79話 遺跡へ
-----(清見視点)-----
うちらの避難所で1泊した自衛隊さん方は、とりあえずあちらへ戻るそうだ。
そして俺たちは遺跡へ行くことになった。
ダンジョン探索ではない。断じて違う。あちらの避難所の民間人に空間持ちが居たらスライムをテイムさせたいそうだ。
だからテイムじゃない、と何度言っても聞いてもらえない。
メンバーはうちのレスキューから2人と大島氏と俺。俺はオマケ。(ポヨン君のオマケだ)
向こうで俺のポヨン君を使って民間人相手に説明をするそうだ。話だけで信じてもらうのは難しいからな。現物を見せると一発だろう。
え、スライムのテイムだけじゃない?パワーレベリングを行う?
いや、それは俺がいても役に立たない。と言うかどっちかてえと邪魔?
大島っちのボックスには5〜6人入れるが、そこに俺が混ざるとひとり分のスペースが減る事になる。
回復役は必須?
だぁかぁらぁ、ツバより劣る回復力だけど?絆創膏貼っとく方が治りが速いぞ?うちの救急箱に入ってた絆創膏持ってく?
まぁね、向こうも昨日仕入れた情報で舞い上がっているのはわかる。大災害的な神隠しに巻き込まれたかと思いきや実はファンタジーな異世界転移だったのでは!と考える隊員が多いみたい。(隊長含む)
「先の見えない避難民を抱えた生活も、今までと少し違って見えるんです」
隊員のひとりが嬉しそう語った。うん。気持ちはわかる。大災害の中で、不確かでも希望の光は欲しいよな。
知らない場所にひとりで放り出されて、そんな人達が集まって、食べる物にも困って、訳の分からない生物に殺されて行く人がいて。
どうやって生きていけばいいかわからなくなるよな。
俺なんか平和な日本でも、生きていくのが大変だった。
でも今、俺にとっての希望の光が、裕理くんだったり兄貴だったり、大島氏やポヨン君、ママさん達(の子供)だったり、する。
頑張れる源って必要だよな。
避難民を助けて疲弊している自衛隊員達にも、今日ここで得た情報が希望へと繋がりそうなのかな。
手伝える事はやってあげたいけど、でもな、俺は足を引っ張るからな!!! あまり(ほぼ)役に立たないからな!
それだけは言っておかなくては。
…………いつ、誰に、言おう。
「大丈夫か? 清みん」
なんか大島氏が笑いながら聞いてきた。
大丈夫でないような?大丈夫なような?そうだ!大島氏に言っておこう。
「あの……俺、ついていくだけならアレだけど、何かするとか出来るとかないから……大勢の前で演説とか絶対無理だから」
「うんうん。大丈夫大丈夫。清みんはそこに居てくれるといいよ。ねっ、隊長さん」
「そうですよ。清見君はポヨンさんの保護者ですからね」
良かった。二重に良かった。
難しい事を望まれてない事と、それからポヨン君の保護者!ふふ、ポヨン君の下僕とか言われなかった。
遺跡への帰還は途中からふたつのグループに分かれた。
人数が多かったからな。ひとつは危険地帯を通り抜ける大島氏チーム。もうひとつはかなり遠回りになるが安全地帯を進むチームだそうだ。
もちろん俺は安全チームだ。大島氏と分かれるのは少し不安ではあるが、大島氏は両隊長含む精鋭で進むそうだ。
大島氏にこっちに混ざるかと聞かれたが、足を引っ張るのはわかりきっていたので遠慮した。
遠回りな上、途中で何度か休憩を挟んだ俺達がようやく遺跡に到着をしたが、何故か大島氏達はまだ着いていなかった。
大島氏のスキルは完全防御だ。途中で何かあるとは思えない。なのに何故近道である危険地帯を抜けたはずのあっちのチームが到着していないんだ?
「大丈夫ですよ。たぶんですけど、大島さんの防御スキルを利用して危険地帯でレベリングをしているんじゃないかな」
「そうだなぁ、あっちはゴリゴリの前衛揃いだもんな。でも、俺も行きたかったな」
そ、そうなんだ。
俺、不安そうなのが顔に出ちゃってたのかな。隊員さんらが説明をしてくれた。
いつの間にか頭の花笠の上からポヨン君を下ろして抱きしめていた。
あの日、知らない世界へ転移したであろうあの時から、ずっと誰かがそばにいた。
周りが知らない人だらけで久しぶりに人見知りが復活しそうだ。ポヨン君は俺の味方でいてくれよ。
ボーロ食うか?保育士さんに貰ったやつ。ほら、お食べ。
ジョワワン。ボヨンボヨン
ポヨン君が美味しそう(?)にボーロを吸収していた。賄賂じゃないぞ?仲良しの証だからな。
俺たちが出てきた森が騒がしくなる。大島氏のチームが到着したようだ。
自衛隊が楽しそうにしていた。
「凄いっすね。経験値入れ食いっすね」
「マジか、俺、あ、ああああ、微9.9999……タイチョー!!! もっかい戻りましょう!もうひと声!いやもう一匹やらせてくださいぃ」
うん。楽しそうでなによりだ。




