地面に寝た。ちょっと広めの穴だった。
隣で寝たはずの大島氏が居ない。もう起きたのか。それはいいんだけど、何コレ。
何故か地面には長方形の穴があった。
穴……というか、誰かを殺して埋める用?のような長方形の穴が地面に掘られている。死体だけを埋めるのではなく棺桶ごと埋めるようなサイズ。
しかも1人用ではない。まさか、俺らを埋めるつもりで誰かが掘った…………?
この穴は俺用、大島氏は既に殺されてどこかに!!!
「おう、はよー」
飛び上がった! びっくりした!!
生きてた。
「朝から脅かすなよ。地面に棺桶みたいな穴があるからてっきり」
「いや、それ俺のスキルのボックスの跡」
はぁっ?どう言う事?
大島氏のスキル『完全防御(箱型)』は、確かにボックス型だ。
中に入っていると外から攻撃を一切通さない。
昨夜たまたま話したが、確かにその空間は森を通り抜けている時、そこらの木々を薙ぎ倒す強者(強壁)だ。
だが、大島氏が俺らの避難所で一緒に暮らしていた時、物にぶつかったり地面を掘った事はなかった。
無かったよね?俺が知らないだけ?
「昨日さ、清みんに言われた事が気になって、朝目が覚めて検証してみた。どうよ、これ」
そう言って大島氏は凹んだ地面を指差した。
うむ、確かに大島氏のボックスサイズに綺麗に地面が凹んでいる。
深さがそれほどでもないのは仰向けに寝たから?
「見てて」
そう言って大島氏は地面にゴロンと仰向けに寝た。別に地面は凹んでいない。
「ほいっと!」
大島氏の掛け声と同時に、大島氏が寝ていた地面が沈み込んだ。
「空間を意識してみた」
そして大島氏が寝返りを打つと地面がベコベコとめり込んで穴が広がっていく。まるで人間ブルドーザー。
地面を触ってみると土が無くなったわけでなく硬く押し込まれた感じだ。
ソレは柔らかい土だけでなく、遺跡に石(岩)も潰して押し込んだ。
「凄いな、防御っぽいけどある意味攻撃?」
「まぁひとりの時に限るな。ボックス内に誰か居たら置き去りだからな」
でも、スキルをある程度使いこなせるって事だ。凄いぞ。完全防御だけでも凄いのに、何ソレ。潰す攻撃もあり?
そもそも大島氏本人は箱からはみ出ても防御されていたんだよね。『完全防御(箱型)』のスキル名、おかしくない?
カッコの中は他者専用か。大島氏自身は全身完全防御だもんな。そうだ……他人のスキルって見えないよな。本人口から語られているだけだ。
もしかして大島氏の本当にスキル名は『完全防御(全身タイツ型+オマケの箱型)』…………?
「清みん? 今、変な事考えただろ? 防御は箱型だけど俺は防御が素肌密着型みたいな感じか?」
「うわっ、気持ち悪!」
「失礼な!」
「人間コンドー「言うな!」」
「そっか。大島氏はもう子供作れないのか」
「ほっとけ! いや、知らん! どーでもいーだろ!……え、そうなの? 俺……」
あ、ごめん、なんか凄く落ち込んでる。凹んだ地面の穴に入り膝を抱えている。
「あ、それでこの地面の穴は大島っちのスキルで、それって硬い岩とか鉄も箱型が出来るん?」
「無造作にぶつかったら出来そうだな。どうなんだろな。この世界に鉄あるのか?」
この世界でのスキルの使い方は幅が広そうで夢も広がるな。俺は早く仏間に帰りたくなった。
押入れの中で妄想を膨らませたい。




