77話 スライム
-----(清見視点)-----
杏ちゃんの『物理攻撃(微9.2235)を聞いて打ちのめされた彼らであったが、立ち直りも早かった。
スキルの再確認の方法を教えたからだ。
地面に座り菓子を食べていた隊員達が皆おもむろに立ち上がり、力み始めた。
「ふんっ!」
「たぁぁっ! お、出た」
「とぉう!出たぞ」
「おおおぅ、思ったより経験値が貯まっている」
「自然に経験値が見える時とそうでない時があるのはどうしてなんだ」
「お前、しょっちゅう力んでいるからな。上がった上がったうるさかったよ。俺も上がってるからな」
「まぁまぁ、喧嘩しない」
意外とオタ仲間が多いのかな。俺が見ている事に気がつくとぺこりと頭を下げてくる。
それとポヨン君に興味津々っぽい人も多い。
話は俺たちのスキルになる。兄貴が話してもいいかと俺たちを見た。別に隠すほどではないから俺はいいけど、大島氏は隠した方がよくないか?
だって知られたら絶対にこき使われるぞ?
しかし大島氏は諦めた顔で自分からスキルを白状した。俺の視線に気がついたのか、ぼそりと呟いた。
「隠して後でバレて敵対関係になるのも面倒」
なるほど。
案の定、大島氏の『完全防御』を聞くと驚愕していた。危険極まりないこの世界ではレア中のレアスキルだよな。
ひとしきり驚いた後、今度は俺を見る。
「清見さんのスキルをお聞きしても?」
「いや、俺はレアじゃないっす……」
「清見は空間(仏間)ですよ」
「でもそれ、その手に持っているのはスライムでは? さきほど、境界線に居たスライムですよね。他の場所で見たスライムとは一線を画しているようですが?」
「あー、あの、餌付けに成功しました」
「信じないでください。うっかりパン持ってスライムに近づいたらパンと一緒に食われますからね」
兄貴が慌てて付け足していた。
そうだな、確かに彼らは嬉々としてパン持ってスライムに突っ込みそうだ。
大島氏を見ると頷いたので、詳しく話す事にした。
「大島……さんのスキルありきの話ですが、防御内から突いて回復してから餌付けしたら懐きました。懐いたやつは他の人が餌やりしても平気だけど、他のスライムは危険なので子供らにもポヨン君以外は触らんように言ってます」
おお、とか、ほぉとかため息が上がる。
「それと、ポヨン君は言葉、通じますよ」




